OEKは何度か聴かせていただいていますが、今回は昨年のLFJ新潟以来1年ぶりということになります。LFJ新潟のときは、井上さんの指揮の予定が、病気により三ツ橋敬子さんに変更になり、井上さんの健康状態が心配されましたが、見事に復活されたのは喜ばしいことと思います。
また、今回はソリストとして五嶋みどりさんが共演するということで期待が膨らみました。平日開催のコンサートチケットを買うのはリスクを伴いますが、何とかなるさとばかりに、仕事のスケジュールを考えぬまま、チケット発売早々に購入してしまいました。
案の定、今日は仕事の予定が入り、重要な会合と重なってしまいました。しかし、先週のタリス・スコラーズも行けずにチケットを無駄にしていましたので、今回は何とか都合をつけよう画策して、無事コンサートに行くことができました。
とはいえ、開演前のロビーコンサートに間に合うはずはなく、開演時間ぎりぎりに、レセさんに急き立てられながら、息を切らせて着席しました。(こういう事態は予想しており、通路沿いの座りやすい席を選んでおりました。)
拍手の中楽員が入場。全員揃ったところで全員で礼をして着席してチューニング。爽やかで好感度満点です。コンマスはブレンディスさん。指揮台はありません。客の入りは東響定期程度でしょうか。でも、ステージ周囲などの安い席はかなりの入りです。
井上さんが颯爽と登場し、ロッシーニの序曲で開演しました。初めて聴く曲ですが、いかにもロッシーニというような、明るく軽快な曲で、オープニングを飾るにはふさわしい曲であり、演奏だったと思います。井上さんは全身を使ってエネルギッシュに指揮をしておられ、完全復活を印象付けられていました。
続いては、本日のメインといっても良い、五嶋みどりさんの登場です。新潟には何度か来演されているようですが、私は今回初めて聴かせて頂きます。
曲はシューマンのコンチェルト。CDは1枚持っているものの、ほとんど聴いていません。派手な曲でもなく、魅力を感じなかったというのがその理由です。
しかし、精神を病んだシューマン、演奏を封印したクララ、初演とナチスの陰など、曲にまつわるエピソードを知るにつれ、曲への興味もわき、みどりさんの演奏に期待が高まりました。
シックなドレスのみどりさんが登場。落ち着きと存在感を感じさせます。滑らかに、伸びやかに音楽が奏でられます。音楽に派手さがなく、テクニックをひけらかすような場面はなく、演奏映えしない曲に思いますが、落ち着いた演奏に引き込まれました。第二楽章などは、ロマンチックで癒されました。第三楽章はちょっととりとめのない音楽に感じ、盛り上がりもほどほどに終演となりました。
ここは、みどりさんの素晴らしい演奏に感激すべきなのでしょうが、曲は部分的には魅力を感じるものの、十分に共感するに至らず、せっかくの感動も八分目というのが正直な感想でした。
でも、めったに演奏されない曲を聴くことができたのは良かったです。まあ、コンサートで取り上げられないというのは理由があるわけで、このような演奏映え、聴き応えあるとはいえない曲を取り上げた井上さんとみどりさんには賞賛したいと思います。
後半はブラームスの2番です。この曲は、4月に佐渡裕指揮兵庫芸術文化センター管弦楽団の演奏で聴いたばかりでです。
演奏はエネルギッシュな井上さんに煽られて、熱気あふれる演奏でした。ただし、小編成であるため、弦の厚みに欠けて、重厚なブラームスの響きということにはなりませんでした。人数が少ない分、各奏者は全力疾走している感じで、一生懸命さは伝わってきましたが、その分余裕に欠けるように思いました。。
アンサンブルは決して最良とは言えず、ちょっと乱れを感じました。出だしがバシッと揃わない場面も多かったのではないでしょうか。井上さんは金沢、長野、新潟と演奏して、今日が一番良かったようなことを話されていましたが・・。
前半はきれいな演奏をしていたオーボエが、後半は奏者が変わって、ちょっと変な音に感じたのは私だけでしょうか。クラリネットや、フルートは良かったですけれど。ちなみにフルートのトップは工藤重典さんでした。
と、難点も感じましたが、良い演奏には違いなく、十二分に楽しませていただきました。元気いっぱいな井上さんを見ることができたのも良かったです。アンコールを期待しましたが、井上さんの挨拶の後、全員が一礼して終演となりました。
それにしましても、OEKという素晴らしいオケを持つ金沢は素晴らしいですね。自前のオケを持つという文化的基盤があるというのはうらやましいですが、新潟では東響定期がありますから良しとしましょう。
(客席:2階C6-11、S席:会員割引:¥6300) |