Noism2 定期公演 vol.13
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2022年5月22日(日) 15:00 新潟市民芸術文化会館 劇場
Noism2
浅海侑加(Noism2リハーサル監督)
青木愛実、兼述育見、小林亜優、土屋景衣子、渡部梨乃、糸川裕希、太田菜月、西川瑚子
 
Noismレパートリー
Me/mento, 4am"ne"siaci(2001年)より
Phychic 3.11(2011年)より
solo for 2(2012年)より
R.O.O.M.(2019年)より
Complex〜旧作と新作の複合による(2021年)より
砕破(2017年)より

(休憩15分)

火の鳥(2011年)
 今日は新潟市が誇るダンスカンパニー Noism の研修生カンパニーである Noism2 の定期公演に行ってきました。今回の定期公演は、りゅーとぴあ・劇場を会場として、昨日と今日の2回の公演が行われました。コロナ禍ということもありますが、研修生にもかかわらず、大きな劇場での2回公演というのは大したものですね。
 今回は13回目の定期公演ですが、昨年4月の第12回定期公演に引き続いて、今回も参加させていただくことにしました。

 今日は朝まで雨が降っていましたが、その後は止んで、昼過ぎには晴れ目も見えて何よりでした。所用を済ませ、ゆっくりと昼食を摂り、りゅーとぴあへと向かいました。
 2時過ぎにりゅーとぴあ入りしますと、コンサートホールでは三味線のイベントが開催されており、賑やかな三味線の調べが漏れ聴こえていました。見事な津軽三味線の演奏を東側ロビーでしばし聴かせていただきました。

 開場時間となり、開場開始とともに入場し、この原稿を書きながら開演を待ちました。開演時間が近付くにつれて客席は埋まり、なかなかの入りになりました。

 場内が暗転し開演です。前半はノイズムのこれまでのレパートリーの中から、Noism2の8人のメンバーによって、6つの作品が切れ目なく連続して上演されました。
 当然ながら、各作品は音楽も衣装も異なり、衣装替えなどどうしているのか心配になるほどの場面転換で、一瞬も目が離せませんでした。
 「Me/mento,4am"ne"siac」で開演しましたが、ステージ上に白いテープで長方形が描かれており、時計の音のような電子音とともに、演技が始まりました。いきなりの素晴らしいパフォーマンスに、一気にNoismの世界に引き込まれました。
 ダンサーが去るときに、ステージ上の白いテープも演技のひとつのように剥がし、バッハの「フーガの技法」にのせての「Physic 3.11」へシームレスに移行しました。
 その後はバッハの「パルティータ第1番」とともに「solo for 2」が演じられ、その神秘的なまでの神々しい美しさに酔い、電子音楽にのせての「R.O.O.M.」、「Complex」と続きました。
 最後は荒れ狂う波の音の後、鼓童による激しい太鼓のリズムとともに「砕破」が演じられ、再び波の音が流れて幕が下りました。

 休憩後の後半は、ディアギレフ生誕150周年を記念しての「火の鳥」です。2011年に Noism2 のために作られた作品ですが、好評のため何度か再演され、今回は6年ぶりの上演だそうです。再演とはいえ、メンバーは入れ替わっているわけですので、演じる側としては初めての作品になるものと思います。
 私は、2011年7月に観る機会がありましたが、今思えば、恥ずかしいことに、そのとき初めて Noism の素晴らしさに気付きました。
 さて、ストラヴィンスキーの名曲「火の鳥」は、言うまでもなくディアギレフからの依頼により作曲されたバレエ音楽です。当然振付があって演じられるわけですが、私は音楽には親しんでいるものの、バレエの実演は観たことがありません。
 音楽は組曲の1919年版が使用されました。イワン王子と6人のカスチェイにより物語が始まり、そこに真っ赤な衣裳の火の鳥が登場して物語が進みました。最後はステージが一気に明るくなり、ハッとした驚きの中に物語は閉じられました。
 素晴らしいパフォーマンスに劇場は感動で満たされ、Noism2 の8人のメンバーに大きな拍手が贈られました。数度のカーテンコールの後に終演となりましたが、研修生とは思えない見事なパフォーマンスでした。
 鍛え抜かれた体と質の高い演技に驚き、プロを目指す若者たちの情熱がダイレクトに伝わってきました。これほどの演技をしているのが研修生というのは驚きであり、Noism のレベルの高さを再認識しました。

 芸術性に溢れる素晴らしいパフォーマンスに胸を熱くし、新潟に Noism がある喜びをかみしめ、劇場を後にしました。
 

(客席:2階15-24、¥2000)