茂木大輔のオーケストラ・コンサート No.12 アメリカからの望郷:ドヴォルジャーク
←前  次→
2016年6月12日(日) 16:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮・解説:茂木大輔
オーケストラ:もぎオケ交響団(コンサートマスター:大宮臨太郎)
チェロ:新倉 瞳
弦楽四重奏:Vn1:宇根京子、Vn2:大宮臨太郎、Va:飛澤浩人、Vc:藤村俊介
 

ドヴォルジャーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界から」

  解説演奏

  全曲演奏

(休憩15分)

ドヴォルジャーク:弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 作品96 「アメリカ」より 第1楽章

  N響メンバーによる弦楽四重奏


ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104

  チェロ独奏:新倉 瞳

 毎年恒例の茂木大輔さんによる解説付きのコンサートです。毎回詳しく、分かりやすい解説と、コンサートのために臨時編成された「もぎオケ」のすばらしい演奏で楽しませてくれます。

 今年のテーマはドヴォルジャーク。「新世界から」を中心として解説と演奏が行われます。ドヴォルザークと表記されることが多いですが、チェコ語の発音からはドヴォルジャークが近いそうです。
 もう一つの疑問は、ドヴォルジャークかドボルジャークかです。チラシはドヴォルジャークとなっていますが、配布されたプログラム(解説の冊子)はドボルジャークと表記されていて、一貫性がありません。ここではドヴォルジャークとしておきます。

 自信を持ってお勧めできるお得なコンサートなのですが、宣伝もあまりなされていないこともあって、一般的な知名度は高いとは言えず、客席には空席が目立ちました。誠にもったいない話です。

 時間となり、団員が入場しました。各セクションとも国内主要オケの首席クラスが並んでいます。弦五部は、12-10-8-6-4という編成で、コンマスはN響のフォアシュピーラーの大宮さんです。

 茂木さんが登場し、挨拶代わりに「新世界から」の第4楽章冒頭を演奏し、以後この曲に関しての解説が、演奏を交えながら進められました。
 まず驚いたのが、オケの質です。「うまい」、「きれい」というのが第一印象。毎年もぎオケの素晴らしさには驚かされます。臨時編成のオケとは思えず、へたな常設オケより良いのではないでしょうか。
 茂木さんの話も興味深く、世界で最も頻回に演奏されている交響曲であり、聴き飽きた感のあるこの曲も、実は何も理解していなかったことに気づかされました。噛めば噛むほど味が出る、スルメみたいな曲に思えてきました。鳩好きで、鉄道オタクのドヴォルジャークの一面が曲に表れていることは面白かったです。

 解説の後は、休憩なしに「新世界から」が全曲演奏されました。個々の奏者の卓越した演奏技術に裏打ちされ、生き生きと元気よく、生命感にあふれる音楽の洪水に身をゆだねました。茂木さんがオケを良く統率し、切れのある演奏を作り出していました。文句なく良い演奏でした。

 休憩後は、茂木さんの簡単な解説のあと、N響メンバーによる弦楽四重奏により「アメリカ」の第一楽章が演奏されました。これがまたいい演奏で、、全曲聴きたいほどでした。さすがにN響ですね。

 続いては、チェロ協奏曲です。この曲の解説も簡単に終わって、すぐに演奏に入りました。独奏者は美しき新倉瞳さんです。
 新倉さんといえば、2013年2月に開催されたリサイタルが思い起こされます。今度は協奏曲ということで、どんな演奏を聴かせてくれるのか期待が膨らみました。
 演奏は期待通りではありましたが、オケの元気さと対抗するのはきつかったように思いました。ちょっと線の細さが感じられ、もう少し音量豊かにぶつかり合ったらさらに良かったのではないでしょうか。

 帰りの新幹線の時間が迫っていると冗談交じりに話をされて、アンコールなしに終演となりました。毎回長丁場のコンサートですが、7時前には終わりましたので、早い方だったかと思います。

 期待通りの素晴らしい演奏に満足しました。低料金で、これだけ内容の濃いお話と演奏を聴けるのはめったにないことです。もっとたくさんの人に聴いてもらいたいですね。私は自信を持ってお勧めできます。来年も開催されると信じていますが、どんな曲、どんなテーマになるのか楽しみにしたいと思います。
   

 

(客席:2階C2-9、S席、会員割引:\4050)