向島の兼吉地区は「昭和のレトロ感が漂っている」と形容される寂れた商店街です。しかし、かつては渡し場から住田製パン所に至る道路の両側には商店が軒を連ねる繁華街でした。
昭和40年代までは好景気を維持していたものの、造船不況が原因であったのか、それとも尾道大橋の開通が決定打となったのか、いずれにしても一気に直線的に寂れてしまいました。
衰退しつつある各地の商店街の近未来の姿がここにあると思ってよいわけですが、注目すべきなのは、ここで紹介したように生き残って頑張っている商店は、いずれも何らかの製造を行っていることだろうと思います。
住田製パン所しかり、後藤鉱泉所しかりです。左から右へ商品を流しているだけの商店は、いまはその存在価値を失ってしまったようです。
幸いなことに、この地区は居住に適した場所にあるため、まだ命脈を保つことができています。どうもこのあたりに商店街生き残りのヒントがあるような気がしています。
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