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最新軍事用語集の序文について

『英和対訳軍事関係用語集』作成の経緯

軍事用語集をホームページで販売しているが、その経緯についてまとめてみた。PDF形式のファイルを作成し、それを電子メールの添付ファイルにして配布するという方法である。支払いは郵便振替を利用している。販売額だけをみれば成功しているとは言い難いが、ひとつの情報発信のかたちであることには違いない。瀬戸内の島からでもこの程度はできるということで、同様のアイデアを持っている方の参考になればと思う。(2002年9月20日金森國臣)

ご注意:

日外アソシエーツより「新訂・最新軍事用語集 英和対訳として出版しているため、PDF形式での頒布は現在行っていません。


いきさつ

もともとはコンピュータ関係を専門にしていたので軍事にはまったく馴染みがなかった。自分で仕事を始めなければならない仕儀になり、たまたま紹介を受けたところが防衛関係の企業であったことから、この分野に関わることになった。1

以来ずっと軍事関係の資料の英日翻訳を続けているが、当時はまだインターネットが普及する前のことであり、用語を調べるには書籍に頼らざるを得ない状態にあった。

辞書の執筆に参加したり、専門用語研究会というターミノロジーの学会に所属したりで、専門用語や学術用語については多少の土地勘のようなものは持っていた。主題領域を設定してしまえば、どういった分野であろうと用語が出現する範囲も限られてくることは経験からわかっていたので、しばらくすれば軍事といえども頭の中で整理はつくだろうと高をくくっていた。

よく考えてみれば当たり前のことなのであるが、軍事にはありとあらゆる事物が関わってくる。ミサイルは言うに及ばず、どうかするとトイレの話まで出てくる。一万語ぐらい抑えておけばなんとかなるという状況ではないことにすぐ気付いた。

加えて、日本には軍隊は存在しないことになっているらしく、自衛隊に独特の言い回しや言い替えがあることにもとまどった。一般によく目にするのは「駆逐艦 →護衛艦」の言い替えであるが、「作戦→運用」というのもある。防衛庁には運用課という部署があるのだが、コンピュータのオペレーションでもしているのかと思いきや、これが実際には「作戦課」という最重要部署であることを知ったたときには、本当に驚いてしまった。2

防衛庁で使用している用語が本来の用語と単発的にずれてしまっているのであれば、多少の誤訳があっても意味的な体系としてはあまり問題にはならない。しかし、防衛庁独自の用語体系が形成されてしまっている面があるので、あまりに無視してしまうと前後の文章がぎくしゃくしてしてしまうことがある。3

  • 独自の用語体系の一例:
    • 軍隊 → 自衛隊
    • 軍人 → 隊員 (自衛官)
    • 軍旗 → 隊旗

また防衛庁全体として用語の調整が行われていればよいのだが、歴史的な経緯もあるのだろう、各自衛隊によって用語が微妙に異なることもある。あれこれの理由で、翻訳資料に出現する用語について、ひとつひとつ用語集にあたらざるを得ないことになってしまった。

  • 各自衛隊による異綴の例:
    • active runway
      • 【空自】使用滑走路
      • 【海自】現用滑走路
    • address indicating group
      • 【統幕】総括あて先
      • 【海自】一括名宛て

このような場合、用語集をスキャナーで読み込んでOCRソフトで文字を認識させ、テキスト化してしまえばよいのであるが、10年以上も前のこととなると経済的には難しい面があった。スキャナーが10万円、使える英語OCRソフトが500ドル、日本語OCRソフトの場合は性能はともかくも20万円はしただろうか。

しかしテキスト化の魅力には抗しがたく、納期との兼ね合いもあって思い切ってスキャナーを購入することにした。まず英語の部分だけでもテキストにしておけば、検索でヒットした用語が載っている用語集の該当ページだけを参照すればよい。これだけでも大幅な省力化になるし、部分一致が可能なことも冊子にはない長所である。やむを得ず造語しなければならない時には特に役に立つ。4

  • 部分一致の例:
    「ground equipment」の訳語を調べたい場合に、検索して「aerospace ground equipment:航空宇宙地上支援器材」がヒットしたとする。訳語としては「地上支援器材」であることが推測できる。

英語OCRソフトはスキャナーに付属しているものをとりあえずは使うこととし、まず英語の部分からテキスト化する作業を始めた。そのうちに、日本語のOCRソフトも入手して手元にある用語集はすべてパソコンで検索できるようにした。

軍事には門外漢であるし、単に用語からみただけの感想なのであるが、日本に軍隊がないとするのはよしとしても、軍事学もないのではないかと疑い始めた。市販されている軍事関係の辞典・用語集の数が極めて少ないのである。この30年間で5,6冊しか出版されていないのではなかろうか。しかも版を重ねることは珍しく、すぐに絶版になってしまっている。時折に雑誌の付録のような形の用語集が見受けられるが、語数は100語程度で用語リストといったほうに近い。軍事関係における諸々の展開の激しさは、湾岸戦争やイラク攻撃にみられるとおりであるが、これをフォロー仕切れていないのではと感じた。

