ロシア国立交響楽団
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2015年7月17日(金) 18:30  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:ヴァレリー・ポリャンスキー
 

チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 作品36

(休憩20分)

チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 作品64

(休憩20分)

チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」
 
 
 

 一晩でチャイコフスキーの三大交響曲をまとめて聴けるというお得なコンサートです。どれもがコンサートのメインになる曲。ヴォリューム満点なのは良いのですが、聴く方も覚悟を要します。

 平日開催、それも18時半の開演というのは厳しいものがありますが、職場に根回しをして、17時半で退勤させていただき、大急ぎでホールに向かいました。ところが、駐車場はどこも満車。いろいろ公演が重なっていたようです。少し離れたコインパーキングに駐車して、大急ぎでランニング。どうにか開演には間に合いました。

 ホールに入りますと、1階席の前方に空席が目立ちますが、ステージ周りの席はかなりの混雑であり、全体としてみますと、かなりの集客ができたようです。S席8000円に対して12000円というSS席が販売されましたが、全て埋まっていました。たいしたもんですね。

 さて、ロシア国立交響楽団を聴くのは初めてです。ロシアのオケの中で、どういう位置付けになるのかは全く知りませんが、1957年創設の全ソヴィエト放送オペラ交響楽団が前身で、第4代音楽監督のロジェストヴェンスキーの時代にソヴィエト国立文化省交響楽団に改称し、1991年から現在の名前になったそうです。
 ロジェストヴェンスキーといえば、学生時代にチャイコフスキーの交響曲全集を買って聴いていたのを思い出します。あの頃は新潟駅前の石丸電気に通いつめていたなあ・・、などと感慨にふけりました。

 でも、ウィキペディアでロシア国立交響楽団を調べますと、スヴェトラーノフが録音を残しているロシア国立交響楽団(旧ソヴィエト国立交響楽団)が出てきて、今日のオケについては「ロシア国立シンフォニー・カペラ」を参照するようにとのことです。
 ロシア国立交響楽団に限らず、モスクワには似たような名前のオケが多数存在し、玉石混交。ボリショイ何とかというオケが問題になった事件も記憶に新しいところです。調べれば調べるほど混乱してしまいます。

 話を戻しまして、いよいよ開演です。オケは間隔を詰めて、ステージ中央に密集するような配置で、指揮台は置かれていません。体格の良いポリャンスキーが登場して、最初は4番です。
 ロシアのオケですので、圧倒的音量で賑やかに爆発するのかと思いましたが、穏やかな演奏で始まりました。冒頭の金管のファンファーレの後の全休止が、切れ良くバシッと決まると良いのですが、ちょっとばらけて、イマイチのスタートでした。最初はゆっくり目でどうなるかと思いましたが、だんだんエンジンがかかってきました。木管のメロディの受け渡しもきれいな音色でした。
 テンポ設定に癖があり、私の好みと馴染めない所もありましたが、盛り上がった良い演奏だったと思います。第3楽章のピッチカートは猛スピードで突進。そのままアタッカで第4楽章に突入すると演奏効果が上がったと思うのですが、休みが入ってしまい残念でした。「ため」も作りすぎだったかも・・。でも、十分満足できる演奏でした。

 休憩時間にホワイエで出会った音楽仲間と話しましたが、その人は演奏を酷評していました。確かに癖があり、演奏技術が特に優れているとも思えませんが、私はそれなりに楽しめました。

 次は5番です。最初は馴染めない演奏で、先ほどの音楽仲間が語っていたように、確かに良くないなあと感じながら聴いていました。4番では良いかなと思った管のできも良くなく、いつか聴いた新潟市ジュニアオケの伝説の名演の方が良かったんじゃないかという思いすら感じました。
 せっかくのメロディを歌わせてくれず、素っ気無い音楽に苛立ちを感じました。やはりテンポを大きく動かし、第2楽章の大事なホルンソロも、ゆっくり過ぎた演奏で息切れして音を外しました。木管の音色も良くなかったです。
 どうなるかと思いましたが、しだいに盛り上がって、エンジン全開。終楽章はしっかりとまとめてくれました。終わり良ければ全て良し。ちゃんと聴かせどころは盛り上げてくれるのはさすがです。終わってみれば、しっかりと感動させていただきました。

 2度目の休憩の後、最後は6番です。これは最初から良かったです。今日の3曲では一番良かったと思います。音量も十分。第1楽章の音量がこの日の最大ではなかったでしょうか。甘いメロディーの後、バスクラリネットの低音に続く強烈な一撃。弦がピッチカートで刻む下降音階。いい演奏でした。
 悲しみを秘めたワルツの後、狂気の第3楽章。怒涛の盛り上げの後に続く悲しみの第4楽章。消え入る低弦の後の10秒ほどの静寂。うつむいたまま指揮者が去り、大きな拍手が沸きあがりました。

 いろいろと難点を感じないでもなかったですが、終わってみれば素晴らしい演奏だったと思います。4番、5番、6番と、連続して聴くことによって感じられる「何か」もあるように思います。

 3時間以上に及ぶ長大なコンサート。聴く方も疲れますが、演奏する方はもっとお疲れのことと思います。この一晩で3曲演奏するというコンサートを全国ツアーで連日やるというのはすごいパワーですね。でも毎日緊張感を持続するのは難しいと予想され、その日によっての出来・不出来もあることでしょう。今日はどうだったのでしょうね。

 最後に気になったこと。休憩時間にオケが退席したとき、コントラバスはステージに残すとしても、チェロは持っていくのが普通に感じますが、チェロもステージに置きっぱなしでした。まあ、どうでも良いのですけれど・・。

 また、プログラムが1000円というのは、内容に比して高すぎです。もちろん私は買いませんでしたけれど。

 ムラヴィンスキー/レニングラードフィルのCDを聴きながらこの文章を打っていますが、このCDはやはりすさまじいですね。まさに爆演。今日の演奏も、これには及びませんが、いい線いっていたと思います。
 

(客席:2階C3-7、S席:会員割引¥7200)