柏崎フィルハーモニー管弦楽団第20回記念定期演奏会
←前  次→
2012年10月14日(日) 14:00  柏崎市文化会館アルフォーレ 大ホール
 
指揮:丸山嘉夫
ヴァイオリン:天満敦子
客演コンサートマスター:三溝健一
 



ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より 第1幕への前奏曲

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調 op.64

   (ソリストアンコール) 見上げてごらん夜の星を〜故郷

(休憩15分)

ドヴォルジャーク:交響曲第9番ホ短調 op.95 「新世界より」

(アンコール)
ドヴォルジャーク:スラブ舞曲第1番
 
 

 秋空が爽やかな日曜日。陽気に誘われて、ということでもありませんが、2週間前のN響公演に引き続いての柏崎遠征です。文化の秋真っ盛りで、新潟市内でもたくさんの公演があり、どれに行くか悩ましいのですが、あえて新潟市を捨てて、この公演を選択しました。

 柏崎市は私にとっての第2の故郷。今でも深い関係が続いています。この柏崎フィルの第1回定期演奏会にも立会い、節目の第10回定期演奏会も聴いています。そして今回は第20回の記念演奏会ですから、行かないわけにはいきません。勝手に義理立てしているだけですが・・。天満さんとの共演というのも楽しみです。

 国道116号線を快適に走り、柏崎に到着しました。昼食は「そばよし」で焼きそばと思ったのですが、長い行列であきらめ、某所で腹ごしらえをして、開場の列に並びました。予定時間より早めに開場され、1階席中央に席を取りました。

 最新のホールらしくない、けたたましいブザーの音とともに開演です。1曲目は「マイスタージンガー前奏曲」です。10年ぶりに聴く柏崎フィルですが、良い音を出していて、感心しました。不安定な所もなく、ちゃんと聴かせてくれました。アマチュアとしては十分すぎる演奏と思いました。

 2曲目は天満さんとの「メンコン」です。庶民的な青いドレスの天満さんが登場して演奏開始。容姿そのままに、どっしりと、重心の低い、落ち着いた音色です。音量豊かに、温かみのあるヴァイオリンの音がホールいっぱいに響き渡りました。
 柏崎フィルも、天満さんと、その弟子である三溝さんに導かれて、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。アマチュアであることを忘れるような演奏であり、じっくりと音楽に浸ることができました。
 天満さんの、堂々とした中にも艶があり、時には力強く、ときにはしっとりと歌うような演奏に引き込まれました。オケの頑張りもあって、聴き応えある名演奏が作り上げられました。

 天満さんの挨拶があったあと、アンコールが演奏されました。いかにも天満さんというべき、むせび泣くような、心に染みる演奏に、汚れた私の心が洗われるようでした。
 天満さんを聴くのは2007年7月以来ですが、コンチェルトももちろん良いのですけれど、ヴァイオリン1本で弾く小品も絶品と思います。

 ただし、実は残念なことがありました。私の席の近くに、呼吸するたびに鼻水をすすり、鼻を鳴らすご老人がおられ、音楽への集中に水を差されてしまいました。柏崎の人たちは人間ができているためか、誰も注意することなく、終始鼻をすする音が私の耳元に響いてきました。人間ができておらず、我慢が足りない私は、いたたまれず、後半は2階席に避難しました。

 休憩の後は「新世界」です。前半はすばらしい演奏を聴かせてくれた柏崎フィルですが、後半は息切れしてしまったのか、さすがにアマチュアを感じさせる演奏でした。アンサンブルの乱れや音外しなど、ちょっと目に付きましたが、それでも聴かせる演奏だったと思います。この曲は、6月の新潟大学管弦楽団サマーコンサートで聴いたばかりですが、それには1歩及ばずというところでしょうか。でも十分に楽しめました。
 アンコールはお決まりに「スラブ舞曲」。これも新潟大学管弦楽団と同じでしたが、なかなか良い演奏だったと思います。
 
 柏崎フィルを聴くのは実に10年ぶりでした。賛助出演がやたら多く、コントラバスやトランペットなどは全員が賛助出演でしたが、全体としてレベルアップしているのを実感しました。特に前半は良かったです。天満さんとの名演奏を聴けて、はるばる遠征した甲斐はありました。

 また、ホールの素晴らしさも特筆すべきでしょう。このホールは先日のN響以来ですが、アズキ色の内装は落ち着きがあり、重厚さがあります。椅子も立派で、肘掛の形は秀逸です。響きは柔らかく、音響的にも優秀です。これからエージングを積むにつれ、もっと響きは良くなるものと思います。県内最高レベルのホールであることは間違いありません。
 

(客席:前半:1-16-14、後半:2-3-39  全席自由:¥1000)