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フィリピン活動記:

出来事 その2

  • メンテナンス停電
  • 結婚式を見学
  • 引越し祝いパーティー
  • ハラキリ
  • フィリピンのコンピュータシステム
  • Longsilog
  • パンシット・カガヤン
  • 人事異動

  • ※ プライバシーを考慮して、掲載している画像には軽くぼかしをいれています。ご了承ください。


    メンテナンス停電 2003年9月3日

    今日は停電の日。
    ここトゥゲガラオでは1〜2か月に1度、メンテナンスの為に朝8時〜夕方5時まで停電になる日がある。
    当然、停電の日はコンピュータが動かないのでスタッフは仕事が出来ない。クーラーもきかないので暑い。ポンプが動かないので水も出ない。当然、トイレも流れない。ものすごい状況である。
    ちなみに、ここはまだましな方。毎週停電があったり、送電時間が限られていたりする地域もある。トゥゲガラオも10年程前までは、送電は朝と夜のみだったそうだ。
    こういう状況でどうやってコンピュータシステムを稼動させたら良いのか。。。


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    結婚式を見学 2003年9月8日

    出来事画像0201 結婚式:大聖堂で行われました。

    配属先の教員に、結婚式に誘われました。フィリピン式の結婚式を見るよい機会だと思って参加しました。
    彼の奥さんの姉妹の娘さんの結婚式。フィリピンではこういった親戚同士の結びつきが強い。私に言わせるとほとんど赤の他人の一歩手前ですが。。。
    結婚式が行われたのは聖ピーター大聖堂。トゥゲガラオで一番大きな大聖堂です。さすがキリスト教の本場、盛大で豪華、ゴージャス、ダイナミック、といったところです。


    出来事画像0202 披露宴:白いシャツがプライマリスポンサー、オレンジのシャツがセカンダリスポンサー。見づらいですが正面にあるのがウエディングケーキ。

    披露宴にも参加しました。関係者、親戚で非常に人が多いです。雰囲気は日本のと同じだが、席は自由。壇上でサックス演奏があったり、歌を聴けたりする。出された料理は中華料理、バイキング形式。
    結婚式では、白色、オレンジ色のシャツを着た人たちを見かけます。白色のシャツを着た人たちはプライマリスポンサー、両親や名づけ親たちです。オレンジ色のシャツを着た人たちはセカンダリスポンサーで、兄弟や親戚だそうです。
    日本のキリスト教式結婚式をさらに豪華にグレードアップしたような感じでした。よい経験をしました。


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    引越し祝いパーティー 2003年9月12日

    滞在していたホテルからアパートの部屋に引越しをしました。
    引越しまでの過程が大変でした。1日にアパートを下見して決定、7日に入居の予定でした。しかし、そこはフィリピノタイム。現地人に引越しの手伝いをお願いしていたのに、約束の時間に来なかったり、"Maybe Tommorow"と毎日言われ続けて、結局今日になりました。こっちは振り回されて疲れてしまいました。

    それはさておき、本日、めでたく引越しできました。それに伴い引越しパーティーを開催しました。フィリピンでは引越し祝いや誕生日など、祝い事は祝ってもらう側が自分の金ですべてを用意して招待客をもてなします。日本とは逆のスタイルです。そんなわけで今日の費用は自分持ち。
    私のアパートには広いテラスがついてるので、そこにテーブルを準備。用意をしながらみんなを待つ。ぼちぼち人がやってきました。
    VIDEOKEセット、大皿パンシットなどが運び込まれました。VIDEOKEとは日本で言うカラオケのこと。フィリピン人はVIDEOKEが大好き。パンシットとはフィリピンの麺料理の1つで、お祝い事などの時には大皿パンシットを振舞います。VIDEOKEも大皿パンシットも祝い事では欠かせない存在です。

    出来事画像0203 引越し祝いパーティー:箸を使うフィリピン人たち。みんな楽しんでいるし、見ているほうも楽しい(笑)

