前回の定期は、開演直前に入った急な仕事で聴けませんでしたので、今回こそはと楽しみにしていました。指揮者もソリストも全く初めてであり、どんな演奏を聴かせてくれるのか、楽しみにしていました。
ポピュラーな曲目ですので、もっと混み合うかと思ったのですが、客の入りは、いつもの定期と同様のようでした。拍手の中団員が入場し、最後にニキティンさんが登場して一段と大きな拍手が贈られました。
オケは、コントラバスとチェロが左、ヴィオラが右で、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置で、第1ヴァイオリンが12人の、いわゆる12型の編成です。
黒い上下で、長い髪を垂らしたヤングさんと、真っ赤なドレスのワイラースタインさんが登場して、ドヴォルザークのチェロ協奏曲です。
ワイラースタインさんの演奏は、しなやかでエレガント。上品で繊細であり、粗野な感じは全くありません。力強さよりは優しさを感じさせ、ちょっと線が細いともいえますが、女性らしい演奏でした。オケの方も、チェロをサポートするように寄り添い、力を抑えていたように思います。非常に美しい演奏であり、うっとりと聴き入りました。
この曲は最近聴いたばかりのように感じましたが、今年の6月の茂木さんのコンサートで、新倉さんの独奏で聴いていたことを思い出しました。新倉さんには申し訳ないですが、今日の方が良かったです。
ソリストアンコールとしてバッハが演奏されました。掲示では無伴奏チェロ組曲第3番からガヴォットとなっていましたが、チェロ組曲第3番にはガヴォットはありません。聴きなれたこのメロディは、無伴奏パルティータ第3番のガヴォットだと思うのですけれど・・・。チェロ組曲第3番のジークという意見もありますが・・。
休憩後の後半はブラームスの4番です。譜面なしの指揮で、躍動感、生命感ある演奏でした。ドボコンでは抑えていた感のあったオケも、思う存分に躍動し、生き生きと燃え上がっていました。オケのアンサンブルも抜群であり、各楽器とも素晴らしい出来だったと思います。
ブラームスに勝手に思い描いていた暗さは全く感じさせず、わくわくするような演奏でした。各楽章とも良かったですが、特に第3楽章はバシッと決まって凄かったです。感動のフィナーレを迎え、ホールは大きな拍手で満たされました。
ちなみに、ブラームスの4番は、つい最近、9月に武蔵野音楽大学管弦楽団、6月に新潟交響楽団の演奏を聴いたばかりです。当然ながらプロである東響の演奏が一番でしたが、なぜか続くときは続くんですよね。どうしてなんでしょう。
さて、ヤングさんは初めての指揮者でしたが、東響からこんなにも弾けるような演奏を引き出してくれた手腕はたいしたものだと思います。ヤングさんの指揮に見事に応えた東響の皆さんの頑張りにブラボーを贈りたいと思います。
前回の新潟定期はヨーロッパ・ツアーに出かける直前であり、今回は昨夜のサントリー定期に引き続いての帰国直後の演奏会です。日程的にも疲れがたまっていたものと思いますが、これほどの演奏を聴かせてくれるとは驚きです。良い音楽を聴いた満足感を胸に、家路につきました。
さて、東京交響楽団の皆さんは、火曜日、水曜日の小学校5年生の子供たちのコンサートのために新潟にとどまります。水曜日の夜には一般向けのコンサートもあります。団員の皆さんには新潟の夜を楽しんでいただきたいものです。
(客席:2階C*−*、S席:定期会員:¥6100) |