Noism2 定期公演 vol.16 | |
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2025年3月8日(日)17:00 新潟市民芸術文化会館 劇場 | |
Noism2 地域活動部門芸実監督:山田勇気 Noism2 リハーサル監督:浅海侑加 |
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とぎれとぎれに (演出・振付:樋浦 瞳) (休憩10分) It walks by night (演出・振付:中尾洸太) (休憩15分) 火の鳥 (演出・振付:金森 穣) |
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新潟の宝ともいえる舞踊集団・Noism には、プロフェショナル選抜メンバーのNoism0、プロフェショナルカンパニーNoism1、研修生カンパニーNoism2
の3つががありますが、今回は Noism2 の定期公演です。2022年5月の定期公演以来3年ぶりに
Noism2 定期公演を観させていただくことにしました。 今回は Noism2 の代表作の「火の鳥」のほか、現役 Noism1メンバーによる振付作品が2つ上演されます。「火の鳥」は、2011年に初めて観させていただき、Noism の素晴らしさを遅まきながら感じ取ることができ、一気にファンになった思い出深い作品であり、この再演も楽しみです。 Noism2 は研修生メンバーですので、ここで学んで、新たなステージに向かって進んでいかれます。今回は全国から集まった9人の研修生による公演です。 日々の鍛錬の成果を、どのように表現してくれるのか、また現役Noism1 メンバーがどのような作品を提供してくれるのかを期待して観させていただくことにしました。 だいしほくえつホールでの品田真彦さんのリサイタルを終えて、他の音楽仲間と同様に、りゅーとぴあへ移動し、Noism2 の公演に臨みました。 ロビーでひと休みして入場し、席に着きました。2階席には余裕がありましたが、中央部分はびっしりで、なかなかの入りと言って良いでしょう。 開演時間となり、場内が暗転し、最初の演目は、樋浦 瞳さんの演出・振付による「とぎれとぎれに」です。幕が上がりますと、ステージにはL字型に折られて、右後方に向けて斜めに配置された大きな白い紙が照らし出されいました。ここに左手から1人が登場し、折られて後方部分がスクリーン状になった部分に、その影が投影されました。 その後1人、1人、2人、1人と登場し、6人により演じられました。フォメーションを変えながら踊り、紙をくしゃくしゃにして、その中にメンバーが消え、紙をまた広げ、さらにその紙を中空に吊り上げてと、大きな紙1枚が効果的に使用されて楽しませてくれました。 そこに込められた意味など、素養のない私に理解できるはずはないですが、人生は偶然の重なりであり、病気や怪我、事故、災害、戦争等で簡単に失われてしまう。その途切れ途切れの偶然のつながりの中に人間は生きている。くしゃくしゃにされた紙はいろんな災難を意味しているんだろうなあ。などと愚考したりしました。 研修生らしからぬ、まさに、これぞ Noism というパフォーマンスに圧倒されました。大きな拍手に応えてのカーテンコールの所作のぎこちなさもありましたが、フレッシュ感があって良かったです。最後に樋浦さんも登場して、大きな拍手が贈られました。 10分間の休憩を置いて、2番目の演目は、中尾洸太さんの演出・振付による「It walks by night」です。場内が暗転して幕が上がり、白いコートを着た男が左手から登場し、右端に移動して、キャンドルに火を灯し、ステージの端に座って灯火を見つめていました。 ステージ後方のドアから他のメンバーが登場し、9人全員で演技が行われました。チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」の第3楽章に合わせて、バレエのチュチュのような衣裳を着けて、クラシックバレエを髣髴させる踊りに、ちょっとコミカルな味付けがされて楽しませました。このチュチュみたいなものが重要な役割を演じて、フォーメーションを変えながら演技が進みました。 悲しみの前の空騒ぎの音楽から、第4楽章の悲嘆の音楽に変わり、心に沁みる音楽とともに演技が進みました。ステージ後方に並んだ7人の演者のチュチュ様の物体が、天へと昇り、雲のように7つが天上に浮かび、そして最後は、コート姿の男が1人となり、最初の静けさに戻りました。 照明が消えて暗黒の数秒間の後に明かりがつき、ステージ上に並んだ9人の演者に拍手が贈られ、最後に中尾さんが登場して、さらに大きな拍手が贈られました。 15分間の休憩の後、Noism2 のレパートリーである「火の鳥」です。レパートリーとは言っても、研修生は入れ替わるわけですから、このメンバーでは初演ということになります。 お馴染みのストラヴィンスキーの音楽にあわせて、曲順にパフォーマンスが進みました。白い仮面を着けた赤い衣裳の火の鳥、少年、そして闇・青年たち6人と、計8人で演じられました。 曲も振付も素晴らしく、レパートリーとして受け継がれているだけはありますね。最後に、暗かった照明が一気に明るくなる場面にはハッとされられ、最後の最後の演出はさすがと唸らせられました。 場内に大きな感動を引き起こし、感動のステージは終演となりました。カーテンコールが繰り返され、名残惜しさを感じる中に、場内の照明が明るくなって、強制的にカーテンコールは終わりになりました。 研修生ですので、体型・体格とも、正規メンバーとは大きく違います。といいますか、その差はかなり大きいと言わざるを得ません。しかし、良く鍛え上げられたパフォーマンスは、決して引けをとるものではなく、十二分に楽しませていただきました。 Noism1メンバーによる新作も個性があって見応えがありました。内容豊富なプログラムを、3本も演じてくれた Noism2 の皆さんの頑張りを賞賛したいと思います。これからのさらなる研鑽と発展を祈念したいと思います。 6月末には、Noism0、Noism1 による公演が予定され、7月には埼玉公演も行われます。今から楽しみであり、新潟の地に Noism がある幸せを感じ、誇りに思っています。 (客席:2階:15-24、¥2500) |