無料の定番シミュレータ「COCO / ChemSep」で物質収支計算に挑戦しよう
化学プラントの設計において、各機器の「物質収支(どれだけの原料を入れ、何がどれだけ出ていくか)」や「熱収支(どれだけの加熱・冷却が必要か)」を手計算だけで解くのは非常に困難です。
そこで活躍するのがプロセスシミュレーターです。温度や圧力、組成を入力するだけで、複雑な気液平衡や化学反応を一瞬で数値計算してくれます。本ページでは、学習用に広く使われている無料のシミュレーターを紹介します。
COCO Simulatorには、計算に必要なすべてのモジュール(物性・単位操作・ChemSep)が最初から同梱されています。
シミュレーションを構築するときは、常に以下の手順に沿って設定を進めていきます。(例:水とエタノールのフラッシュ蒸留など)
メイン画面(COFE)を起動し、新規ファイルを作成します。メニューから物質の登録画面を開き、使用する化学物質(例:Water、Ethanol)をデータベースから検索してリストに追加します。
物質同士がどのように混ざり合い、蒸発するかを計算するための「計算モデル(物性推算パッケージ)」を選びます。水・アルコール系のような非理想性の強い系ではNRTLやUNIQUAC、石油・炭化水素系ではPeng-Robinsonなどを選択するのが定番です。
画面左側のパレットから、使いたい機器(Flash蒸留器、ポンプ、バルブなど)を選んでキャンバスに配置します。その後、「Insert Stream」機能を使って、原料の供給線(Feed)や、製品の出口線を機器に繋いでいきます。
設定が完了したら、ツールバーにある緑色の「再生ボタン(Solve)」をクリックします。入力に過不足がなければ一瞬で計算が完了し、各配線の温度、圧力、分離後の組成を詳しくレポートで確認できるようになります。
上の5ステップを実際に手を動かして体験できる演習ページを用意しました。具体的な数値(フィード組成20%→蒸気側51%まで濃縮)を使って、「なぜ分離できるのか」を自分の手で確かめてみましょう。COCOでの実際のクリック操作、つまずきやすいポイントの対処法も載せています。
COCO/ChemSepは英語表記ですが、使われる単語は決まっています。以下の基本単語を覚えておくとスムーズに操作できます。
| 英語表記 | 日本語の読み・意味 |
|---|---|
| Feed | フィード / 原料・供給流体 |
| Vapor / Liquid | 気相(蒸気) / 液相(液体) |
| Mole Fraction | モル分率(成分の割合) |
| Flow rate | 流量(物質が流れる量) |
| Solve / Run | 計算実行 |
もし計算実行時にエラー(黄色や赤色の警告)が出た場合は、入力項目が足りていない(自由度の不足)か、あるいは現実的にあり得ない数値(例:沸点に対して高すぎる温度など)を指定しているケースがほとんどです。まずは供給(Feed)条件が全て埋まっているか見直してみましょう。