Heater(加熱器)ユニットで、Q=mcΔTの手計算と同じ答えになるか確かめる
物理・化学基礎で習う「熱量の計算(Q = mcΔT)」を、COCOのHeater(加熱器)ユニットで検証します。水を20°Cから80°Cまで加熱するのに必要な熱量を、まず自分の手で計算し、それからCOCOに同じ条件で計算させて答え合わせをします。
水を20°C(293.15 K)から80°C(353.15 K)まで加熱するのに必要な熱量(duty)を、手計算とCOCOの両方で求めて比較する。
COCOの流量入力はmol/s(モル流量)が基準なので、ここではモル熱容量 Cp を使った式で計算します。質量ベースのQ=mcΔTと考え方は同じです。
n:モル流量 [mol/s]、Cp:水のモル熱容量 ≈ 75.3 J/(mol·K)、ΔT:温度変化 [K]
この演習では、n = 55.5 mol/s(水1.0 kg/sに相当)、ΔT = 353.15 − 293.15 = 60 K とする。まずは自分で計算して、答えを紙に書いてからCOCOに進もう。
| 項目 | フィード(入口) | 製品(出口) |
|---|---|---|
| 流量 [mol/s] | 55.5 | 55.5 |
| 温度 [K] | 293.15(20°C) | 353.15(80°C、指定値) |
| 圧力 [Pa] | 101325 | 101325 |
| 熱量 Duty [W] | — | COCOの計算結果を記入する(手計算の目安:約250,700 W) |
55.5 mol/s × 75.3 J/(mol·K) × 60 K ≈ 250,700 W ≈ 250.7 kW。単位はmol/s・K・Paです。kmol/hや°C、kWに変更したい場合はCOCOの単位設定を変更するを参照してください。
手計算では水のモル熱容量Cpを60°C分ずっと一定(75.3 J/(mol·K))だと仮定していますが、実際には温度によって少しずつ変化します。COCOは温度依存性を考慮した物性式で計算するため、手計算の目安値(約250,700 W)とCOCOの結果は数%程度ずれることがあります。このずれ自体が「Cp一定という近似がどれくらい正しいか」を考える良い教材になります。
File > New で新規フローシートを作成する。フラッシュ蒸留演習ではWater・Ethanolの2成分を扱うためTEA(NRTL)を使いましたが、今回は水1成分だけの単純な加熱なので、COCOに標準搭載されている「Water」スタンドアロン物性パッケージ(IAPWS-97という水・水蒸気専用の工業規格に基づく)を使います。この場合、TEAのようにThermodynamic model setを選んだり、成分を検索して追加したりする操作は不要です。「Water」自体がすでに水専用のパッケージだからです。
InsertメニューからUnit Operationを選ぶ。Select Unit Operationウィンドウが開く。InsertメニューからStreamを選ぶ(またはCtrl+I)。マウスカーソルが+に変わることを確認する。ハイライトが出る前にクリックすると、ただの浮いた線になり接続されません。Heaterのアイコンにゆっくり近づけてハイライトの表示を確認してからクリックしましょう。
Heaterは「出口温度」か「熱量(duty)」のどちらか一方を指定する仕組みです。今回は出口温度80°C(353.15 K)を指定し、必要な熱量をCOCOに逆算させています。慣れてきたら、逆に熱量を指定して出口温度がいくらになるか計算させる、という順番を入れ替えた演習もできます。
Flowsheet > Solve。
図:COCOでの実行結果
1本の流れの加熱・冷却だけでなく、2本の流れの間で熱をやり取りする「熱交換器」を使うと、工場で行われている「熱の再利用(熱回収)」の考え方まで学べます。