東京交響楽団川崎名曲全集第80回
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2012年9月1日(土) 18:00  川崎市教育文化会館大ホール
 
指揮:エドウィン・アウトウォーター
ヴァイオリン:岡崎慶輔
コンサートマスター:高木和弘
 


バーバー:管弦楽のためのエッセイ第2番

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

(休憩20分)

ドヴォルザーク:交響曲第8番

(アンコール)
ドヴォルザーク:伝説 第10番 op.59-10
 
 
 

 池袋から山手線・東海道線を乗り継いで、今度は川崎です。今度のコンサートは、東京交響楽団の川崎名曲全集です。東京芸術劇場での「復活」の終演時間をだいたい予想し、時間的には微妙だったのですが、物理的に可能と踏んで、チケットを買ってしまいました。行けない場合を見越して、最安席にしました。

 このコンサートはミューザ川崎主催で、本来ミューザ川崎が会場なのですが、ご存じのように震災で使用できなくなり、今年度は川崎市教育文化会館で開催されています。

 川崎駅東口から市役所の通りを直進。徒歩10分ほどで到着し、交通の便は悪くはありません。ただ、残暑厳しい中、急ぎ足で行ったので、汗だくになってしまいました。

 ホールはいかにもというような旧式の多目的ホールで、かなり老朽化し、内装も椅子も昭和の香りがプンプンします。2階席があり、全部で1961席というかなり大きなホールです。横幅があり、容積としてはかなり広く感じます。ロビーの階段が急だったりして、使い心地は悪いですが、ロビーに自販機があるのは良いです。

 客の入りは悪く、半分程度でしょうか。私の回りは誰もおらず、後方にもかかわらず見晴らしも良く、ゆったりと音楽に没頭することができました。

 拍手のない中、楽員が入場。今日のコンマスは高木さんで、隣は廣岡さんです。指揮のアウトウォーターさんが登場して、開演です。

 最初のバーバーの曲は初めて聴きましたが、なかなかいい曲ですね。ホールは響きが少なく、音がやせて聴こえましたが、演奏そのものは良かったです。一番安い2階席の下の、音響的には良くない席と思われましたが、予想よりは悪くないかなという印象でした。空調の音がうるさいのは難点ですけれど。

 次は、岡崎慶輔さんによるブラームスの協奏曲です。岡崎さんの演奏を聴くのは、今回が初めてです。演奏前に入念にチューニングしていました。
 音量は十分にありますが、繊細できれいな音です。荒っぽいところはなく、情熱的とも言えません。落ち着いた演奏というところでしょうか。
 第1楽章の後に再び入念なチューニング。せっかくの盛り上がり気分に水を差されました。第2楽章の荒さんのオーボエソロは、もうすこし甘く、せつなく演奏しても良かったかなとは思いましたが、お見事と言うべきでしょう。
 第3楽章はもう少し熱く燃え上がっても良いように思いましたが、これはこれで大熱演だったと思います。ソリストアンコールを期待しましたが、休憩に入ってしまいました。

 休憩後はドヴォルザークです。これは文句なく良かったです。最初のチェロの哀愁に満ちた旋律から引き込まれました。ホールの響きに耳が慣れたせいもあるかもしれませんが、オケも良く鳴っていました。弦楽アンサンブルもきれいで、歌わせどころも見事に決めてくれました。フィナーレの盛り上げ方も良くて、ブラボーの声もあちこちから上がっていました。

 アンコールを1曲演奏して終演。ホールの特性上、音響的にはイマイチと言わざるを得ませんが、演奏は良かったです。さすがに東響。安心して聴いていられました。
 今日演奏されたブラームスの協奏曲は、来週の東響新潟定期で、指揮者、独奏者を変えて演奏されます。今度はどんな演奏を聴かせてくれるのか、大いに楽しみです。
 

(客席:1階28−45、C席:3000円)