第13回新潟クラシックストリート Trio Beer (トリオ・ベーア)
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2023年5月5日(金)17:30 りゅーとぴあ スタジオA
Trio Beer (トリオ・ベーア)
クラリネット:石尾きらら、チェロ:山田 慧、ピアノ:栄長敬子
 
エーベルル:大三重奏曲 〜ピアノ、クラリネット、チェロによる〜 変ホ長調 作品36より 第2楽章
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番より サラバンド
クララ・シューマン:3つのロマンス 作品22 より 第1楽章
モーツァルト:きらきら星変奏曲 より
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 〜ピアノ、クラリネット、チェロによる〜
         第4番「街の歌」作品11 変ロ長調 第3楽章

(アンコール)花は咲く
 

 ホワイエでの公演が終了し、そのままスタジオAの開場を待ち、開場とともに入場し、正面2列目の席を取りましたが、私の前には客がおられませんでしたので、実質的に最前列となりました。地震の影響がそのまま引き継がれ、開演は20分ほどの遅れになりました。

 開演時間となり3人が登場。山田さんは、新潟市ジュニアオケでチェロを始められ、新潟中央高校音楽科から桐朋学園に進まれ、新潟の若手チェリストとして最も活躍されているのではないでしょうか。県内外で実績を積まれており、バロックチェロの演奏など古学の分野でも活躍されています。今日は先ほどの中央男子に引き続いての出演でご苦労様です。
 石尾さんは長崎市のご出身ですが、桐朋学園で山田さんと同期ということで、このユニットに参加されておられます。スリムで小顔、非常に美しいお方でもあり、白いドレスが麗しく、ビジュアル的にも素晴らしい人です。
 栄長さんは今さら紹介するまでもないでしょう。演奏者として指導者として、新潟の女性ピアニストとして確固たる地位を確立され、多彩な活動をされています。私も様々な機会で演奏を聴かせていただいています。今日はブルーのドレスで登場し、眼鏡をかけられて、髪を後ろに丸めておられましたが、これも魅力的でした。ドレスがスリムな体型によく似合っておられ、これまで以上の美しさに、ハッとするほどでした。
 若いお二人と、ベテランの栄長さんが、どういう縁で、ピアノ、クラリネット、チェロという珍しい編成のユニットを結成したのか気になります。
 ちなみに、Beerはビールではなく、ベーアで、クラリネット奏者として活躍し、ベートーヴェンやモーツァルトなど、当時の作曲家と親交があったようです。クラリネットを中心としたトリオで、トリオ・ベーアとなったものと思います。

 3人によるエーベルルの大三重奏曲から第2楽章が演奏されました。エーベルルという名前も知りませんから、当然初めて聴く曲です。エーベルルはウィーン生まれの作曲家で、モーツァルトの9歳年下で、弟子入りしたとのことです。モーツァルトの香りも漂う美しい曲で、3人の挨拶代わりには最適な演奏でした。

 続いてメンバー紹介という意味も込めて、個々の演奏です。最初はチェロの山田さんで、先ほどの中央男子でも演奏したバッハの無伴奏組曲を演奏しましたが、曲がかぶらないように第1番のサラバンドを演奏しました。眼前で演奏されるチェロは音量も豊かであり、朗々と奏でられる音楽は若者の演奏とは思えない円熟味もあり、山田さんの実力がまざまざと見せ付けられました。

 続いてはクラリネットの石尾さんです。栄長さんのサポートにより、クララ・シューマンの作品が演奏されました。安定した演奏技術に支えられながらも、容姿そのままに、初々しさと可憐さを感じさせ、うっとりと聴き入りました。

 そして栄長さん。モーツァルトのきらきら星変奏曲から、時間の関係で4つの変奏を選んでの演奏となりました。ここはもう百戦錬磨の栄長さんの世界です。安定感ある演奏で、若手を引き立てるためか、さらりと演奏を終えました。
 
 そして最後は、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第4番「街の歌」の第3楽章です。当時街で流行していた歌を主題にした変奏曲ですが、栄長さんの安定感あるピアノに支えられて、若き2人の奏者が思いっきり自己表現し、生き生きとした音楽を創り出していました。

 大きな拍手に応えて、アンコールに「花は咲く」をしっとりと演奏し、感動と大きな満足感をいただいて、公演は終演となりました。30分の時間枠があり、各曲は楽章を限定しての演奏でしたが、全曲は、5月7日(日)に、長岡市の朝日酒造エントランスホールでの演奏会で演奏されます。盛会となりますことを祈念申し上げます。

 
(客席: 正面前方、1日フリーパス:\2000)