ロシア国立交響楽団
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2017年11月12日(日)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:ヴァレリー・ポリャンスキー
 


チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 作品36

(休憩20分)

チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 作品64

(休憩20分)

チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」


 

 

 ロシア国立交響楽団は、玉石混交のロシアのオケの中での位置付けがどうなのか未だに良く分かりませんが、1957年に設立された全ソビエト放送オペラ交響楽団を前身とし、のちにソビエト国立文化省交響楽団と改称し、さらに1991年にソビエト連邦国立室内合唱団と合併して現名称になったのだそうです。
 1992年からポリャンスキーが音楽監督を務め、2015年夏に初来日し、今回と同じチャイコフスキーの三大交響曲を一挙に演奏するという快挙を成し遂げ、私も聴かせていただきました。ちょっと癖のある演奏でしたが、それなりに満足できた演奏会だったように記憶しています。

 今シーズンの新潟はチャイコフスキーの交響曲続きで、4番こそ無かったですが、5番は6月に北区フィル、9月に新潟市ジュニアオケ、10月に茂木オケロンドン・フィルで演奏され、12月の新潟大学管弦楽団の定期でも演奏されます。6番は7月のモスクワフィル、10月の茂木オケで演奏されています。
 前回公演からまだ2年しか経っていませんし、今年これだけ聴いていますから今回は止めにして、長岡での東京フィルにしようかとも思ったのですが、ネットでどんな席があるかと調べたときに、勢いでチケット購入ボタンをクリックしてしまい、ちょっと後悔したというのが真相です。
 どうせなら別のプログラムにすればよいのに思いましたが、三大交響曲をまとめて演奏するというお得な演奏会であり、話の種にはなるでしょう。何はともあれ、3時間に及ぶコンサートですので、気合を入れて臨みました。

 昨日の荒れ模様が去り、今日は穏やかな日曜日となりました。ゆっくりと昼食をとり、ホール入りしました。チラシ集めをしてゆっくりと入場。もともと3階サイド席は販売されていませんでしたが、それを除けば、客席はほぼ埋まって、なかなかの客の入りになりました。ステージに段は作られておらず、平らのままで、指揮台もありません。

 開演時間となり、拍手の中に団員が入場。大柄のポラャンスキーさんが登場して、第4番で開演しました。ちょっと癖のあるメロディの付け方はありましたが、いきなりの金管の咆哮で、まさにロシアのオケです。これぞ本場物と言わんばかりの迫力でした。第3楽章のピチカートは猛スピード。このままアタッカで第4楽章に突入かと思ったのですが、休みが入って肩透かし。ゆっくりめに始まってだらけたようになり、どうなるのか心配させましたが、最後はスピードアップして締めてくれました。ブラボーの声も上がり、休憩に入りました。

 続いては第5番です。緩急の幅を大きく揺らせ、歌わせ所はこれでもかと言わんばかりにゆっくりとゆったりと歌わせ、他は有無も言わせず突き進みます。第2楽章冒頭はゆっくりと始まり、ホルン・ソロはゆったりと奏でられ、お見事でした。第3楽章は意外にあっさり終わり、怒涛の第4楽章へ。始めからテンポアップし、スピードを緩めぬまま感動と興奮のフィナーレを迎えました。これは文句のない演奏で、最近聴いたこの曲の最良の演奏に思えました。

 2度目の休憩の後は第6番「悲愴」です。これまで同様に、緩急・強弱の幅を大きくし、聴く者の心を揺さぶります。第1楽章はゆっくりと始まり、強奏部では金管が咆哮しました。第2楽章はやや速めに穏やかに進み、第3楽章へ。これまでの経過からですと、狂乱して大爆発するものと思ったのですが、比較的おとなしく終わり、アタッカで第4楽章に突き進みました。1発だけ鳴るドラはもっと低音の方が良かったように思えましたが、むせび泣くような悲しみの中に音が消え、数秒の静寂ののち終演となりました。

 3時間を超えるコンサートに疲労感を感じましたが、心地よい疲労です。オケの皆さんはもっとお疲れのはずであり、本当に御苦労様でした。ボリュームと演奏内容を考えますと、料金設定は良心的であり、満足度の高い演奏会だったと思います。
 これぞロシアというような演奏に、聴き飽きた感のある曲目ではありましたが、新鮮な感動をいただきました。大きな満足感を胸に家路に着きました。

 

(客席:2階C7-39、S席:会員割引¥7200)