伊奈るり子 林佳保里 クラリネットデュオリサイタル
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2015年11月7日(土) 14:00  だいしホール
 
クラリネット:伊奈るり子、林 佳保里
ピアノ:斉藤美和子、斉藤晴海
 

メンデルスゾーン:2つのコンチェルシュテュック より 第2番
        
(1st:伊奈るり子、2nd:林佳保里、Pf:斉藤美和子)

ベールマン:協奏的ニ重奏曲
        
(1st:林佳保里、2nd:伊奈るり子、Pf:斉藤晴海)

(休憩15分)

プーランク:2本のクラリネットのためのソナタ
        
(1st:林佳保里、2nd:伊奈るり子)

プーランク:4手のためのソナタ
        
(ピアノ連弾:斉藤晴海、斉藤美和子)

ダマーズ:ロンド
        
(1st:伊奈るり子、2nd:林佳保里、Pf:斉藤晴海)

コダーイ:オペラ「ハーリヤーノシュ」より
        
(1st:伊奈るり子、2nd:林佳保里、Pf:斉藤美和子、語り:Minoru Iwano)
   T 歌、U 間奏曲、V ウィーンのからくり時計、W フランス軽騎兵隊の行進
   X 葬送行進曲、Y 王宮への入場

(アンコール)
クラリネットをこわしちゃった 
(全員)

 新潟を代表するクラリネット奏者二人のデュオリサイタルです。指導者として演奏者として実績を積み重ねておられる新潟クラリネット界の重鎮・伊奈るり子さんと、個人のほかユニットでの活動も目覚しい若手の林佳保里さんのお二人です。
 共演するピアニストも、指導者として活躍されているベテランの斉藤美和子さんと、ドイツから帰国されて精力的な活動を始められた若手の斉藤晴海さんの二人という魅力あるコンサートです。

 伊奈さんの演奏は以前聴かせていただいておりますが、いつだったか失念してしまいました。林さんは、最近トリオ・アンシュミネとしての演奏を聴かせていただいているほか、2013年のリサイタルを聴かせていただき、演奏の良さもさることながら、チラシに感激した記憶が新しいです。
 ピアノの斉藤美和子さんは先日の「洋楽の夕べ」の司会をされていましたが、おそらく演奏を聴くのは石井玲子さんとのデュオリサイタル以来のように思います。斉藤晴美さんは7月の今井あいさんのリサイタルでの演奏で、伴奏ピアニストとしての凄さに感激して以来となります。

 今日も過ごしやすい日になりました。ビッグスワンではアルビのホーム最終戦があり、そちらも気になりますが、このコンサートも魅力的ですので外せません。午前中は仕事でしたが、いつもの三吉屋で中華大盛りを食べて、気合を入れてこのコンサートに臨みました。

 開演前にロビーに行くと数人の客。開場とともに入場し、いつもの席に着席しました。客の入りはほどほどというところでしょうか。老若男女で賑わっていました。

 場内が暗転し、客席は通常より暗い中で演奏が進められました。紺色のドレスで落ち着きの中に風格を感じさせる伊奈さん。白いドレスが麗しい林さん。ピアノ陣は黒いドレスに統一し、眼鏡美人で優しさを感じさせる斉藤美和子さん、若くして風格を感じさせる斉藤晴海さんと、それぞれの個性を勝手に感じておりました。
 曲ごとに1stと2ndが入れ替わり、ピアノも交代して演奏されましたが、交代に際しての暗い中での舞台転換の手際良さは特筆物でした。

 演奏では二人の音色が微妙に異なり、個性を感じさせたのが面白かったです。ちょっと硬質な伊奈さん。やわらかな林さんというのが第一印象。熟練の伊奈さんが、若き林さんを抱擁したり、せめぎ合ったりと、息もつかせぬアンサンブルでした。いずれの曲も私にとっては馴染みのないものばかりでしたが、重低音から天に突き抜けるかのような高音まで、クラリネットから創り出される音色の多彩さに飽きることなく聴き入っていました。

 急-緩-急という曲調に中に、ロマン性を感じさせたメンデルスゾーンに始まり、続くベールマンでは、超絶技巧での劇的で華麗な演奏に息を呑みました。
 後半は、クラリネットだけの演奏に始まり、ピアノ連弾と、飽きさせないプログラミングが秀逸でした。最後の語りを加えての「ハーリヤーノシュ」は、語り手の演技の良さもあって、大いに楽しめました。チラシの写真のようにクラリネットを持ち上げて演奏したりもあり、視覚的にも楽しませてくれました。
 ほら吹き男爵のほら話に載せて演奏される音楽は、情景が目に浮かぶようでした。この演出は良かったです。女性も登場したのですが、その人の名前はクレジットされていませんでした。(ピアノのKさんだとか)

 アンコールではお馴染みのメロディを様々なアレンジで演奏し、ピアノの二人のコミカルな演出もあって会場を沸かせました。

 期待に違わぬ素晴らしい演奏に満足しました。クラリネットの二人だけでなく、ピアノの二人も良かったです。落ち着きのある美和子さんに華やかさと力強さを感じさせる晴海さん。連弾では晴海さんは中腰で演奏し、迫力と生命感溢れる音楽を聴かせてくれました。二人の個性が遺憾なく発揮され、クラリネットの二人を盛り上げていたと思います。

 終演後伊奈さんと林さんは階段のところで客を見送ってくれました。今後、この二人を中心として、 C’L amore (クラリネットを愛するという意味だそうです)という名前で活動されるそうです。次回は来年の9月17日にりゅーとぴあのスタジオAで開催とのことであり、次も楽しみですね。
  


(客席:E-6、¥2000)