先週「第九」を聴いたばかりですが、再びの「第九」です。今度はドヴォルザークとベートーヴェンの2本立てという豪華プログラムです。これでこの料金はお徳といえましょう。
ということで、後先考えずに衝動的にネット購入してしまったのですが、後でキャトル・フルートのコンサートがあることが分かって後悔してしまいました。まあ、良くあることですけどね。
さて、昨日は冬至でしたが、寒波の中休みで、冷え込みも厳しくなく、比較的過ごしやすい天皇誕生日となりました。開演が15時からと遅かったので、音楽文化会館で13時半から開催された新潟市ジュニアオーケストラ教室のクリスマスコンサートを前半だけ聴かせていただいてからコンサートに臨みました。
主催者側は弱気だったようで、チケットは3階席の発売はなかったですが、発売された席はほぼ満席という大盛況となりました。1年の最後を飾るには相応しいプログラムで集客に成功したのでしょう。
開演時間となり団員が入場。オケの編成はいわゆる14型です。ステージ後方に合唱団席と独唱者席が設けられていましたので、オケは前方に密集するような形になりました。
前半は「新世界より」です。ちょっとあっさりした感じがありましたが、速めに軽快に演奏が進みました。アンサンブルの乱れはなく、オケの水準の高さが感じられました。
この曲は誰もが知る名曲中の名曲であり、今年1月にNHK交響楽団、7月に新潟大学管弦楽団、同じく7月に山形交響楽団(第4楽章のみ)、9月に東京交響楽団が演奏しており、それぞれが魅力ある演奏でしたが、これも良い演奏だったと思います。変に思い入れすることなく、熱くなり過ぎないクールな演奏に感じました。難点がない代わりに一期一会の感動と興奮もないとも言えます。後半に「合唱付」が控えていますので、これくらいの感動に抑えておくべきでしょう。
後半はいよいよメインの第九・「合唱付」です。合唱団席が空席のまま演奏が始まりました。先週潟響の演奏を聴いたばかりですが、さすがにプロオケの演奏は違いますね。このプログラムで全国ツアーやっているわけですから、手馴れたという感じです。速めのスピードで、変に緊張感を強いることもなく、軽快に演奏が進みました。
第2楽章が終わったところで合唱団と独唱者が静かに入場しました。公演のチラシにも、配布された曲目の紙にも合唱団についての記載は全くなく、どういう合唱団か何の情報もありません。1000円で販売された有料のプログラムにはもしかしたら書いてあったのかもしれませんが、全く不親切だと思います。ともあれ平均年齢は若そうな日本人の合唱団です。
合唱団と独唱者が着席して第3楽章が始まりました。さすがにこの楽章はゆったりと歌わせて、うっとりとさせてくれました。まあ、曲自身がそうなっているわけですけれど。
そして第4楽章。ここも若干速めに飛ばします。各楽章のメロディが提示されて、いよいよ歓喜の歌の始まりです。盛り上がったところでバリトンが入るのですが、ちょっと私好みではありませんでした。声量があるのですが、変に癖のある節回しで、オペラで演技するような歌い方で、違和感を禁じ得ませんでした。
他のソリストも存在感が薄く、特にテノールは弱々しく、声が聴き取りにくかったです。ソプラノもアルトも似たり寄ったりで、先週の第九の日本人ソリストに負けていました。
合唱団は良かったです。人数的には先週の第九の半分以下と思いますが、声量も十分にきれいなハーモニーを聴かせてくれました。
エンディングはスピードアップして興奮のフィナーレと行きたかったですが、スピード違反はせず、法定速度の安全運転で終演となりました。フルトヴェングラーのバイロイトの第九とまではいかなくても、もっとオケを煽って乱れても良かったかもしれません。最後の盛り上げに関しては先週の第九の方が好きでした。
とまあ、突っ込みどころはありましたが、十二分に楽しめたコンサートでした。この値段でこの内容なら何の文句もありません。
キエフ国立フィルといってもどんな団体か分かりませんが、国立フィルハーモニー協会に属するオケとのことで、外貨獲得のために巡業に出ているようです。この重量プログラムで連日公演し、このまま日本で年越しをして、来月もシルク・ド・ラ・シンフォニーというサーカスと音楽を合体した公演のオケとして新潟に再びやってきます。ご苦労なことです。
最後に、やっぱり合唱団について知りたいなあ・・・。
(客席:2階C6-1、S席:会員割引¥7470) |