東京交響楽団第86回新潟定期演奏会
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2014年11月9日(日) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:飯森範親
ヴァイオリン:リチャード・リン
コンサートマスター:大谷康子
 


バルトーク:ヴァイオリン協奏曲 第2番

  (ソリストアンコール)
   J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番 BWV1003 より アンダンテ

(休憩20分)

ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
 
 

 だいしホールから急いでりゅーとぴあに戻り、今度は東響定期です。途中古町5番町では、レインブックのライブが行われていて、美しい歌声にしばし聴き入ってしまいました。お陰で危うく開演に遅れるところでした。

 今回の定期は飯森さん登場ということで、熱い演奏が期待されます。演目は、リチャード・リンとの共演によるバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番とベルリオーズの幻想交響曲。昨日のサントリー定期と同じ内容です。
 ちなみにバルトークの2番は、2005年の第31回新潟定期で、秋山さんとシェロモ・ミンツとで演奏されています。また幻想交響曲は、2000年の第5回新潟定期で飯森さんの指揮で演奏されており、そのときが飯森さんの新潟デビュー公演でした。あれから14年が過ぎ、円熟した飯森さんの演奏が期待されました。

 開演時間となりましたが、客の入りはいつもより寂しく、若干空席が目立ちました。人気指揮者の飯森さんの回ですので、賑わうんじゃないかと想像していたのですが、予想は外れたようです。やはり、曲目でしょうか。正直言って、私でもバルトークの2番というと、引いてしまいますものねえ・・。

 拍手の中団員が入場。全員揃うまで起立して待つという新潟方式は感激ですね。東京や川崎ではこうではありませんから、新潟が誇りうるセレモニーだと思います。
 最後に大谷さんが登場して、一段と大きな拍手が贈られました。大谷さんの新潟での人気は絶大です。実際、大谷さんが出演するときは、ほとんど外れがありません。大谷さんの横には田尻さん、後ろには廣岡さんという東響弦楽陣の最強メンバーが揃っていて、名演が約束されたように感じました。

 オケの配置は、ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置。チェロが左でヴィオラが右。コントラバスはステージの最後方中央に並んでいました。打楽器群はステージ左、ハープとチェレスタが右に配置されていました。

 飯森さんとリンが登場して、バルトークです。バルトーク嫌いな私には、苦痛な時間が続くと危惧していたのですが、飯森さんの分かりやすい曲作りと、東響の演奏の素晴らしさがあって、出だしのハープから演奏に引き込まれてしまいました。混沌とした難解な曲ではありますが、眠気を感じることなく、ところどころで良い曲だと感じさせる場面もあったのは収穫でした。
 このように楽しめたのは、もちろんリンのヴァイオリンの良さがあってのことです。まだ23歳とは思えないような、落ち着いた演奏と、美しい調べ。長大なコンチェルトを見事に弾ききってくれました。アンコールのバッハもお見事。優しく、心に響く音楽に、うっとりとしました。

 後半は幻想交響曲です。私の思い過ごしとは思いますが、オーボエが弱いかなと感じた場面が1ヶ所ありましたが、管も弦も、打楽器も良かったと思います。身振り大きくキビキビ指揮する飯森さんに応えて、生き生きとした音楽を創り出していました。
 ロビーコンサートで第2楽章で通常使われないトランペット(コルネット)が入ると宣伝していましたが、確かに良い味付けになっていました。
 飯森さんといえば、熱く燃え上がる演奏を想像したのですが、節度ある演奏だったと思います。細かなことまで指示を出し、舞台袖の鐘の一音一音を全て指示していたのが印象的でした。
 ちょっとグロテスクなこの曲は、どうせなら乱れまくって、大暴れしても良いかとも思うのですが、盛り上げながらも乱れることのない演奏で、飯森さんの円熟味を感じました。
 前回の第5回定期から14年。演奏する方も聴く方も、大きく変わっているはずですが、情熱あふれる飯森さんの指揮と熱い音楽は昔から変わりません。感動を与えていただいて感謝です。

 東響と飯森さんは、これから毎年恒例の新潟市内の小学校5年生を対象にした「わくわくキッズコンサート 」が控えており、12日には一般向けの「特割コンサート」も開催されます。水曜日までの新潟暮らし。ご苦労ではありますが、過ぎ行く新潟の秋を楽しんでいってもらいたいですね。
   
 
   
(客席:2階C*−*、S席:定期会員 \5500)