いままでは「部内限り」とされていた防衛庁の用語資料が、情報公開制度によって公開され始めたこともあり、これを機に、収集した用語を整理して、何らかの形で提供しようと決心した。収集済みの用語総数は10万語を超えていたが、これを一語一語吟味して収録の可否を決めていった。可否の判断基準は以下の3つであるが、複数の資料にあったとしても間違いと思われる用語は除外した。「疑わしきは罰する」という原則とでもいったらよいであろうか。

  1. 防衛庁の資料に収録されている用語は、とりあえず正しいものとする。
  2. 防衛庁の用語に照らし、正しいと確信できる用語を収録する。
  3. 複数の資料に出現し、正しいと確信できる用語は収録する。

あとは力仕事になったわけであるが、約3万語まで絞り込むことができたので、これをホームページで公開することにした。利用者にとってみればテキスト形式のファイルが一番使い勝手がよいのはわかっていたが、あえてPDF形式にし、コピー機能も外して販売することにした。ここは迷いに迷ったところであるが、資料収集の費用を支援して頂くという自分なりの建前でそうすることにした。

確かに資料の収集に必要な経費は半端ではなく、特に情報公開制度を利用した場合は、20円/枚のコピー代がかかる。東京市ヶ谷の防衛庁本部まで出向いて資料の内容を確認することもできないので、大枚をはたいて、わずか数百語しか収集できないこともたまにはある。

価格の設定にも悩んだ。2001年に販売を始めたのだが、当時はPDF形式のファイルを有償で提供している例はなかったように思う。しかも販売が電子メールの添付ファイルという、考えようによっては「横着」な形態である。媒体や流通にかかるコストはゼロに近いので、勢い情報そのものに値段を付けなければならなかった。作業の手間を考えれば一部2万円でもよいかと思ったが、それでは浅ましすぎるだろう。

結局、購入して一年の間は軍事用語の相談に応じるという用語サービスを提供することにし、そのサービス料が200円/月、プラスして200円を郵送等の諸経費と計算して価格は2600円に設定した。ニフティでも販売しているが、ここは手数料が15%、振り込み手数料が半年ごとに1000円必要なので3600円にしている。販売数は「企業秘密」であるが、資料代は賄えているので購読者には本当に感謝している。

第1版の販売開始から2年が経過したが、その間に収集した5千語を追加し、3万五千語の第2版を先々月にリリースしたばかりである。防衛庁の用語集を生の形で確認したいとの要望が2,3あったので、航空自衛隊の用語集(約6千語収録)の英和編を付録として同じファイルに組み込んだ。

今後の課題であるが、当面は引き続き用語の収集に努めたいと思っている。あと5千語増えて4万語になれば、少しは格好のついた軍事用語集になるのではと期待している。

防衛庁の用語集をそのまま収録したことが案外に好評だったので、先ずは空自の和英編を組み込むつもりでいる。2004年3月には海上自衛隊の用語集の改訂版が公開されるとのことなので、これも収録したいと思っている。

欠点は多々あると思うが、最大の欠点は現場の用語がほとんど収録されていないことである。現場で役に立たない用語集ほど無用な物はないので、なんとかこれは改善したいと考えている。現場用語は、どちらかと言えばスラングに近く、また私自身が部外者でもあることから、どこまで迫ることができるか不明であるが力を尽くしたいと思っている。

軍事評論家のガブリエル中森さんが、何かの著書で、日本語と中国語の同定に苦労されたと書いていた。現場の指揮官同士で、それほど間をおくことなく意志の疎通ができれば無用の摩擦が少なくなるかもしれない。いずれは中国語や韓国語を付け加えればと思っている。


脚注

(1)勤務先の売り上げ自体は順調のようであったが、社長の放蕩三昧によって、あっけなく最後を迎えてしまった。個人経営の会社にありがちなことだろうが、新規事業への投資を怠り、自宅の改築・ゴルフ会員権の購入・社内不倫とくれば90年代不況の荒波をかぶる前に早くも沈没してしまったのも致し方のないことだったのだろう。

(2)「destroyer」は「駆逐艦」のことであるが「護衛艦」が使われている。「護衛艦」としたために、逆に「escort ship」という語が派生した。準軍事的にみれば、おそらく「destroyer」と「escort ship」は同義である。階級の呼称にもとまどった。自衛隊の一佐が大佐に相当する階級であることはいまでは自動的に理解できるが、しばらくは一呼吸置く必要があった。

(3)伝統墨守唯我独尊と揶揄されることの多い海上自衛隊は、用語にも独特の雰囲気が漂っている。嫌みではなく、ターミノロジーの立場から見て味わい深い用語があり、思わずうなってしまうことがある。(例えば。「main engine:主機」はそれとして、これを「もとき」と読ませる。)

(4)購入したHP社のスキャナーにはWordScanがバンドルされていた。いまひとつの性能であったが他のソフトを入手する術がなかったので、しばらく使っていた。OmniPage Proの乗り換え版があることを知ったが、海外には販売しないとのことであったので、知人の米国出張の際に頼んで入手してもらった。性能的にはすばらしく、ほぼ完全に認識してくれるようになった。現在は「読み取り革命バージョン7」で英語も日本語も読み込ませている。価格も1万円以内と手頃であり、英語と日本語でソフトを切り替える必要がなく重宝している。認識率も高い。


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