奥村和雄ヴァイオリン教室門下生 第58回小さな音楽会
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2018年8月4日(土) 14:00  新潟市音楽文化会館
 
合奏指導:奥村和雄、加藤礼子
ゲスト:鍵冨弦太郎、奥野玄宜、小形響、湯原拓哉、奥村景 ほか
 

ヘンデル:コンチェルトグロッソ 変ロ長調 Op.6、No.8、HWV32

シューベルト:弦楽四重奏曲第12番 ハ短調 D.703 「断章」
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番 イ短調 Op.13 より 第1楽章

 Vn1:鍵冨弦太郎、Vn2:奥野玄宜、Vla:加藤礼子、Vc:湯原拓哉

(休憩15分)

ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 イ短調 Op.3、No.8、RV522
  
   独奏Vn1:村田絵舞、Vn2:齊藤啓太郎

ピーター・ワーロック:Capriol Suite

   




 

 奥村和雄先生のヴァイオリン教室は、毎年2回「小さな音楽会」として発表会を開いています。冬は個人の発表会、夏は合奏の発表会となっています。
 たくさんのプロ奏者を輩出している教室ですので、その演奏水準の高さは定評があり、「小さな音楽会」という表現は当たりません。夏の演奏会は合宿して臨み、素晴らしいアンサンブルの演奏を聴くことができます。
 他の予定との兼ね合いでなかなか聴く機会がありませんが、2014年の第50回記念演奏会以来4年ぶりに聴かせていただくことにしました。

 猛暑続きでうんざりの毎日ですが、所用を済ませて音文へと向かいました。夏休み中のこの時期は催しがいろいろあり、りゅーとぴあでは「帰ってきた ホルンで奏でる 紅白歌合戦 2018」があります。2014年8月に聴かせていただき、楽しかった記憶があり、当初はそちらに行こうと考えていたのですが、この演奏会があることを知り、予定変更した次第です。

 いつもの上古町の楼欄で冷やし中華大盛りを食べてコンサートに臨みました。音文に行く途中にりゅーとぴあを覗いてみますと、例の“紅白歌合戦”の開場待ちの長い行列ができていました。盛況で何よりです。これで気兼ねなく音文に行けます。まあ、私が気兼ねする必要などないのですけれど。

 音文に到着しますと、開場5分前に関わらずロビーには数人のみ。開場待ちの列はなく、私が1番になりました。数分遅れて開場され、前方に席を取りました。最終的な客の入りはそれなりにでしょうか。

 開演時間となり、最初は全体合奏で、ヘンデルのコンチェルトグロッソです。ヴァイオリンが左右(1st:9、2nd:10)に別れ、これにヴィオラ2(奥村和雄先生、加藤礼子さん)、チェロ2(奥村景さん、湯原拓哉さん)、コントラバス1(別森麗さん)が加わり、コンマスは奥野玄宜さんです。
 見るからに小さい年少者から奥村先生の大ベテランまで、幅広い年齢層のアンサンブルでしたが、演奏の素晴らしさに驚きました。さすがに新潟随一のヴァイオリン教室だけはあります。あんなに小さい子までが良い音を出しているなんて、素晴らしいです。そして、ちっちゃな子どもと大人が席を並べて演奏している姿も良いですね。

 続いては、鍵冨さん、奥野さん、加藤さん、湯原さんの4人による弦楽四重奏で、鍵冨さんの挨拶の後、シューベルトの「断章」とメンデルスゾーンの第2番の2曲が演奏されました。
 この4人は桐朋で同学年(奥野さん以外は同級生)だったというのも驚きです。3日間の“奥村合宿”で合わせただけだそうですが、信じられないくらいに息の合ったアンサンブルに聴きほれました。さすがに下の名前で呼び合う仲間同士ですね。

 休憩の後、村田さん、齊藤さんお二人の若きソリストを迎えてのヴィヴァルディの2つのヴァイオリンのための協奏曲です。村田さんがオケをリードして、2人のしっかりとしたソロで聴き応えある演奏に仕上がっていました。
 バックの弦楽オケは入れ替わりがあり、第1、第2ヴァイオリンはそれぞれ10人ずつになっていました。ソロもさることながら、バックの弦楽オケのアンサンブルの素晴らしさにも感銘しました。

 最後はカプリオール組曲です。メンバーの移動があり、第1ヴァイオリンが10人、第2が8人になり、コンマスは鍵冨さんでした。
 演奏は言うことはありません。お見事というしかないきれいな弦楽アンサンブルです。新潟市にはいくつかのアマオケがありますが、弦楽アンサンブルだけで言えば、年少者も多いこのアンサンブルの音色が勝っているのではないかと思い巡らしながら聴いていました。
 指導者の奥村先生と加藤さんがヴィオラ席から目を光らせてまとめ、チェロの2人とコントラバスが下から支え、大人が子どもをリードして高水準な弦楽アンサンブルを作り出していました。

 期待はしていましたが、期待以上の演奏に大満足でした。会場内には親御さんたちがビデオカメラを構え、わが子の晴れ舞台を撮影されていました。その中には私と同業の知人の姿もありました。素晴らしい演奏でよかったですね。
 

 コンサートはかなり早く終わりましたので、チラシ集めにりゅーとぴあに寄ってみましたら、“紅白歌合戦”の様子がロビーに漏れ聴こえていましたので、東側ロビーの椅子に座ってしばし聴き入りました。
 司会のチャーリー犬和田さんの楽しいお話で盛り上がっていて、私もにやにやしながら聴いていました。こぶしの効いた小林幸子の「思いで酒」の演奏には思わず笑ってしまい、そして、中島みゆきの「時代」、高橋真梨子の「for You」や谷村新司「昴」、美空ひばり「川の流れのように」などの情感たっぷりの演奏にはうっとりしました。
 おそらく後半の大部分を聴くことができましたが、犬和田さんの軽妙なトーク、石井さんのピアノと新澤さんのパーカッション、鷲見さんのベースをバックに、大野さん、上間さんのホルン演奏の素晴らしさには感動しました。さすが東響メンバーですね。
 今年は赤組の優勝でした。表彰式では他人とは思えない支配人さんも登場。アンコールの和田アキ子の「あの鐘を鳴らすのはあなた」まで聴かせていただき、たっぷりと演奏を楽しみ、得した気分で家路につきました。
 

(客席:8-9、無料)