    来る人来る人がみんな差し入れを持ってきてくれました。酒、食べ物など。おかげで充実したパーティーになりました。
    今回のパーティーでは、みんなに割り箸を使わせることにしました。スプーンとフォークが人数分用意できなかったということもありますが、パーティーは私の費用持ち。やられっぱなしじゃ悔しいのでスプーンとフォーク禁止、箸オンリーとしました。彼らのほとんどは箸を使うのがはじめて。不慣れな箸で一所懸命食べようとしているのには笑えました。なにはともあれ、フィリピン人は箸に興味をもち、楽しんでくれたようです。今後も私の家でパーティーを開くときはスプーンとフォーク禁止、箸オンリーにしようかと思います(笑)。
    私はすき焼きを作って振舞いました。学部長ドンがすき焼きが大好きだということで、市場で材料を購入して作りました。しかし、フィリピンの牛肉は硬い!まずかったです。不評でした。。。そもそも、フィリピンにある食材で日本料理を作ると言うことが間違いかもしれません。フィリピンでは、フィリピンの食材を、フィリピンの調味料で、フィリピンの食べ方で食べるのがおいしいのです。フィリピンの食材で日本料理を作ってもおいしくないのかもしれません。
    教員のデンと一緒にフィリピン料理に挑戦。作ったのはビーフタパです。これは、甘口のタレに漬け込んだ牛肉を大量の油で焼いたもの。漬け込むことによって牛肉が柔らかくなり、美味。酒の肴として好評でした。
    大家の息子とお手伝いさんもパーティーにやってきました。彼らに食べ物を薦めましたが、どうやら遠慮している様子。こちらではこういった大人と子供の上下関係は厳しいようです。
    暇を見て片づけをする。食器を洗っていたところ、学生のジェーンが手伝ってくれました。ううむ、フィリピーナはやさしくて気前がいい。それでいながら、わがままな面もあったりして、なかなかよろしい。髪もロングストレートだし。
    パーティーは12時ごろ終了。くたくたに疲れたけど面白かったです。


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    ハラキリ 2003年9月17日

    日本の会社で立てこもり爆発事件があった。そこで、日本では何かあったらハラキリをして責任を取るのか?ということが職場で話題になりました。
    大学受験や仕事で失敗したらハラキリをするのは本当かと聞かれ、そういうことをする人もいると答えました。
    ものすごく驚くフィリピン人たち。なぜ自殺するのか?生きていたほうが楽しいのに、とのこと。
    フィリピンみたいなのんびりしたところだと、受験や仕事に失敗しての自殺なんて考えられないことのように思えますね。


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    フィリピンのコンピュータシステム 2003年9月19日

    現状調査として、レジストレーションオフィスにインタビューに行きました。ここの部署では現在開発中のシステムがあるそうです。システムの状況を調査し、どうなっているかを把握しようと考えました。
    レジストレーションオフィスの職員は5人。全員女性。そのうち2人がシステムのテスト兼データ入力を担当しています。彼女らは12月までの勤務だそうです。
    システムは、学部長ドンの知り合いのフリーのプログラマが作ったそうです。
    システムは学生情報の登録システムで、ある程度出来上がっているがバグが多いようです。職員はデータを入力しながらその過程で発見されたバグをプログラマに報告し、プログラマがシステムを修正するといったやりかたで作業を行っています。データ入力をしながら同時にテストをしているといった具合です。
    このシステムがまだひどい。
    気になった点は次のとおり。

    • OS、データベース、開発ツールなどのソフトウェアはすべて海賊版。すなわちライセンスを取得していない違法なソフトウェアを使っている。
    • 分析、設計はよく出来ているが、それにかかわるドキュメントはまったく存在しない
    • エラー処理がまったくされていない。そのため、システムに間違った値を入力するとシステムが落ちる。
    • クライアント・サーバシステムになっているが、ネットワークの設定が一切されていない。TCP/IPすら使っていない。
    • データベースのパスワードが設定されていない。すなわちセキュリティはまったく考慮されていない。

    職員は次のように語りました。

    • データ入力をしながらテストを行っており、何か不具合が見つかったらプログラマに伝えている。しかし、そのプログラマはほとんど大学にやって来ない。
    • バグが多すぎてシステムが不安定であり、運用には耐えられない
    • ドキュメントは一切存在せず、システムの構成はプログラマのみが知っている。システムを理解しているのはプログラマのみである。
    • 以前システムが壊れたが、プログラマがやって来て直した。システムが壊れた原因と、どうやって直したかは一切不明。

