今日は北区まで遠征して、新潟室内合奏団の演奏会を聴くことにしました。通常は新潟市音楽文化会館かりゅーとぴあ・コンサートホールを会場とするのですが、新潟市音楽文化会館は改修工事で長期休館中ですので、今回は北区文化会館になったものと思います。
このホールは好きなのですが、ちょっと遠いのが難点です。個人的には距離的に近い江南区文化会館がありがたかったのですが、このオケとしましては、北区では初めての演奏会となりますので、新しいファンの開拓には良いかも知れません。
開演時間は13時30分と、通常より早い時間設定です。今日は17時からりゅーとぴあで東京交響楽団の定期演奏会がありますので、その開演に間に合うように配慮してくれたものと推察します。
これまで北区文化会館で14時開演・16時終演の公演を聴き、大急ぎでりゅーとぴあへ向かうという危ない橋を何度か渡ってきましたが、ハラハラ・ドキドキでしたので、今回も14時開演でしたらリスク管理で参加は断念するつもりでした。
しかし、チラシを見ますと、なんと今回は13時30分の開演になっていました。13時30分の開演で15時30分頃の終演なら余裕をもってりゅーとぴあ入りできます。せっかくの配慮に応えるべく、この演奏会に参加させていただくことにしました。
さて、指揮者は毎回変わっており、昨年4月の第89回演奏会は神成大輝さん、11月の第90回演奏会は喜古恵理香さんでしたが、今回は高橋裕之さんです。高橋さんの指揮は、2021年11月の第84回演奏会以来、3年半ぶりになります。
プログラムは、モーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」序曲、交響曲第35番「ハフナー」、そしてビゼーの「アルルの女」第1組曲・第2組曲という名曲が並んでおり、気兼ねなく楽しませていただこうと思いました。
今週は気温が上がって、初夏を思わせる陽気になりました。昨日は雨が降ったり止んだりと、落ち着かない天候でしたが、今日はどんよりとした空ながらも、雨にはならず、暑すぎることもなく、過ごしやすい日曜日になりました。
ホームページを一旦アップして、雑務をこなし、早目に家を出て、某所で昼食を摂り、北区文化会館へと向かいました。このホールは、昨年10月以来7か月ぶりです。
思いのほか早く着き、車の中で時間調整して館内に入り、当日券を買って開場を待ちました。時間となり、開場とともに入場して、中段右に席を取り、配布されたプログラムを読みながら開演を待ちました。
今日のプログラムは、前半はモーツァルトの序曲と交響曲ですが、このオケは「モーツァルトをやるような小編成のオーケストラ」という趣旨で結成されたそうですので、モーツァルトの演奏には、思い入れがあるようです。
後半のビゼーの「アルルの女」組曲は、今回が初めての演奏だそうです。通常ハープが使用されますが、ピアノで代用し、トランペットも楽譜では4本ですが、2本で演奏するそうです。
メンバー表を見ますと、サクソフォンに田村亮太さん、ピアノに品田真彦さんの名前があり、期待が高まりました。
開演時間が近付くに連れて客席は埋まり、いつもと違うアウェイの地の北区文化会館での演奏会ということを考えれば、まずまずの入りと言えましょう。
と、この原稿を書いているうちに開演時間となり、拍手の中に団員が入場しました。弦5部は、6-5-6-6-2で、第1ヴァイオリンの末席には、トレーナーをされている佐々木友子さんがおられました。
赤い表紙の楽譜を持った橋さんが登場して、1曲目は、モーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」序曲です。わくわくするような、明るく軽快な演奏が響きの良いホールに響き渡りました。
木管の速いパッセージの受け渡しも美しく、歯切れの良い演奏は、本日のコンサートの開始を告げる序曲としても最適に感じられました。
団員の追加があって、再びチューニングをして、2曲目は、モーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」です。
