小山瑠美子のやっぱり歌が好き
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2017年1月15日(日)14:00 新潟市民芸術文化会館 スタジオA
 
ソプラノ:小山瑠美子
クラリネット:西村薫、パーカッション:倉澤桃子、ピアノ:斉藤晴海
 
ラヴェル:5つのギリシャ民謡 (Sop+P)
      1.花嫁の目覚め 2.かなた、教会に 3.どの伊達男が私にかなう
      4.乳香の実を摘む女の歌 5.愉快だ!

プーランク:歌劇「ティレジアスの乳房」より (Sop+P)
       テレーズのアリア "いいえ、旦那様"

伊福部昭:「アイヌの叙情詩に依る対話的牧歌」より (Sop+Tim)
       「或る古老の唄った歌」「阿姑子と山姥の踊り歌」

設楽健・編:だいこくさま
       −童謡「大黒様」による歌とピアノのための日本神話− (Sop+P)

アベルギス:7つの愛の罪 (Sop+Cl+Perc)

(休憩20分)

歌とクラリネットによるインプロビゼーション (Sop+Cl)

武満徹:雨の樹・素描II ーオリヴィエ・メシアンの追憶にー (P)

伊福部昭:「アイヌの叙情詩に依る対話的牧歌」より (Sop+Tim)
       「阿姑子と山姥の踊り歌」

ベリオ:4つのイタリア民謡 (Sop+P)
       甘美な前置き 理想の女性 憧憬に燃えて 舞踏歌

アベルギス:巨人兵士ゴリアテ (Sop+Cl+P+Perc)

(アンコール)通りゃんせ
 

 りゅーとぴあアウトリーチ事業の第2期登録アーチストとしての2年間の活動を締めくくる集大成のコンサートです。1年目は、同じ第2期登録アーチストである小黒亜紀さん、金子由香利さんとのジョイントコンサートが秋葉区文化会館で開催されましたが、今回はゲストを迎えて単独でのコンサートです。
 小山さんはアウトリーチ活動のほかに多彩な音楽活動をされており、チラシのコミカルな姿が小山さんの懐の深さを象徴しているように思います。

 大雪が続いていましたが、今日は時々晴れ間も垣間見えました。しかし、気温は低く、道路は圧雪状態。のろのろ運転でりゅーとぴあ入りしました。
 6階のラウンジで軽食を摂り、開場とともに入場し、2列目右寄りに席を取りました。チケット完売の盛況でしたが、女性客がほとんどでした。スタジオAのピアノは通常はヤマハですが、今回はスタインウェイが用意されていました。

 時間となり、斉藤さんのピアノとともに、ラヴェルの歌曲で開演しました。表現力豊かな歌唱で、早くも小山さんの魅力が全開です。
 以後、これまでに聴いたことのない現代曲、前衛的な曲が、ピアノのほか、打楽器やクラリネットとの共演で演奏されました。演技もあり、演奏という表現は適当ではないかもしれません。クラリネットはまともに演奏する場面はほとんどなく、様々な役を演じていました。
 後半では、斉藤さんのピアノ独奏もあり、斉藤さんの素晴らしさも感じました。前半・後半の最後はいずれもアベルギスの曲でしたが、演奏に感動というより、度肝を抜くパフォーマンスに驚いたというのが正しい表現でしょう。寝転んだりりんごをかじったりと驚きの連続でした。
 特に最後の曲は、小山さん以外に、斉藤さんも、倉澤さんも、西村さんも歌い、重要な役どころを演じていました。西村さんは大太鼓やシンバルも担当していましたし、クラリネット以外での活躍が目立ちました。

 全員でアンコールを演奏して終演となりましたが、小山さんならではのプログラムであり、演奏だったと思います。通常のソプラノ歌手のリサイタルとは全く異なり、共演者を含めてのひとつのショーを見るかのようでした。チラシの写真が、まさに今日の公演を的確に表現しています。

 歌手という範疇を超え、パフォーマーとして小山さんの圧倒的な表現力と存在感に驚き、その実力を再認識しました。すごい物を見せてもらったという驚きを胸に家路に着きました。

 

(客席:2列目右寄り、会員割引:¥2700)