    と、このように吐き気がするほどひどいシステムです。
    他の業者がかかわっているのでこのシステムには出来るだけ深入りしないようにしたいですが。。。

    数か月後、そのプログラマと会って話す機会がありました。
    プログラマ「フィリピンには金が無い。だからフィリピンのほとんどすべてのシステムは海賊版のソフトウェアを使っている。」
    金が無いから海賊版を使うのはどうだろうか。。。
    さらに、このプログラマは続けてこう話す。
    プログラマ「日本人は金があるから、いろんなソフトウェアが使える。金があるから何でも作れるのだ。」
    いや、それは違うだろう。金があれば技術が得られると思っているのか?いや、技術がないのを金のせいにしているのだろう。
    そこでこう答えました。
    私「日本では最近はLinuxを使う。Linuxはお金がかからない。なぜLinuxを使うかと言うと、金が無いからだ。」
    プログラマは言葉に詰まる。
    さらに私は彼にイヤミを言う。
    私「Linuxを使えばほとんどお金がかからない。フィリピン人は金がないならLinuxを使えばよい。なぜあなたはLinuxを使わないのか?」
    私は彼の作ったシステムを見たので、彼の技術がどの程度かわかる。金が無くてもシステムは作れるのだ。彼が金にこだわるのは、技術が無いからだ。
    彼はそれ以上何もしゃべらなかった。

    その後、結局彼の作ったシステムが使われることはありませんでした。


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    Longsilog 2003年9月22日

    アパートのテラスでひとりで酒を飲んでいた。夜中、ろうそくを照らして外で酒を飲むのもまた格別だ。
    と、ひとりで酒を飲んでいるところに、大家がやってきた。たわいもない話をしながら一緒にジンを飲む。大家は以前JICAの人間と会ったことがあるそうだ。彼らは英語を話すことが出来ず、何か話しかけるたびに辞書を引いていたとのこと。昔の隊員も語学には苦労していたのだろう。

    大家が聞きました。
    大家「何かあったら何でも私に言ってくれ。何か必要なものはあるか?」
    私「私はLongsilogが好きなんだけど、このあたりでLongsilogを食べさせてくれる店はある?」
    すると大家、
    大家「Longsilogが食べたいなら、明日の朝持ってきてやるよ!」

    ※ Longsilogとはフィリピンの代表的な朝食。詳しくはこちら。

    翌朝起きると、大家のお手伝いさんがLongsilogを持ってきてくれた。ありがたい。Longsilogはロンガニーサ、目玉焼き、ガーリックライスのセット。ロンガニーサのほのかな甘みとガーリックライスの組み合わせがたまらない。大満足の朝食でした。
    次の日の朝、お手伝いさんがまたLongsilogを持ってきてくれた。大喜びでいただく。
    次の日の朝、お手伝いさんがまたLongsilogを持ってきてくれた。
    次の日の朝、お手伝いさんがまたLongsilogを持ってきてくれた。
    次の日の朝、お手伝いさんがまたLongsilogを持ってきてくれた。
    大家さんの好意はうれしいのだが、さすがにこう毎日Longsilogを食べていると、飽きてくる。ひょっとしたら、明日もLongsilogを持ってくるだろう。どうやって断ろうか悩む。。。
    次の日の朝、やはりお手伝いさんがLongsilogを持ってきてくれた。が、思い切って断った。「Longsilog食べたいけど、昨日パンを買ってきたからそれを食べようと思って。。。」
    次の日の朝、またお手伝いさんがやってきた。同じように断る。
    さすがに2度続けて断ったからか、翌朝はお手伝いさんはやってきませんでした。
    大家さん、やさしいんだけど限度を知らない。。。


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    パンシット・カガヤン 2003年10月8日

    パンシットとはフィリピンの麺料理。
    パンシットは任地によって作り方が異なります。
    私の任地のパンシットはパンシット・カガヤンと言います。牛ひき肉、レバー、野菜がふんだんに使われ、トッピングに卵が乗っており、さらに卵スープまでついてくると言う豪華なパンシットです。
    今回、同じバランガイにあるPANSITERIA(パンシット屋さん)にて、パンシットの作り方を見学させてもらいました。

    材料

    • にんにく→みじん切りにしておく
    • 赤タマネギ→みじん切りにしておく
    • 牛ひき肉
    • レバー
      →その他、ホットドッグ(日本でいう魚肉ソーセージ)などを入れてもよい
    • キャベツ
    • にんじん
      →その他、もやしなどを入れてもよい
      →食べやすい大きさにカットしておく
    • 生の中華麺※
    • 卵2個
    • 醤油
    • パティス(魚醤)
    • 味の素
    • 胡椒
    • スープ(牛肉を骨ごと長時間煮込んで取ったスープ/無ければ水でもよい)

    ※ フィリピンでは生の中華麺は2種類あります。油漬けのものと塩漬けのものです。どちらも同じ方法で調理します。日本の中華麺で作る場合は、蒸し麺を使うのがよいかも。。。

