東京交響楽団第115回新潟定期演奏会
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2019年9月15日(日) 17:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮&ピアノ:ライアン・ウィグルスワース
合唱:にいがた東響コーラス(合唱指揮:辻 博之)
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
 


ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 op.15

(休憩20分)

ベートーヴェン:カンタータ「静かな海と楽しい航海」op.112

ブラームス:交響曲 第3番 ヘ長調 op.90

 7月以来、2ヶ月ぶりの東響新潟定期です。今回の指揮者はイギリス出身の若手指揮者・ウィグルスワースです。初めての指揮者ですが、指揮のみならず、ピアノも弾くということが注目されます。今回のプログラムは、昨日の東京オペラシティシリーズ 第111回と同じであり、初めて聴くカンタータが楽しみです。

 だいしホールから、新潟総踊りで賑わう古町6、7番町を覗き、静かな空気が漂う上古町を通って、りゅーとぴあ入りしました。既に開場されていましたので入場し、この原稿を書き始めました。

 開演時間となり、拍手の中団員が入場。ステージ中央にピアノが縦に置かれ、弦5部は12-10-8-6-4の12型。ヴァイオリンが左右に別れ、コントラバスとチェロが左、ヴィオラが右の対向配置です。今日のコンマスはニキティンさん。次席は田尻さん、2列目に廣岡さんという布陣です。

 長身のニキティンさんよりさらに長身のウィグルスワースさんが登場し、弾き振りでのベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番です。この曲は、ベートーヴェンの若き日の作品で、軽快で明るく爽やかで好きな曲です。新潟定期で取り上げられるのは、2008年12月の第51回定期(指揮:飯森範親、ピアノ:中村紘子)以来2回目です。
 まず東響の弦楽の美しさに驚きました。演奏はゆっくりと、ゆったりと歌わせ、これはこれで美しい演奏なんですが、私がこの曲にイメージする軽快さが失われ、重々しく感じられました。第1楽章終盤の長大なカデンツァは冗長に感じられました。
 第2楽章はゆったりと歌わせたのは良かったですが、ゆっくり過ぎて、緊張の糸が切れそうでした。さすがに第3楽章はスピードアップしましたが、オケパートは軽快で生き生きしているのですが、ピアノが入りますと勢いがそがれてしまいました。
 それなりに盛り上がって曲を終えましたが、ちょっと不完全燃焼に感じました。弾き振りでなく、指揮に専念していてくれたら素晴らしい演奏になっていたものと思います。

 休憩の後は、ベートーヴェンのカンタータ「静かな海と楽しい航海」です。ゲーテの2作1組の詩による合唱曲で、第1部が「静かな海」、第2部が「楽しい航海」です。この曲を聴くのは初めてのはずですが、曲名に聞き覚えがあり、調べてみましたら、2009年4月の第53回新潟定期で、メンデルスゾーン作曲の序曲「静かな海と楽しい航海」が演奏されていました。この曲も同じゲーテの詩による曲でした。同じ詩から二人の大作曲家が曲を作るなんて、やっぱりゲーテって偉大なんですね。
 拍手の中合唱団が入場し、オケの後方に並び、その後オケ団員が入場しました。静かな序奏の後に合唱が始まりましたが、美しい合唱に感嘆しました。
 何の濁りもない純度100%の合唱。にいがた東響コーラスの底力を感じさせました。昨日は東京で演奏されていますが、昨日の本家東響コーラスにも負けていなかったものと思います。10分にも満たない短い曲で、もっと聴いていたかったというのが率直な感想です。

 合唱団が退場し、弦が2人ずつ増強されて14型となり、最後はメインのブラームスの交響曲第3番です。名曲ではありますが、意外にも新潟定期では初めてになります。
 演奏は、苦虫を噛み潰したような神経質そうなブラームスのイメージを覆すような、明るさのあるブラームスで、爽やかな気分にさせてくれました。
 指揮者の曲作りもありましょうが、オケの素晴らしさを賞賛すべきでしょう。管楽器も良かったですが、弦楽の美しさはさすがですね。今日はどの曲も美しいアンサンブルに酔いしれました。

 静かな余韻とともに曲が終わり、盛大な拍手が贈られました。コンサートの前半は不完全燃焼に感じましたが、後半は素晴らしかったです。特ににいがた東響コーラスの歌声と弦楽セクションの美しさに感激しました。

 ピアニストとしては別にして、指揮者としてのウィグルスワースさんは良かったです。今年で40歳とのことで、これからさらに活躍していくことでしょう。

 なお、ウィグルスワースという名前に聞き覚えがありましたが、2012年9月の第73回新潟定期で、マーク・ウィグルスワースが指揮していました。今日のライアン・ウィグルスワースとは血縁関係はないそうです。良くある名前なんでしょうか・・。

 

(客席:2階C*-*、S席:定期会員)