全く久しぶりのコンサートです。聴きたいコンサートはいろいろあったのですけれど、スケジュール調整がうまくできず、結局2ヶ月以上の空白ができてしまいました。
禁断症状の出始めた私にとって、待ちに待ったコンサートでしたが、いろいろゴタゴタがあり、行けるかどうか直前までわかりませんでした。昨年もちょうど奇しくも同じ時期に、同様のゴタゴタがあって、BCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)のS券を無駄にしたことがありました。ともあれ、今日は行くことができて幸いでした。
6時の開演ということで5時過ぎに会場に行くとかなりの人だかりです。今日は劇場ではミュージカルの公演があり、スタジオでもいくつかの催し物があって、「りゅ〜とぴあ」もフル回転というところ。ロビーでコンサートのチラシ集めをしていると、ちょうど開場の時間です。パンフレットを買って眺めていると、今日は日本公演の最終日らしいです。
今年の日本公演は、前半が大友直人氏で、後半がアシュケナージです。どうせ外来のオケを聴くのなら、なじみの大友氏よりアシュケナージの方がいいんで、幸いだったと勝手に喜んでいました。
会場は3階に若干の空席がある程度で9割方埋まり、かなりの盛況です。今回は庄司さんを近くで見たいなあと1階席中央左手の席を確保していました。でもオケを聴くにはちょっと前過ぎたかな。いつものCブロックにすれば良かったと後悔。
さて、ステージ上に楽員がそろってチューニングと思いきや、コンマスがなかなか現れません。楽員が様子を見に行ったりして、会場がざわめきだしましたが、数分の後、ようやくコンマスが何事もなかったかのように登場しました。(まさか後述のVIPの着席を待っていたということではないでしょうが。)
チューニングを終え、アシュケナージが颯爽と早足で元気良く登場。CDではおなじみですが、実演は初めてであす。予想以上に小柄でびっくりしましたが親近感が持てました。
1曲目、きれいなアンサンブルで演奏開始。上品な美しいサウンドです。うっとりと聴き入ってしまいました。前菜としては申し分ない演奏であったと思います。
そして2曲目、グレーのドレスで庄司さんが登場。初々しさが漂います。清楚な姿そのままに、演奏は流れるような、爽やかな演奏です。力任せでなく、かといって線が細いわけでもありません。例のメータと録音したパガニーニのコンチェルトですっかりファンになったのですが、今日のメンデルスゾーンも相当な好演でした。
カデンツァの聴かせ所はしっかりと決めていましたが、テクニックがどうのということは忘れさせ、純粋に音楽を楽しませてくれました。ヴァイオリンの音色もしっとりと美しかったです。
何かと聴く機会の多い曲目で、昨年の東響定期でカメダが演奏していましたし、今年も1月に千住真理子・プラハ交響楽団で聴いています。聴き慣れた分、曲への思い入れも多いのですが、新鮮な感動を与えてくれました。カーテンコールに応える仕草も何とも愛らしかったです。
休憩時間に地元のワインのサービスがあり、赤白お代わりして、ほろ酔い気分で後半戦に突入。ショスタコーヴィチは5月にミョンフンとサンタチェチーリアで聴いたばかりですが、そのときはちょっと違うかなという感じがありました。聴き比べということで期待していました。
さすが、アシュケナージにとってはお国もの。期待に違わぬ熱演であり、ホールいっぱいにオケが鳴っていました。音が荒れることなく、スカッと爽やかに演奏は終了しました。さすがにこのオケはアンサンブルの乱れもなく、きれいなサウンドです。音の厚みが若干希薄に思えたましたが、これは座席のせいだろうと思います。(このホールはオーケストラの場合、3階が一番バランス良く聴こえるとの評判があります。)
アンコールは、弦楽だけで軽く終了。カーテンコールは続きましたが、アシュケナージがコンマスに退場を促し、楽員と連れだってアシュケナージもステージを去りました。演奏もさることながら、アシュケナージの元気さがもっとも印象に残ったコンサートでした。
久しぶりのコンサートで、ストレス解消できました。たまには生演奏聴かないとねえ。
蛇足ですが、3階席に、誰もが知っている超有名で、超多忙なはずの女性政治家が来ていたことをご存じでしょうか。聞くところによれば、アシュケナージと親交があるんだそうな。群馬での選挙応援のついでに急遽新潟入りを決定したということです。参院選投票日前日ということもあって、突然の新潟訪問に関係者は大騒ぎだったらしいです。最後のお願い演説をしないで、コンサートというのはさすがですねえ。
(1階11-8) |