合唱団にいがた・りゅーと新潟フィルハーモニー管弦楽団
モーツァルト レクイエム 特別演奏会
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2021年2月27日(土) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮:箕輪久夫(ハイドン)、坂井悠紀(シューベルト、モーツァルト) 副指揮者:若林康之
ソプラノ:鈴木愛実、アルト:戸畑リオ、テノール:藤牧正充、バリトン:箕輪健
管弦楽:りゅーと新潟フィルハーモニー管弦楽団
合唱:合唱団にいがた
 

シューベルト:交響曲第7番 ロ短調 「未完成」

ハイドン:オラトリオ「四季」 Hob.21-3 より
  春より No.2 のどかな春よ早く来い
  秋より No.31 それ!それ!さあワインが出来たぞ   

(休憩15分)

モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626

(アンコール)
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
田沢弘子(一木一誠編):新潟市民歌「砂浜で」



 この公演は、本来であれば昨年7月25日に開催されるはずでしたが、新型コロナ感染の拡大により、昨年3月から合唱団の活動は休止され、公演は残念ながら延期となりました。
 9月から感染予防策を講じながら練習が再開され、今日の演奏会が実現しました。合唱団とオーケストラが共演する演奏会は、新潟ではコロナ後初めてになります。

 プログラムのメインであるモーツァルトの「レクイエム」は、3月の「東京交響楽団新潟特別演奏会2021 弥生」でも演奏されます。
 2017年2月に結成された新潟で一番新しいアマオケの「りゅーと新潟フィルハーモニー」と日本を代表するオーケストラである「東京交響楽団」の聴き比べ、そして「合唱団にいがた」と「にいがた東響コーラス」との聴くき比べが、わずか1ヶ月足らずの間でできるというのは貴重な機会です。

 また、新型コロナ対策を十分行って開催される今日の公演は、来月の東京交響楽団の演奏会につながり、今後の合唱団の演奏活動の指針になるものと思われます。

 さて、「合唱団にいがた」は、毎回意欲的なプログラムで楽しませてくれますが、私が聴くのは、2018年9月の「結成25周年記念演奏会」以来になります。
 一方、「りゅーと新潟フィルハーモニー」を聴くのは、昨年12月の「りゅーとぴあ☆夢ステージ」以来ですが、このときはごく短時間の演奏でしたので、ちゃんとした公演としては昨年2月の第3回定期演奏会以来1年ぶりです。



 2月も末となり春もすぐそこなのですが、今日は冷え込んで雪もちらつきました。日中は徐々に天候が回復してきましたが、風は冷たかったです。でも、もう少しの辛抱ですね。

 今日は五泉市で仕事があり、どうなるのか心配したのですが、昼までに終了して無事に出かけることができました。今日の公演は自由席でしたので混雑を予想し、大急ぎで昼食を摂って、小雪が降るなか急いでりゅーとびあへと向かいました。
 道路事情は順調で、思いのほか早く着き、ロビーはまだ閑散としていました。インフォで某コンサートのチケットを買い、開場待ちの2番目に並んでこの原稿を書くうちに列が長く伸びていきました。

 開場となり、氏名・住所・電話番号を記入した半券を自分で切り取って入場。プログラムを自分で取り、いつもの2階正面前方に席を取りました。客の中には強者がおられ、席にシールを貼って、大量に席取りしていた人がいたのには驚きました。こういう人を見ると残念な気分になります。

 席に着き この原稿を書きながら開演を待ちましたが、後ろのご婦人方のおしゃべりが賑やかで、いたたまれなくなり、ロビーへと避難しました。客席内では静かにしてほしいものです。開演前のステージでは、ティンパニが音出しておられました。

 開演時間となり、オーケストラが入場しました。弦5部は、6-5-4-5-2で、賛助出演が多数おられます。オリジナルメンバーの平均年齢はかなり高そうにお見受けします。今日のコンマスは賛助出演の奈良秀樹さんです。

 坂井さんが颯爽と登場し、1曲目はオケだけでシューベルトの「未完成」です。ゆったりとした、落ち着いた演奏だったと思います。
 結成して4年ということもあり、賛助出演の入らないパートの不安定さが垣間見えましたが、これも市民オケの味わいといえましょう。坂井さんの指揮の下、「未完成」の魅力をしっかりと伝えてくれたと思います。

 ここでPブロック、A・EブロックのPブロック側に合唱団が入場。左にソプラノ、中央にテノール・バス、右にアルトです。ちょっと異様にも見える合唱用マスクを着けておられます。
 本来の「合唱団にいがた」に賛助出演が大勢加わって編成が大きくなっていますが、男声は16人のみの少数精鋭でした。席の間隔を空けて、市松模様を作って、感染対策を取っていました。 

 新潟の音楽界のレジェンドと言える箕輪先生がゆっくりと登場して、2曲目はハイドンの「四季」です。久しぶりに聴くオーケストラと合唱の共演に新鮮な感動を感じました。美しい合唱のハーモニーと好演するオーケストラ。ティンパニがいい味付けをしていました。
 1曲目は春の訪れを待つ現在にぴったりでした。2曲目は秋にワインができたことを盛大に祝い、歓喜しました。箕輪先生の指揮の下、音楽を演奏する楽しみ、音楽を聴く楽しみが伝わってきました。箕輪先生は足元が悪いご様子でしたが、創り出される音楽は色彩感にあふれ、生き生きとしたものでした。さすがですね。

 休憩後の後半はいよいよ「モツレク」です。休憩時間中、合唱団の皆さんは一斉に退入場することはなく、合唱団席で待機しておられました。
 オケが入場。独唱者はステージ前方に間隔を空けて配置されました。椅子が置かれ、出番以外は着席しておられました。ソプラノの鈴木さんはアズキ色のドレス、アルトの戸畑さんは黒いドレスです。

 坂井さんのキビキビとした指揮で演奏が進みました。合唱団の素晴らしさは言うまでもなく、ソリスト、オーケストラともに、見事なパフォーマンスを発揮してくれました。
 アマオケですので、ところどころでほころびはありますが、ここでもティンパニがいい仕事をしており、演奏を引き締めていました。ソリストでは、大ファンである鈴木さんは一番輝いていました。
 新潟の合唱団、新潟のオーケストラで、これだけの演奏を作り上げたというのはたいしたものだと思います。まとめ上げた指揮者の坂井さん、音楽監督の箕輪先生、そのほか指導者の皆さんの総力の賜物と思います。

 坂井さんの挨拶の後、アンコールが2曲演奏されましたが、定番の「アヴェ・ヴェルム・コルプス」も胸を打つ演奏で、心が清められるようでした。続けて市民歌の「砂浜で」をしっとりと演奏し、新潟の素晴らしさを味わい深く届けて終演となりました。

 コンサートのメインは「レクイエム」でしたが、コロナ禍で暗い世相に明るさをもたらし、活力を与えてくれるような演奏だったと思います。「レクイエム」を聴いて元気になるというのも変な話ですが、素晴らしい演奏に力をもらい、明るい気分でホールを後にしました。

 外に出ますと天候は回復していて青空になっていました。雪雲を蹴散らしてくれたんですね。「ありがとう」という感謝の気持ちを胸に、家路に着きました。


(客席:2階C2-9、¥1500)