金森穣&山本真希 震災復興支援公演
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2011年7月1日(金) 19:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
企画・構成:金森 穣
りゅーとぴあ劇場専属舞踊団Noismより 井関佐和子(Noism1)、Noism2
りゅーとぴあ専属オルガニスト 山本真希
りゅーとぴあ演劇スタジオキッズ・コース APRICOT(ゲスト出演)
 
 
第1部

パイプオルガン(山本真希) J.S.バッハ:「幻想曲 BWV572」

APRICOT作品 「スーホの白い馬」より抜粋

(休憩10分)

第2部

詩朗読(山賀晴代) 谷川俊太郎「あい」

パイプオルガン(山本真希) J.S.バッハ:「われら悩みの極みにありて BWV641」

Noism1作品「Under the marron tree」(井関佐和子)
    演出振付:金森 穣、音楽:マーラー:交響曲第5番 第4楽章

パイプオルガン(山本真希) L.ボエルマン:「ノートルダムへの祈り」

(休憩10分)

第3部

Noism2作品 「火の鳥」
    演出振付:金森 穣、音楽:ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」

パイプオルガン(山本真希) J.アラン:「リタニー AWV100」
 
 

 りゅーとぴあが誇る所属アーチストによるチャリティ公演です。我らが山本さんのオルガンのほかに、Noismのパフォーマンスを見ることができるのも魅力に感じ、万難を排して駆けつけました。入場無料ですが、募金を呼びかけており、何度目かの募金をさせていただきました。

 コンサートホールは半分ほどの入りでしょうか。APRICOT目当てと思われる子供たちや、Noismファンらしきオバ様方が多く、いつものクラシックコンサートとは趣が異なります。正面はかなり埋まっていましたが、Cブロックに空きを見つけて席を取ることができました。

 最初は、ホールの照明が明るい中に、譜めくりを従えて山本さんが入場。照明が落とされ演奏開始。バッハの「幻想曲」が演奏されました。静かな出だしから、ダイナミックな中間部へ。さすがに山本さんの演奏は心に響きます。
 その後、続いてAPRICOTの子供たちによるミュージカルが上演されました。この夏に公演する「スーホの白い馬」という作品の一場面を先行上演した形です。子供たちの歌声の素晴らしさに驚きました。ジュニア合唱団かと思うほどでした。APRICOTのことは知ってはいましたが、これまで観たことはなかったです。これほど高水準とは知らず、これだけでも来た甲斐があったように感じました。

 第2部は、照明が明るい中に、能楽堂シェークスピア・シリーズで活躍する女優の山賀さんが入場。照明が落とされ、谷川俊太郎の詩が朗読されました。白い衣裳の山鹿さんはきれいでした。朗読の中、黒服の男性により、ステージ上に大きなテーブルと椅子が運び込まれました。
 引き続いて山本さんのオルガン演奏で、バッハの「我ら悩みの極みにありて」。これまた心に響く音色でした。演奏が終わると、テーブルから井関さんが落ちてきて驚きました。見てない人は何のことか分からないでしょうが、意表をつく演出に感激しました。オルガン演奏の間、テーブルの中に潜んでいたんですね。
 マーラーの「アダージェット」に合わせて、テーブルの上でのた打ち回ったり、奇声を上げたり、嘆きや悲しみ、狂気すら感じさせるような、切々たる情念が胸に響きました。
 私はNoismの単独の公演は観たことがなく、モダン・ダンスのことは全く素人で評価することなどできませんが、すばらしい演技だったと思わせるものは感じ取れました。
 その後、引き続いて山本さんのオルガン。「アダージェット」から「ノートルダムへの祈り」へと違和感なく効果的につながり、悲痛に打ちひしがれた心に癒しを与えてくれたように感じました。胸に迫る良い曲ですね。

 第3部は、Noism2による「火の鳥」です。これは私のような素人にも分かりやすいものでした。最後の演出には驚きがあり、大きな拍手が沸きあがりました。終演後にNoismファンの友人に聞いたら、火の鳥役の堀川さんは、体重も絞ってうまくなったとほめていました。
 最後は山本さんのオルガン。盛り上がった「火の鳥」の後の演奏で、どうなるものかと心配しましたが、しっとりとした山本さんのイメージとは大きく異なる情熱的な演奏に感激しました。四肢を縦横に動かし、腰をクネクネしながらの演奏は力強さを感じさせ、音量も全開。これほど爆発する演奏を聴かせてくれるとは驚きでした。最後を飾るにふさわしい名演奏だったと思います。

 最後に出演者全員がスーテージに登場してカーテンコール。カーテンはありませんけれど。何度も拍手に応え、感動的なフィナーレでした。

 金森さん自身の出演がなかったのは残念でしたが、すばらしい演出・構成だったと思います。照明も工夫されていて、各演目がシームレスにつながっていました。選曲も素晴らしく、全体がひとつの作品のように違和感がありませんでした。

 震災犠牲者への追悼から、復活への応援へ。メッセージが伝わる内容だったと思います。これほどの内容とは予想はしておらず、感動をいただいて感謝でいっぱいです。

 Noismのことは良く知りませんでしたが、今後見識を深めねばと感じました。APRICOTの子供たちにも感激しました。こんな素晴らしいアーチストを持つりゅーとぴあ、そして、りゅーとぴあを持つ新潟を誇るべきと思います。

 余談ですが、今日の開演のチャイムは、いつもとは違った鐘の音でなかなか良かったです。
 

(客席:2階C4−7、無料:チャリティ募金)