    作り方

    パンシット・カガヤン1
    1. 鍋に油をひき、にんにく、赤タマネギを入れて香りが出るまで炒める。

    1. 牛ひき肉、レバーを入れて炒める。火が通ったら、キャベツ、にんじんを入れてさらに痛め、醤油、味の素、胡椒で味をつける。
    パンシット・カガヤン2

    パンシット・カガヤン3
    1. 鍋にスープ、中華麺を入れ、生卵を割りいれる。醤油、パティス、味の素を少量入れる。

    1. ふたをして数分、中華麺に火が通るまで待つ。
    パンシット・カガヤン4

    パンシット・カガヤン5
    1. 鍋からスープを取り出し、別の容器に入れる。

    1. 軽く炒めて水気を無くしてからさらに盛る。盛り付けの順番は下から、中華麺、卵、具(肉、野菜)。

    ※ 写真の赤色のものはホットドッグ(ソーセージ)です。

    パンシット・カガヤン6

    パンシット・カガヤン7
    1. 5.のスープを鍋に戻す。鍋に溶き卵を入れてかき混ぜ、卵スープを作る。味が薄い場合は、醤油で味を調える。

    1. 出来上がり。カラマンシーを添えてどうぞ。好みでチチャロンを砕いてまぶしてもおいしいです。
    パンシット・カガヤン8

    話は変わりますが、今回は同僚2人がパンシットを食べよう!と誘うので、仕事中でしたがパンシット屋さんまで行きました。そこで2人はなんと、パンシットを食べながら酒を飲み始めたではありませんか!仕事中なのに!でも、せっかくだから私も付き合って酒を飲みました(ぉぃ
    大学に戻り、仕事中にもかかわらず酔っ払って椅子で寝る3人。日本ではありえない。。。


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    人事異動 2003年10月20日

    配属先で大規模な人事異動がありました。
    人事異動の概要は次のとおりです。

    • 学部長ドンの部下のひとりが学長となりました。
    • 新学長は大学内の組織を改変しました。
    • 組織改変に伴い、学部長ドンは降格となり、別の教員が新たに学部長となりました。

    この人事異動は私の活動に大きく影響してくることとなります。
    活動への影響は隊員報告書にて報告することとして、ここではそれ以外の気づいた点についていくつか記してみます。

    • 前学部長ドンの身内や親しい仲間(政治的グループ?)は降格、左遷、別の部署に異動となる。露骨でわかりやすい人事異動です。
    • 前学部長ドンは力で教職員を押さえつけるようにして彼らを管理していました。また、予算で購入したもの;たとえばパソコン関係のものは全部彼の部屋に置いてあり、他の教職員には自由に触らせていませんでした。さらに、私の活動の要請内容であるプロジェクトの資金として国からの予算である200万ペソは、何に使われたのかいまだにはっきりしません。今回の人事異動はそれら彼の行動に対するピープルパワーみたいなもののようです。
    • 前学部長ドンは学部長室を離れ、他の教職員室から遠く離れたところに彼専用の部屋を設けました。彼の秘書はクビになりました。彼は自分の部屋に"Poor Boys"と書き、昼飯も寂しそうに一人でコソコソと食べ、自ら自分がかわいそうな雰囲気を作り出しているようです。見ているほうもちょっと気の毒かなと思ったりします。
    • 新学部長は学部長室や教職員室のレイアウト変更を行いました。話によると、フィリピンでは上司が変わるたびに、彼の好きなようにレイアウトを変更するとのこと。はっきりいって時間や金がもったいないですが、見栄を重視するフィリピン人らしいです。
    • レイアウト変更などの作業は1週間以上かかりました。机を移動して片付けるだけの作業なのにどうしてそんなに時間がかかるのだろう。。。スピードが遅い。
    • 私の活動の要請内容であるプロジェクトは中止になりました。私が来る前の時点ですでに多額の資金が使われており、それに対して何の成果もあらわれていないので当然と言えば当然なんですが。とにかく、私の要請内容がなくなってしまったわけです。

    この混乱に乗じて、自分の活動をしやすいように働きかけました。まず、今まで行った現状調査をもとに要請内容を再決定。カウンターパートとしてコンピュータ学科の先生を選任しました。また、今までは私の机は学部長室にありマスコット的な存在でしたが、新学部長にお願いして教職員室に移動しました。これにより本格的に活動できる環境が整いました。
    私は今回の人事異動に対してはいたって中立的な立場をとっています。教員からは「新しい学部長はどうだ?」「前学部長をどう思う?」などと聞かれますが、「私は大学から給料をもらっていないから興味がない」といってはぐらかしています。

    これからは新学部長や教員と一緒にやっていきつつ、協力隊要請者である前学部長の顔もたてていかなければなりません。


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