東響ロビーコンサートを聴いた後、所用を済ませ、再びりゅーとぴあに戻りました。小雨が降ったり止んだりと、天候はすぐれません。その分肌寒さを感じるくらいで、暑くないだけありがたいです。
今日の定期の指揮者は広上淳一さんです。広上さん指揮での演奏を聴くのは、2012年4月に京都市交響楽団と来演したとき以来です。
今日の演目で注目されるのはメンデルスゾーンの「讃歌」です。にいがた東響コーラスも出演し、今シーズンの演目の中でも、最も期待されていたのではないでしょうか。当然満席かと思いきや、いつも通りに空席があったのは残念でした。
拍手の中団員が入場。昨日のN響は拍手なしで、何か白けた感じがしましたが、奏者を温かく迎える新潟方式は良いですね。今日のコンマスはニキティンさん。オケは小編成で、弦5部は、8-6-4-3-2です。これにオーボエが2人、ホルンが2人加わりました。
毛利さんと広上さんが登場して、前半はモーツァルトのヴァイオリン協奏曲です。長身でスリム、容姿端麗な毛利さんは青いドレス姿でステージ映えします。広上さんは小柄ですので、指揮台は2段重ねで高く設定されていました。
演奏は透き通るように爽やか。毛利さんの上品で優しいヴァイオリンの調べが心地良く響きました。オケのサウンドも絶妙。弦楽アンサンブルの美しさに息を呑みました。昨日N響を聴いたばかりですが、東響も遜色ありません。
休憩後の後半は、メンデルスゾーンの「讃歌」です。この曲は、オケだけの第1部と、合唱と独唱が加わるカンタータの第2部からなる壮大な曲です。なかなか演奏されず、聴く機会がない曲であり、私が生演奏で聴くのは、1996年12月にサントリーホールで聴いた日本フィルの定期演奏会以来ですので、実に20年ぶりです。10年前に市制100周年記念として長岡で演奏されたのですが、他の予定と重なって聴けませんでした。ということで、新潟で聴くのは今回が初めてです。
最初に合唱団が入場。ステージ後方に合唱団席が作られていました。合唱団が着席したところでオケが入場。ソプラノ2人、テノール1人の独唱者と広上さんが登場して開演です。独唱者は指揮者の前に着席しました。なお、ソプラノの1人は、当初中嶋彰子さんでしたが、健康上の理由により針生美智子さんに交代されました。
トロンボーンの奏でる聴き馴染みのあるメロディーで演奏開始。第1楽章は祝祭気分を醸し出して盛り上がりました。美しいクラリネットソロで始まる第2楽章はあまりにも美しく、映画音楽でも聴くようでした。続く第3楽章も優しく心に響き、この曲がこんなにも美しかった事にこれまで気づかなかったことに驚きました。
第2部は、にいがた東響コーラスの鍛えられた見事な歌声と独唱者に支えられて、感動の演奏となりました。広上さんのエネルギッシュな指揮に応えて、オケも合唱も、その力を最大限に発揮していました。各独唱者も声量豊かであり、感動の歌声でした。
オーケストラに合唱、さらにパイプオルガンまで加わるのですから、これ以上の贅沢はなく、魂が揺さぶられるような高揚を生みました。
曲の最初に奏でられたテーマを盛大に歌い、演奏し、壮大なこの曲のフィナーレが締めくくられました。ホールは興奮と感動に包まれ、ブラボーがこだましました。
熱く燃える感動を胸に外に出ますと、肌寒さを感じました。季節は確実に本格的な秋へと向かっています。猛暑から脱したのは良いのですが、ちょっと寂しさも感じます。台風の接近も予想され、しばらく天候はすぐれないようです。
天候は悪いですが、心は晴れ晴れ。素晴らしい演奏を聴かせてくれた東響とコーラスの皆さんに感謝しながら家路につきました。
(客席:2階C*−*、S席:定期会員 \5700) |