第52回新潟県音楽コンクール受賞者コンサート
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2017年11月11日(土)14:30 だいしホール
 
 
ピアノ:石井宥輔 (最優秀賞)
 ドビュッシー:喜びの島
 ラヴェル:クープランの墓より 1.プレリュード、5.メヌエット、6.トッカータ

ソプラノ:高津亜美 (最優秀賞) ピアノ:森田雅代
 プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」より “私の名はミミ”、“あなたの愛の呼ぶ声に”
 カタラーニ:歌劇「ワリー」より “さようなら、ふるさとの家よ”
 プッチーニ:歌劇「トスカ」より “歌に生き、恋に生き”

チェロ:山内睦大 (最優秀賞) ピアノ:田中健太郎
 バッハ:無伴奏チェロ組曲第6番 ニ長調 BWV1012より プレリュード
 シューマン:アダージョとアレグロ Op.20
 ポッパー:タランテラ Op.33

(休憩15分)

ピアノ:馬上敏徳 (県知事賞)
 モーツァルト:ピアノソナタ第13番 KV333 第1楽章、第3楽章
 ベートーヴェン:ピアノソナタ第3番 Op.2-3 第1楽章

フルート:石崎彩夏 (県知事賞)  ピアノ:松田 龍
 ウェーバー:魔弾の射手による幻想曲
 ジョリヴェ:リノスの歌
 

 毎年恒例の新潟県音楽コンクール受賞者コンサートです。毎年ピアノ以外の応募者が少なくて偏りがありますが、今年は204人の応募者があったそうです。今回は1985年以来32年ぶりに大賞は該当なしに終わりましたが、県知事賞2人、最優秀賞3人の5人の受賞者の演奏を聴くことができます。

 今日は発達した低気圧の影響で、雨は上がったものの、強風が吹き荒れ、生憎の天候となりました。いつものように三吉屋で中華大盛を食べ、だいしホールに到着しました。既に開場時間は過ぎていましたが、それほど混みあうこともなく、いつもの場所に席を取りました。開演時間が近づくにつれ客も増えて、最終的にはほぼ満席という状況になりました。

 美しいBSNの林莉世アナの司会進行で、出演者へのインタビューを交えながら演奏が進められました。前半は最優秀賞の3人、後半が県知事賞の2人です。

 最初はピアノの石井さんで、上越教育大大学院2年生です。トップバッターということもあってか、かなり緊張した印象でしたが、力強く、ダイナミックな演奏でした。いつも聴くこのホールのベーゼンドルファーとは違った音色で驚きました。個性が感じられるいい演奏だったと思います。

 次はソプラノの高津さんで、国立音大を卒業し二期会準会員だそうです。黒いドレスで、堂々としたお姿から、声量豊かな声がホールいっぱいに響きました。ソプラノ・ドラマティコというべき歌声で、感情豊かに歌い、大歌劇場でも十分と思われるような声量で魅了しました。ものすごい存在感を感じさせましたが、演奏後のインタビューでは若々しく、そのギャップも魅力的でした。素晴らしいオペラ歌手になられるのではないでしょうか。

 続いてはチェロの山内さんで、新潟大学在学中です。チェロの音色がちょっとくすんでいて渋く感じましたが、朗々と歌わせていました。テクニックに不安定さは無く、落ち着いた演奏だったと思います。ピアノの田中さんも良かったです。

 休憩後の後半最初はピアノの馬上さんです。亀田中学校の2年生だそうで、私の後輩に当たります。中学生らしからぬ落ち着きと音楽性に溢れた演奏に驚きを感じました。来年は受験で大変そうですが、なかなかの逸材と思われ、今後の音楽的成長が期待されます。

 最後はフルートの石崎さんです。中学校卒業後に上京し、現在桐朋音大2年生の20歳です。赤いドレスで登場しましたが、アイドルとしても十分通用しそうな容姿で、その華奢な体からは想像できないパワー溢れる演奏に驚きました。ピアノの松田さんの素晴らしいサポートもあって、抜群のテクニックで渾身の演奏を聴かせてくれました。新潟にはキャトルの皆さんをはじめ美人フルーティストが何人もおられますが、その存在を脅かす美貌とテクニックだと思います。今後の活躍が楽しみです。

 
 さすがに受賞者だけあって、いずれの出演者も素晴らしい演奏でしたが、個人的にはソプラノの高津さんとフルートの石崎さんが特に良かったかなと思いました。これからそれぞれの道を歩んでいくものと思いますが、さらに成長した姿を見せていただきたいと思います。

 才能溢れる若者たちの生き生きした演奏に力をいただき、爽やかな気分で帰路に着きました。

 

(客席:E-6、¥800)