Vari Colori vol.2  3人のピアニストによる共演
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2017年5月14日(日) 14:00  だいしホール
 
ピアノ:小林浩子、加藤桜子、金川 唯
 

第1部

J,S.バッハ:フランス組曲 第5番 ト長調 BWV816 (小林)

ショパン:ノクターン 第8番 Op.27ー2  (加藤)

シューマン:アベック変奏曲 Op.1 (金川)

* リスト:ため息  (金川)

(休憩15分)

第2部

* ショパン:ノクターン 嬰ハ短調 「遺作」  (小林)

プーランク:3つのノヴェレッテ   (加藤)

カプースチン:8つの演奏会用エチュード Op.40 より
             第2曲:夢、第3曲:トッカティーナ  (金川)

ラヴェル:組曲「鏡」第W曲 道化師の朝の歌 (小林)

* W.ウィンツァン:旅のはじめに、こころの時代  (加藤)
 

 新潟の新進気鋭の3人の若手ピアニストによるジョイントコンサートです。Vari Colori というのはイタリア語で様々な色という意味だそうで、だいしホールのベーゼンドルファーから、3人かそれぞれどんな音楽を奏でてくれるのか楽しみでした。

 このコンサートは、2014年にも開催され、今回が2回目とのことですが、前回は聴くことができませんでした。ただし、3人ともこれまで何度か聴かせていただいており、特に小林さんは、独奏、伴奏と、多彩な活動をされており、何度聴いたか自分でもわからななっており、先週も「ジョイントコンサート DANCE!」聴かせていただいたばかりです。
 加藤さんを聴くのは、2013年3月の小武内茜さんとのデュオリサイタル、2014年6月のくにたちコンサート以来ですので、3年ぶり、また、金川さんは2014年4月のコンチェルト・インストアライブ、2014年5月のクラシックストリートで聴いて以来ですので、やはり3年ぶりになります。

 昨日・今日と、古町では春秋恒例の「古町どんどん」が開催されており、どんな様子か覗いてみましたが、いつもの古町の静けさからは想像できない混雑でした。しかし、一歩通りを外れますと、古町の喧騒をよそに、いつも通りの落ち着いた空気が流れていました。

 だいしホールに着きましたらすでに開場時間を過ぎており、当日券を買って入場し、いつもの席に着席しました。客の入りは程々というところでしょうか。

 開演時間となり、最初は小林さんです。麗しいグリーンのドレスで登場。バッハのフランス組曲第5番でコンサートのスタートです。
 ちょっと軽さを感じる曲ではありますが、小林さんの演奏は軽すぎることなく、落ち着きがあり、ときに重厚感も垣間見せ、7つの舞曲を弾き分けて、聴きごたえある音楽を作り上げていました。トップバッターの重責を見事にこなしておられました。

 ここで小林さんの挨拶があり、続いては、淡い水色のドレスの加藤さんが登場して、ショパンのノクターン第8番です。
 緑に囲まれた湖の水面に、朝日が反射して輝き、そこに春風が吹き抜けるような爽やかさを感じました。ドレスの色のイメージのような印象を持ちました。

 次は、クリーム色のドレスの金川さんが登場して、シューマンのアベック変奏曲です。ちょっと刺激的で、パワーとスピード感が溢れる演奏であり、爽快感を感じさせました。

 ここで金川さんの挨拶があり、プログラムには載っていませんが、母の日にちなんで、それぞれのお母様が好きな曲を隠し玉として弾く旨の話がありました。
 金川さんが弾いたのは、リストの「ため息」です。演奏は、ため息というよりは、熱い感情を吐露し、爆発するような印象を持ちました。熱い母への思いが感じとられました。

 休憩の後、ホールの照明が落とされた後、薄暗い中に小林さんが登場し、母へのプレゼント曲であるショパンのノクターン「遺作」が演奏されました。切々と胸に迫る音楽は、聴く者の心を揺さぶりました。照明を落とした演出もあって、しっとりと心にしみる音楽に、静かな中にも、熱い思いが心に湧き上がってくるようでした。

 続いて、加藤さんが登場して、本来のプログラムの再開です。前半はおなじみどころの作曲家でしたが、後半は近現代の曲です。
 加藤さんの曲は、プーランクの「3つのノヴェレッティ」。ソフトで包み込むような癒しを感じる演奏でした。少し激しい曲調の第2曲も決して刺激的ではありません。優しさですべてを包み込んでくれる母の愛のような、温かい音楽に感じました。

 次は、金川さんによるカプースチンのエチュードです。ジャジーな現代曲であり、ちょっと刺激的な音で心を射抜くような感じです。クールビューティ的な印象のある金川さんにピッタリな選曲であり、女王様に鞭で打たれるような快感を感じました。(念のため申し添えますが、私はそんな趣味はありませんので、誤解なきように。)

 最後は小林さんによるラヴェルの「道化師の朝の歌」です。先週のジョイントコンサートでも演奏されましたが、パワーと情熱のほとばしりが感じられ、華やかな色彩感に富み、ラヴェルの音世界を見事に表現していたと思います。

 そして最後に加藤さんが登場して、母へのプレゼント曲としてウォン・ウィンツァンの2曲(NHKのテーマ音楽)を演奏しました。優しさにあふれる音楽は、ほっとさせるものがありました。選曲といい、演奏といい、加藤さんの人柄がしのばれました。

 配布されたプログラムを見たとき、各人とも前半・後半1曲ずつで、ボリュームが少ないかなと感じましたが、母の日の隠しアンコール曲があって、終わってしまえば内容十分なコンサートになりました。

 バッハから現代曲まで、多彩な曲を聴くことができ、各奏者の個性が良く出ていて楽しめました。それぞれの奏者が魅力的であり、いずれも甲乙付けがたいすばらしい演奏でした。

 新潟にこのような実力ある若手奏者がいるなんて、素晴らしいですね。これからのさらなる活躍を祈り、陰ながら応援させていただきたいと思います。良い音楽を聴かせていただいてありがとうございました。

(客席:G-9、当日券:¥1700)