今井あい ソプラノリサイタル
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2015年7月11日(土) 14:00  だいしホール
 
ソプラノ:今井あい
ピアノ:斉藤晴海
 

1.初恋 (作詞:石川啄木、作曲:越谷達之助)

2.サルビア (作詞:堀内幸枝、作曲:中田喜直)

3.髪 (作詞:原條あき子、作曲:中田喜直)

4.お菓子と娘 (作詞:西條八十、作曲:橋本国彦)

5.あなたが欲しい (作詞:アンリ・パコーリ、作曲:エリック・サティ)

6.愛の小径 (作詞:ジャン・アヌイ、作曲:フランシス・プーランク)

7.アヴェ・マリア (作詞:P.マッツォーニ、作曲:ピエトロ・マスカーニ)

8.くちづけ (G.アルディギエーリ、作曲:ルイージ・アルディーティ) 

(休憩15分)

9.もしもあなたを愛したら ミュージカル「回転木馬」より
     (作詞:オスカー・ハマースタイン2世、作曲:リチャード・ロジャース)

10.サムウェア ミュージカル「ウェストサイド物語」より
     (作詞:スティーブン・ソンドハイム、作曲:レナード・バーンスタイン)

11.ポーギー、愛しています オペラ「ポーギーとベス」より
     (作詞:ヘイワード,E.D.B、作曲:ジョージ・ガーシュウィン)

12.時代 (作詞・作曲:中島みゆき)

13.芸術が私を呼んでいる(プリマドンナになりたくて)
     (作詞:ハリーB.スミス、作曲:ビクター・ハーバート)

(アンコール)
  ・?
  ・花は咲く
  ・ポーギー、愛しています
 
 

 新潟出身のコロラトゥーラ・ソプラノ歌手の今井あいさんのリサイタルです。プロフィールを拝見しますと、高校は私の後輩になります。法学部を卒業された後に声楽の道に進まれたというのは面白いですね。
 ヨーロッパとアメリカで研鑽を積まれ、この間2007年には新潟県音楽コンクールで大賞を受賞されたほか、ヨーロッパでのコンクールでも優秀な成績を残されておられます。現在はパリを拠点に、日本とフランスで幅広く活躍しておられるとのことです。

 2011年7月に新潟市で初リサイタルを開催し、2013年にもリサイタルを開催予定でしたが、声帯を痛めて中止を余儀なくされ、今回はその雪辱を晴らすべく、満を持しての開催となりました。チラシからも熱意が伝わってくるようです。
 ピンク色をバックに妖艶なお姿で微笑むチラシは、ソプラノリサイタルにしては異彩を放ち、チラシ置き場でも目立っていて、言葉が悪いですが、一見するとキャバクラのチラシかと思ってしまいました。(ごめんなさい。)

 梅雨ではありますが、今日は朝から快晴。気持ち良い陽気となりました。どうしようかと思いましたが、このピンクのチラシを思い出し、煩悩だらけの私は、三吉で腹ごしらえをした後、だいしホールへと向かいました。

 当日券を買って入場。ホールの入りはなかなか良く、大盛況といって良いでしょう。ファンの方々が多数来場されておられるようで、いつものクラシックコンサートとは若干空気感が異なります。飛び込みの客である私は、アウェイ感を感じてしまいました。ステージには立派な花が飾られ、華やいだ雰囲気が感じられました。

 薄ピンク色のゴージャスなドレスの今井さんと黒いドレスの斉藤さんが登場。その美しさに、客席からは「ホー」という声が上がりました。

 最初に今井さんの挨拶があり、前回のリサイタルが中止になったことについてのお詫びがありました。その後は斉藤さんと今井さんのトークの掛け合いがあり、曲目解説を交えたストーリー仕立てのトークにより演奏が進められました。台本を棒読みというのも逆に魅力に感じました。
 
 今回のリサイタルのテーマは「愛のうた」で、日本からフランス〜イタリア〜アメリカへとストーリーが進み、それに合わせての歌の数々が歌われました。なかなか練られたプログラムですね。

 今井さんのステージ映えして、華があり、存在感、風格を感じさせる容姿は、歌手として大きな魅力を感じます。後半は真っ赤なドレスに着替えて登場し、客席から再びため息が漏れました。
 容姿からはドラマティコという印象を受けますが、歌声はリリカルで、素晴らしいコロラトゥーラ・ソプラノを聴かせてくれました。いろんなジャンルの歌を見事に歌い分け、感動を与えてくれました。

 1曲ごとに客席からは盛大な拍手が贈られ、ブラボーの声ももうるさいくらいに上がっていました。熱狂的ファンが多数おられるようですね。まるで歌謡ショーみたいですが、人気のほどがうかがえます。今井さんも客席にバラの花を投げ入れたりして盛り上げてくれました。

 最後はみんなで「花は咲く」を歌ってお開きになるはずでしたが、拍手、手拍子がやまず、もう1曲歌って終演となりました。盛り上がった素晴らしいコンサートでした。多くのファンに支えられ、これからも活躍されることでしょう。

 そして特記しておきたいのはピアノの斉藤晴海さんです。ドイツでピアノ伴奏を専門に勉強し、今年6月に帰国したばかりだそうです。だいしホールのベーゼンドルファーから、色彩感のある豊潤な響きを引き出して、ゴージャスなサウンドで歌声を引き立てていました。新潟出身とのことであり、これからの活躍が楽しみです。

 このリサイタルは7月26日にも開催されます。今日の経験を元に練習を積まれ、今度はトークもスムーズに進んで、さらにブラッシュアップされた歌声が聴けるものと思います。ご期待ください。
 

(客席:E-6、¥3000)