続いては、クラリネット、チェロ、ピアノという珍しい編成のユニットである Trio Beer です。昨年に引き続いて聴かせていただくことにしました。なお、Beerというのは、ベートーヴェンの時代に活躍したクラリネット奏者だそうです。
山田さんは、バロック音楽を中心にチェロ奏者として大活躍されており、新潟で最も注目される音楽家の一人です。石尾さんは、桐朋学園で山田さんと同期ということでユニットに参加されたと伺っていますが、熟練のピアニストである栄長敬子さんと、若き二人が、どういう関係で結びついたのか気になるところです。
ホワイエから大急ぎでコンサートホールに移動し、すぐに開演となりました。石尾さんは濃紺のドレス、山田さんはモスグリーンのシャツ、栄長さんは目に鮮やかなオレンジのドレスでした。これを着こなす栄長さんの美貌にうっとりしました。
栄長さんによる挨拶とメンバー紹介があり、1曲目は、ベートーヴェンのクラリネット三重奏曲の第1楽章です。熟練の栄長さんの安定感のあるピアノとともに、若き2人の奏者は遺憾なく持てる力を発揮しました。
3人の演奏は美しく、ときにせめぎ合い、そして調和し、軽快に走り抜けるピアノとともに、熱く、情熱を感じさせる演奏で魅了しました。
続いてはブラームスのクラリネット三重奏曲の第1楽章です。チェロに始まり、ピアノとクラリネットが加わって演奏が進みました。穏やかながらも、ちょっと重く、暗さもある曲ですが、メラメラとした情念といいますか、切々とした思いが、心に突き刺すように伝わってきました。
日頃聴く機会がない曲ですが、2曲とも聴き応えがある曲であり、3人の卓越した演奏によって圧倒されました。若き二人の実力と、その力を導き出した栄長さんに深い感銘を受けました。
山田さんの話があり、アンコールに、浜辺の歌〜七つの子〜故郷と、日本の唱歌がメドレーで演奏され、しっとりとした感動の中に終演となりました。
(客席:2階C3-11、1日フリーパス券:\2000)
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