Mixerユニットで、手計算と同じ答えになるかCOCOで確かめる
化学基礎で習う「濃度の異なる溶液を混ぜたときの濃度計算」を、COCOのMixer(混合器)ユニットで検証します。フラッシュ蒸留のように気液平衡の計算は行わないため、手計算とCOCOの結果は必ず一致します。「シミュレーターは魔法ではなく、自分たちが習った物質収支の考え方をそのまま数値計算しているだけだ」ということを実感するのに向いた、安心して取り組める演習です。
10 mol%のエタノール水溶液と60 mol%のエタノール水溶液を混ぜると、何mol%になるか。先に手計算で予測してから、COCOで検証する。
2つの流れを混ぜたときの濃度は、流量を重みとした加重平均(物質収支)で求められます。
この演習では、流量A = 50 mol/s(エタノール10 mol%)、流量B = 20 mol/s(エタノール60 mol%)とする。まずは自分で計算して、答えを紙に書いてからCOCOに進もう。
| 項目 | フィード A | フィード B | 製品 P |
|---|---|---|---|
| 流量 [mol/s] | 50.0 | 20.0 | 70.0 |
| エタノール モル分率 | 0.10 | 0.60 | ≈ 0.243 |
| 水 モル分率 | 0.90 | 0.40 | ≈ 0.757 |
| 温度 [K] | 298.15 | 298.15 | ≈ 298.15 + 発熱分(実測値を記録) |
| 圧力 [Pa] | 101325 | 101325 | 101325 |
(50×0.10 + 20×0.60) ÷ 70 = (5 + 12) ÷ 70 ≈ 0.243。単位はmol/s・K・Paです。kmol/hや°Cに変更したい場合はCOCOの単位設定を変更するを参照してください。
水とエタノールを混ぜると、実際にはわずかに発熱します。水どうし・エタノールどうしが作っていた水素結合が混合によって組み直され、より安定な配置になるときにエネルギーが放出されるためです(これは水-エタノール系が非理想溶液である一例で、混合による体積収縮とセットでよく知られる現象です)。COCOで計算すると、製品ストリームの温度がフィードの298.15 Kよりわずかに高くなるはずです。もしThermodynamic model setをIdeal(理想溶液)にしていたら、この発熱は再現されません。理想溶液は定義上、混合熱がゼロだからです。
物質収支(流量・組成の計算)だけを見れば加重平均で説明できますが、熱収支(温度)については単純な平均にはなりません。上記の発熱分だけ、加重平均より少し高い温度になります。
File > New で新規フローシートを作成する。Mixerは気液平衡の計算をしないため、理想溶液(Ideal)を選んでも今回の結果(モル分率の加重平均)は変わりません。ただしフラッシュ蒸留演習と同じ設定を使い回した方が、生徒にとっては迷いが少ないのでNRTLのままで問題ありません。
InsertメニューからUnit Operationを選ぶ。Select Unit Operationウィンドウが開く。InsertメニューからStreamを選ぶ(またはCtrl+I)。マウスカーソルが+に変わることを確認する。ハイライトが出る前にクリックすると、ただの浮いた線になり接続されません。Mixerのアイコンにゆっくり近づけてハイライトの表示を確認してからクリックしましょう。
Flowsheet > Solve。
図:COCOでの実行結果