第1楽章は、堂々とした出だしからギアチェンジし、明るく爽快に走り出しました。テーマが繰り返されて、きっちりとまとめて終わりました。
第2楽章は、ゆったりと、明るく、爽やかに歌いましたが、弦楽アンサンブルの乱れのない美しさに感嘆しました。
第3楽章は、歯切れよく堂々とテーマを奏で、中間部では緩やかに、ゆったりと歌い、踊り、再びテーマを力強く奏でて終わりました。
第4楽章は、スピード感に溢れてスタートを切り、明るく流麗に、淀みなく音楽が湧き出て、流れて行きました。エネルギーを増して、しかし、軽快に、力強く曲を閉じました。曲の愉しみを感じさせてくれる見事な演奏に大きな拍手が贈られました。
休憩後の後半は「アルルの女」組曲です。拍手の中に団員が入場し、左に置かれたピアノに品田さんが着き、後方のホルンとトランペットの間にサクソフォンの田村さんが着席しました。
橋さんが登場して演奏開始です。第1組曲の第1曲「前奏曲」は、ホルンと弦楽が力強くテーマを奏でて始まりました。木管が柔らかくテーマを受け継ぎ、小太鼓とともに颯爽と行進し、そして、ゆったりと、のんびりと行進し、その後は堂々と力強くステップを踏んで行進しました。
第2曲「メヌエット」は、田村さんのサクソフォンが甘く響き、その美しさはさすがと思わせました。ハープ代わりの品田さんのピアノが加わり、夢幻の世界に誘われるも、暗い空気が漂って我に帰り、不安感を掻き立てられました。陰りを見せる中にワルツを踊り、サクソフォンが流麗に美しく歌い、ピアノも加わって優雅にステップを踏みました。木管と弦楽の掛け合いも良かったです。
第3曲「アダージェット」は、美しい弦楽アンサンブルがしっとりと歌い、その透明感のある調べに心は洗われるようでした。
第4曲「カリヨン」は、ホルンが鐘を模して軽快に鳴り響き、中間部はしっとりと悲しげに歌い、そしてサクソフォンとともに甘く歌い、それを掻き消すようにホルンが鳴り、ピアノも加わって再び軽快に歩き出し、力強く曲を閉じました。
続けて第2組曲の第1曲「パストラール」は、ゆったりと堂々と始まり、木管が優しく歌い、中間部では太鼓とともに軽快な舞曲へと移行し、再び堂々と最初のテーマを奏でて静かに終わりました。
第2曲「間奏曲」は、ちょっと暗い出だしから、サクソフォンが優雅に美しくメロディを歌い、ふくよかなサウンドにうっとりとするも、力強く堂々と曲は進みました。
第3曲「メヌエット」は、ピアノとともにフルートがお馴染みのメロディを完璧に奏でました。これはグッドジョブ!でした。オケが加わって盛り上がり、サクソフォンとピアノとともにフルートが優しく歌い、ブラボーを叫びたくなりました。
第4曲「ファランドール」は、力強くテーマを奏でて輪唱のようになり、太鼓が軽快にリズムを刻み、どんどんとエネルギーアップ、スピードアップして熱く燃え上がり、興奮と感動のフィナーレへと駆け上がりました。
否応なく感情が揺り動かされ、ホールは熱狂に包まれました。ブラボーの声とともに大きな拍手が贈られて、私も力の限りに拍手して、好演を讃えました。ホールの響きも良くて、聴き応えある演奏でした。
拍手に応えてのアンコールは、ビゼーと同じフランスの音楽として、ドリーブの「シルヴィア」よりの「ピッツィカート」が、曲名の如く弦のピチカートで演奏されて極上のデザートとなり、感動の演奏会は終演となりました。
アマオケとして高水準な演奏であり、音楽世界に没頭できました。北区まで遠征して聴きに来た甲斐がある素晴らしい演奏会でした。北区の皆さんも感激されたのではないでしょうか。
気分良くホールを出て、りゅーとぴあへと移動しましたが、開演が早かった分、終演も早く、余裕をもって向かうことができました。
次の第92回演奏会は、11月9日(日)14時から、りゅーとぴあ・コンサートホールで開催されます。指揮は喜古恵理香さんで、独奏に長谷川正規さんを迎えて、モーツァルトの交響曲第40番、ヴォーン・ウィリアムズのテューバ協奏曲ほかが演奏されます。楽しみですね。
(客席:14-26、当日券:¥1200) |