NHK交響楽団 新潟公演
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2013年3月16日(土) 18:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:尾高忠明
フルート:小山裕幾、ハープ:山宮るり子
コンサートマスター:篠崎史紀
 


ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」 作品92

モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299

(ソリストアンコール)
イベール:間奏曲

(休憩20分)

ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88

(アンコール)
ドヴォルザーク:スラブ舞曲 作品72-2
 
 

 新潟日報の新社屋「メディアシップ」の開業記念の演奏会です。新潟出身で世界に羽ばたく小山さんと山宮さんがN響と共演するのが楽しみです。いかにも金のかかった豪華なチラシも異彩を放っており、新潟日報の力の入れようは半端ではありません。
 N響を聴くのは、昨年9月の柏崎での演奏会以来、半年振りになります。そして、りゅーとぴあで聴くのは2010年1月以来3年ぶりです。わがホームグランドのりゅーとぴあでどんな演奏を聴かせてくれるのか期待が膨らみました。

 今日は午前中は快晴でしたが、午後は天気予報通りに、厚い雲に覆われ、肌寒くなりました。仕事を終え、りゅーとぴあに到着。白山公園の桜の蕾も膨らみ始め、春近しを実感しました。

 ホールに入るとステージ周りに花が配され、開業記念の祝祭的雰囲気が感じられました。年に何度もない満員のホールは気持ち良かったです。

 拍手の中団員が入場。今日のコンマスの篠崎さんが一礼してチューニング。尾高さんが登場して「謝肉祭」で開演です。

 最初の音で、アレッという違和感。オケの鳴りが良いのですが、管と弦、特にヴァイオリンとのバランスが悪く、賑やか過ぎて、出だしのメロディラインが聴き取れませんでした。その後は、耳が慣れたのか、オケの方で修正したのか定かではないですが、いい演奏だったと思います。切れがあるとでも言いましょうか、メリハリのある演奏でした。

 続いては、注目の「フルートとハープのための協奏曲」です。オケの編成は小さくなり、弦五部は10-8-6-4-2となりました。金色のハープが運びこまれ、開演です。
 小山さん、山宮さんとも素晴らしい演奏でした。小山さんを聴くのは2008年3月以来でしたが、情感豊かにゆったりとした演奏は、落ち着きを増し、余裕を感じさせる演奏でした。山宮さんを聴くのは初めてかと思いますが、期待にたがわぬ演奏だったと思います。第2楽章などは、天に昇るかのような気持ちにさせてくれました。
 ソリストアンコールは圧巻でした。新潟が世界に誇る二人であることを満員の聴衆に知らしめてくれたのではないでしょうか。

 後半のドヴォ8もいい演奏でした。こんなにもダイナミックに、バシッと決めてくれるとは驚きでした。尾高さんのキビキビとした指揮に応えて、アンサンブルの乱れもなく、迫力いっぱいの演奏でした。ところどころのソロもお見事。さすがにN響と感服しました。
 この曲のN響の演奏は、2009年6月に加茂で聴いていますが、そのときより格段に良かったです。フィナーレでの盛り上げ方など最高でした。新潟で聴くN響はイマイチ燃えない印象を持っていたのですが、昨年の柏崎での演奏といい、燃え上がるような力の入った演奏だったと思います。

 アンコールは予想通りにスラブ舞曲。盛り上げるに良い第1番や第8番ではなく、メランコリックな第10番(作品72-2)を選んだというのも良かったです。極上のデザートをいただいたという感じでした。

 新潟でのN響の演奏は何度か聴いていますが、これまでで一番気合が入っていたように思います。音響的には「?」と感じないでもありませんでしたが、演奏そのものは文句ありませんでした。小山さん、山宮さんの頑張りもありましたし、開業記念のコンサートとしては大成功ではなかったでしょうか。
   

(客席:2階C6−11、S席:¥9000)