春のジョイントコンサート
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2017年3月18日(土)14:00 聖籠町文化会館
 
小黒亜紀(ピアノ)
小山瑠美子(ソプラノ)、斉藤晴海(ピアノ)
薫風之音(藤崎浩子:箏、鯨岡 徹:尺八)
 
第1部

小黒亜紀
  モーツァルト/ファジル・サイ:トルコ行進曲ジャズ
  ショパン:ノクターン Op.9-2 変ホ長調
  ショパン:英雄ポロネーズ
  朗読・弾き語り(マレック/小黒亜紀):最後だとわかっていたなら

小山瑠美子・斉藤晴海
  中田善直:たんぽぽ
  日本の四季の歌メドレー
  プッチーニ:私の愛しいお父様
  ロッシーニ:踊り
  プーランク:いいえ、旦那さま

(休憩15分)

第2部

薫風之音
  宮城道雄:春の海
  アメイジング・グレイス
  中島みゆき:糸
  長沢勝俊:萌春
  鯨岡 徹:月ノ雫

(アンコール:全員)
  早春賦
 

 新潟県民会館のアウトリーチ事業としてのジョイントコンサートです。出演者はりゅーとぴあアウトリーチ事業の登録アーチストとして活躍したお馴染みの皆さんです。この豪華なメンバーが魅力でしたので、聖籠町まで遠征することにしました。

 せっかくの聖籠遠征ですので、「ざぶーん」でひと休みしてから会場入りしました。カーナビに従って車を進め、ほどなくして聖籠町の町民会館に到着しました。
 町民会館は、新潟東港の工場や火力発電所を有し、税収で潤う町だけあって、人口1.4万人の町の規模に不釣り合いな巨大な施設で、体育館や公民館、図書館、文化会館などを有しています。各施設を結ぶプロムナードを歩いた奥に710席の文化会館があります。
 ホールの形状としては直方体で、良く言えばシューボックス型ともいえます。座席は収納式の多目的ホールですが、立派な音響反射板を備え、ピアノはベーゼンドルファー・インペリアルと豪華です。

 盛況を予想し、早めに開場待ちの列に並びましたが、客の入りとしてはほどほどであり、並ぶこともなかったようでした。大きなホールの前方にだけ客が入った形となりました。当然ながら地元の方々ばかり。新潟市内から遠征してきた私はアウェイ感を禁じ得ませんでした。

 けたたましいブザー音で開演しました。最初は個人的に一番の目当てであった小黒亜紀さんです。薄いピンクのドレスで登場し、相変わらずの可愛らしさです。
 サイのトルコ行進曲ジャズを軽やかに、さらりと演奏し、小黒さんの挨拶があって演奏が進められました。今年1月のリサイタルでも演奏されたノクターンを情感豊かにしっとりと演奏した後は英雄ポロネーズで大爆発。ミスタッチなど何のその、豪快な鍵盤の乱れ打ちで、猛スピードで飛ばしました。小黒ワールドの炸裂に参ったというしかありませんでした。
 最後はノーマ・コーネット・マレックの詩に小黒さんが曲をつけた「最後だとわかっていたなら」で、2015年のリサイタルで感動の涙を誘った演目の再演です。感動的な詩に小黒さんの音楽と朗読が重なり、またしても胸が熱くなってしまいました。
 小黒さんの持ち時間の中に、小黒さんの魅力が凝縮された素晴らしいプログラムであり、演奏だったと思います。新潟に小黒ありということを、聖籠の皆さんにも知ってもらえたのではないでしょうか。

 続いては小山さんと斉藤さんの登場です。日本の歌曲を情感豊かに歌った後はプッチーニのお馴染みのアリアでしっとりと感動させ、ロッシーニの躍り(タランテラ)を技巧を駆使して歌って驚嘆させました。斉藤さんのピアノもすさまじかったです。
 最後は1月のリサイタルでも演じられたプーランクのオペラの一場面です。小山さんが準備する間、斉藤さんが曲の解説をしました。
 乳房を見立てた風船を胸に小山さんが登場し、奇想天外なオペラの場面を楽しく演じ、馴染みの薄い曲ではありますが皆さん楽しめたと思います。芸達者で場数を踏んできたお二人の力量が示された見事な演奏だったと思います。

 休憩後の後半は薫風之音です。妖艶さも感じさせる赤い衣装の箏の藤崎さんが登場し、春の海で開演しました。鯨岡さんがいなくてどういう演出かと思いましたが、鯨岡さんは客席後方から尺八を吹きながら登場。相変わらずのサービス精神です。
 二人の楽しいMCを挟みながら演奏が進められましたが、多彩な曲をゆったりと情感豊かに演奏し、最後は自作の曲をしっとりと演奏して感動を誘いました。

 アンコールとして出演者全員で早春賦を演奏して終演となりました。客席は若干寂しかったですが、春を呼ぶ爽やかなコンサートだったと思います。新潟で活躍する音楽家の多彩な演目を一度に楽しめたお徳なコンサートで、満足感を胸に新新バイパスを新潟市内へと帰途に着きました。
 
 

(客席:F-17、会員割引、¥900)