水谷川優子&山宮るり子 デュオリサイタル
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2019年10月12日(土) 14:00 だいしホール
 
チェロ:水谷川優子、 ハープ:山宮るり子
 

サン=サーンス:白鳥
ファリャ:スペイン組曲 より  
      カンシオン、アストゥリアナ、ホタ
カサド:無伴奏チェロ組曲 より
      サルダーナ、ダンツァ・フィナーレ
グルック:精霊の踊り
ブルッフ:コル・ニドライ

(休憩20分)

J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第2番
パリッシュ=アルヴァース:大幻想曲「マンドリン」
ソッリマ:嘆き
加藤昌則・編:ケルト・スピリッツ

(アンコール)
近衛秀麿:ちんちん千鳥





 

 毎年恒例の、BSN主催の「しあわせのたねコンサート」です。入場料は「BSN愛の募金」へ寄贈され、県内の社会福祉施設に贈られるとのことです。

 今回はチェロの水谷川優子さんと新潟出身のハープの山宮るり子さんのデュオコンサートです。チェロとハープという珍しい組み合わせでのコンサートであり、私もチャリティへ参加させていただくことにしました。
 このお二人のデュオコンサートは、10月9日に上越文化会館で開催され、10日、11日は長岡市、燕市で新潟県文化振興財団主催のアウトリーチコンサート、そして明日の13日は三条東公民館でのコンサートがあります。連日のコンサートご苦労様です。

 水谷川さんは人気チェリストとして活発な活動をされており、公式HPを拝見しますと驚くほどの過密スケジュールです。ブログの記事では健康を害されたようで、その中での新潟5日間連続ツアーは大変なことと思います。
 水谷川さんは新潟には何度か来演されており、私も聴かせていただいたことがありましたが、ここしばらくは聴く機会がなく、2009年1月以来10年ぶりです。

 一方、山宮さんは新潟が誇るハーピストであり、その実力と実績は改めて紹介することもないでしょう。多彩なコンサート活動をされており、私も2013年3月以来何度も聴かせていただいていて、ここには書ききれませんが、直近では今年の4月27日に、りゅーとぴあ能楽堂でのコンサートを聴いていますし、年末にも聴く予定のコンサートがあります。
 実は、先日山宮さんの師であるメストレのコンサートがあったのですが、仕事で聴けませんでしたので、その代わりにハープが聴きたいという気持ちもあり、このコンサートに臨みました。

 前置きが長くなりましたが、超大型最強の台風が襲来中で、大荒れの悪天候となり、新潟県内でも様々なイベントが中止となり、このコンサートもどうなるのかと心配しましたが、予定通りに開催されて何よりです。

 今日は昼まで朱鷺メッセで仕事でした。途中で切り上げ、急いで昼食を摂り、風雨の中だいしホールへと向かいました。
 開場時間は5分早まり、開場とともに入場し、いつもの場所に席を取りました。悪天候のためか、客の出足は良くなく、私が最初の入場者となりました。開演時間が近付くにつれ、次第に客席は埋まってきましたが、ほどほどの入りでしょうか。交通機関の乱れで、来れなかった人も多かったものと思います。
 なお、受付で渡されたプログラムは、曲目が書かれた手作り感溢れる簡単な紙のみ。チャリティーコンサートですから、余計なものに金をかけないのはいい選択だと思います。でも、曲目解説はあった方が良かったかも…。


 開演直前にハープがステージに運び込まれ、場内が暗転し、オレンジ色のドレスの水谷川さん、クリーム色のドレスの山宮さんが登場し、「白鳥」で開演しました。音量豊かに朗々と鳴るチェロが心地よく、爽やかなハープの音色とともに、極上のサウンドで魅了しました。

 続いて、ファリャの「スペイン組曲」から3曲を熱く演奏。その後は、チェロ独奏でカサドの無伴奏チェロ組曲からの2曲、さらに、ハープ独奏で「精霊の踊り」をしっとりと演奏しました。
 そして、前半最後は、再びデュオで、「コル・ニドライ」を演奏。もともとはチェロとオーケストラのための曲ですが、オケパートをハープが一手に引き受け、心に響く祈りの音楽で感動を誘いました。

 休憩後は、一旦運び出されたハープが再びステージに運ばれ、場内が暗転して後半が開演しました。水谷川さんはパープル地にグレーの模様、山宮さんはモスグリーンのドレスに衣裳替えして登場しました。

 まずは、バッハのソナタです。3楽章からなる曲を、ときに激しく、チェロとハープが熱くせめぎ合い、ときにゆったりと、ハープの上でチェロが舞い踊り、聴き応えある音楽をたっぷりと聴かせてくれました。

 続いては、ハープ独奏でアルヴァースの「マンドリン」。華やかで煌びやか。ハープの魅力を伝えるにふさわしい曲です。マンドリンを弾くかのような細かいトレモロが美しく、高貴なサウンドの美しさにうっとりと聴き入りました。

 次はチェロ独奏で、ソッリマの「嘆き」。いかにも現代の曲であり、ロックテイストも感じさせました。曲名の如く、切々と聴く者の胸に迫る重音の響きの美しさ、高度な演奏技術に支えられた激しい感情の爆発に圧倒されました。

 そして最後は「ケルト・スピリッツ」。様々な楽器で演奏されている曲ですが、二人のために、チェロとハープ用に編曲してもらったものだそうです。スカボローフェア、グリーンスリーブスで始まり、ロンドンデリーの歌や庭の千草など、おなじみのアイルランド民謡やスコットランド民謡のメロディが散りばめられた美しい曲で、最後を飾るにふさわしい曲であり、演奏だったと思います。ハープの弦が切れるほどの熱演に、大きな拍手が贈られました。

 客席から花束贈呈があり、アンコールは水谷川さんの祖父である近衛秀麿作曲による「ちんちん千鳥」をしっとりと演奏し、極上のデザートで感動の演奏会を締めくくりました。

 外に出ると雨。次第に風は強まり、家に着く頃には暴風雨となりました。ニュースでは被害状況が刻々と伝えられています。早く台風が去りますように・・。そして、被害が広がりませんように・・。

 

(客席:F-6、¥2000)