品田さんの演奏は、ドイツから帰国された翌年の、2012年12月に、新潟市西区でのコンサートで聴いたのが最初で、以後いろんな機会で何度も聴かせていただいています。品田さんの人柄の良さとともに、すっかりファンになってしまいました。
今日は久しぶりのリサイタルということで、是非とも聴かねばと思っていましたが、仕事が入って行けないことになり、残念に思っていました。
ところが、私の思いが通じたのか、仕事の予定が変更となり、今日は休みが取れて、コンサートに行くことができました。その代わり、次の連休は休みなしになりましたけれど…。
ということで、今日は朝一番に、映画館に行き、「蜜蜂と雷鳴」を鑑賞。圧倒的なピアノ演奏に感嘆しました。吹き替えは河村尚子、福間洸太朗、金子三勇士、藤田真央という実力者たち。全曲聴きたいという思いに駆られる凄い演奏です。プロコフィエフを聴きたくなること必至です。
このピアノの感動とともに、古町へ移動。古町どんどんのライブを聴き、三吉屋でいつもの中華大盛りをいただきましたが、消費増税で50円値上げされていました。
頃合を見て、だいしホールへ移動。既に開場されており、いつもの左手に席を取りました。客席には老若男女がいっぱい。年齢層の幅広さが目立っていました。若い人が多いのは良いですね。
今日の演目は、シューマンとリストというロマン派の二人。曲目はなかなか渋いもの。リサイタルといいますと、ピアノソナタを並べるのが常道と思いますが、意表をついた選曲で、個性が出ていて良いように思います。
時間となり、チョッキ姿の品田さんが登場。シューマンのダヴィット同盟曲集の全18曲が続けて演奏されました。先日のエリック・ル・サージュの演奏会のアンコールで第14曲が演奏されましたが、このように部分的に聴くことはあっても、こうして全曲聴くのは初めてです。
各曲の対比も鮮やかに、柔らかな豊潤な響きをベーゼンドルファーから引き出し、多彩な音色で魅了しました。聴いているうちに何曲目かわからなくなりましたが、18曲を物語を語るように、見事に弾き分け、飽きさせずに聴かせてくれました。
休憩時間には、品田さんのご親戚である新潟の音楽界の重鎮S氏と音楽談義。含蓄のあるお話が聞けて良かったです。受付におられた品田さんのお母様を紹介してくださいました。
後半は、品田さんの挨拶の後、リストの巡礼の年第1年より5曲が演奏されました。この曲集は、単発的に聴くことはあっても、まとまって聴く機会はないように思います。
第1曲「ウィリアム・テルの聖堂」は、ベーゼンドルファーを思いっきり響かせ、重厚で豊潤、ダイナミックな音響でウイリアム・テルを讃える壮大な音楽を奏で、ホールを大聖堂へと変えました。
第6曲「オーベルマンの谷」は、柔らかな響きの中で、揺れ動く青年の心、苦悩を鮮やかに示現し、熱い思いが切なく胸に迫ってきました。
第7曲「牧歌」は、春の訪れを祝うかのような明るさに満ちて、草花が咲き乱れるアルプスの平原が眼前に広がるかのようでした。色鮮やかな音楽でホールを満たしました。
第8曲「望郷」は、アルプスの故郷への望郷の念が熱く燃え、聴く者の心にも深く染み入り、揺り動かし、切々とした音楽に、胸を熱くしました。
第9曲「ジュネーブの鐘」は、娘に捧げる優しさと愛情に満ちた音楽に、聴く者の心をほっとさせ、明るくし、幸せな気分へと導いてくれました。
ブラボーの声とともに大きな拍手が贈られ、アンコールにトロイメライを優しく穏やかに演奏して終演となりました。
品田さんの人柄の良さも感じ取れる攻撃的でなく優しさに満ちた演奏に、大きな感動をいただきました。期待を裏切らない素晴らしいコンサートに心も明るく、幸せ気分で駐車場へと向かいました。品田さんの益々のご活躍を祈念したいと思います。
演奏もさることながら、今日はもっと素晴らしいことがありました。新潟の音楽ブロガーとして活躍されていましたが、交通事故で重傷を負い、長らく療養されていたりゅーとさんとお会いできました。これからコンサート通いを再開されるとのことであり、完全復活をお祈り申し上げます。
(客席:F-6、¥2000) |