東京交響楽団第117回新潟定期演奏会
  ←前  次→
2019年12月1日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮:広上淳一
ピアノ:小山実稚恵
コンサートマスター:水谷 晃
 


 
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」〜ポロネーズ

ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op.11

(休憩20分)

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op.30

 5階の能楽堂からロビー階に下りてひと休み。ちょうど開場時間となり、早めに入場し、前のコンサートの感想を書きながら開演を待ちました。客の入りは良く、今シーズン最高ではないでしょうか。満席に近い客席は気分的に盛り上がりますね。

 今日の演奏会は、小山さんがピアノ協奏曲を2曲弾くというのが売りです。2016年7月の第96回新潟定期で、横山幸雄さんがピアノ協奏曲を3曲(リスト:1番、ショパン:1番、ラフマニノフ:2番)演奏したという快挙がありましたが、それに続くプログラムということになりましょうか。新潟定期では毎年こういう試みがあって集客増につながっているようで、良いですね。

 さて、私が小山さんを聴くのは、2017年3月のだいしホールでのリサイタル以来であり、協奏曲を聴くのは2012年4月のLFJ新潟でのラフマニノフの2番、そして2015年5月のLFJ新潟でのショパンの2番を聴いて以来です。新潟定期への登場は2005年7月の第32回新潟定期以来となります。一方、広上さんは2016年9月の第97回新潟定期以来3年振りの登場です。

 時間となり拍手の中に団員が入場。最後に水谷さんが登場して一礼し、チューニングとなりました。ステージ中央には初めからピアノがセッティングされており、オケの配置は通常の並びです。

 広上さんが登場し、最初は「エフゲニー・オネーギンからのポロネーズ」です。ちょっと重々しく感じ、個人的にはもっと軽やかにダンスを踊るような演奏を期待しましたが、シンフォニックな重厚なサウンドがホールを満たし、これはこれで楽しめました。

 青いドレスの小山さんが登場し、続いてはショパンのピアノ協奏曲第1番です。1曲目の印象と同様に、オケは重厚感あふれる演奏で、交響曲でも聴くような濃密な演奏でした。小山さんの演奏も力強く、強烈な打鍵から繰り出されるパワーあふれる音に圧倒されました。私がこの曲に勝手に思い描く、ロマンチックな、ちょっと軽さも感じる音楽とは対極的であり、後半のラフマニノフにも通じる感情の爆発に圧倒されました。

 後半はラフマニノフの3番です。小山さんはえんじ色のドレスに衣装替えして登場しました。演奏はパワー溢れるものであり、赤く燃えたぎるマグマの爆発のような演奏に、ただただ圧倒されるばかりでした。ロングヘアーでエレガントな容姿とは裏腹の、荒々しく荒野を駆け抜ける重戦車のようなパワーには驚きです。
 広上さん率いるオケの面々も負けることなく渡り合い、興奮と感動の高みへと駆け上がりました。絢爛豪華なラフマニノフ終止でフィナーレを迎えますとブラボーの声と割れんばかりの拍手がホールを満たしました。
 さすがに日本のトップに燦然と輝くピアニスト。とても還暦を過ぎたとは思えません。小山さんの実力をまざまざと見せつけられた演奏会でした。もちろん情熱には引けを取らない広上さんと東響の燃える演奏があればこそです。

 終演後には小山さんのサイン会も開催されました。本当にご苦労様でした。昨日の宴会の二日酔いも吹っ飛ぶ快演に、気分も爽やかにホールを後にしました。

  

(客席:2階C*-*、S席:定期会員)