追補
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雲岳女史(うんがくじょし)
肥大の女を言う。明治の末頃.村井弦斎の仮作小説『日の出島』に雲岳といえる体格肥大の女ありて、能く饒舌り事を仕組めり。其小説喧伝の際流行せし語なり。これと共に痩せたる女を「細煙女史」と呼べり。
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金平(きんぴら)
堅ねりの糊などを言い、また男性的の女をも金平と呼べることあり。岡清兵衛といえる狂言作者が、寛文延宝の頃、阪田金時の子に金平といえる剛勇強力の士ありたりとして、金平法問論、金平千人切、金不天狗問答などいう浄瑠璃本を作りて大に流行し、当時金平といえる語を「強い」との意に使用さるるに至れり。
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金時(きんとき)
小豆に砂糖を交えて煮たるもの。または煮たる小豆に砂糖を掛けしものを言う。阪田金時の童姿といえる絵草紙に金時を赤く太く描きしに因りての対比語なるべし。
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権兵衛(ごんべえ)
小児の後頭部に残せる一つまみの毛を言う。京都にては「ボンノクソ」と称し、東京にては「ボンノクボ」または「じじッ毛」と称す。日本百科大辞典「おけし坊主」の條にも此「権兵衛」の語見ゆと木念寺報。
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作兵衛(さくびょうえ)
偽病者と言う。川柳に「かけとりが来ると作兵衛うなり出し」と言える句あり。「作病」にかけし語なり。
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浄瑠璃(じょうるり)
三味線に合はせて語る特殊の戯曲を言う(後に江戸にて「義太夫」と称せり)。永禄年間、小野お通といえる女作者あり。牛若丸が三州矢矧の長者の娘浄瑠璃姫と契りしと言えることを十二段草紙に作れり。其後これを瀧野検校等三味線に合せて語りしが此戯曲の嚆矢なるに因る。則ち「浄瑠璃」とは「浄瑠璃姫物語」の略なり。
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川柳(せんりゅう)
滑稽、穿ち.叙景等を主とせし五七五調の短句を言う。前句附といえるより転ぜしなり。明和の頃、初代緑亭川柳(柄井八右衛門)の創めしものにて、同好門人の句集を川柳點と言いしより起れる名称なり。
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都々一(どどいつ)
「よしこの節」または「情歌」と呼べる七七七五調の俗謡を言う。都々一坊扇歌といえる者、天保の頃、寄席にて情歌をうたい、大に流行せしより此名称起れりとの説あり。都々一坊とは常陸水戸の医者たりし彼が酒色のため逃亡して江戸に来り、身を寄席にまで落せしことを、数極の百々、トドのツマリの義にて載せしなるべし。
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文弥(ぶんや)
「文弥節」より転ぜし猥褻の淫語なり。解説は略す。
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