東京芸術劇場コンサートホール リニューアルオープン記念演奏会
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2012年9月1日(土) 15:00  東京芸術劇場コンサートホール
 
指揮:下野竜也
ソプラノ:小川里美、メゾソプラノ:清水華澄
合唱:東京音楽大学
管弦楽:読売日本交響楽団
 



マーラー:交響曲第2番「復活」
 
 
 

 今日は仕事で東京に行く用事があり、せっかくなので、音楽を聴いてくることにしました。選んだのは、このコンサートです。昨年春から大改修工事をしていた東京芸術劇場が、今日リニューアルオープンを迎え、その記念演奏会です。ホール階へのアクセスの不便さや、故障続きのパイプオルガンなど、問題が山積していましたが、どのように改修されたかも興味深かったです。

 池袋駅西口から東京芸術劇場に向かいました。前の広場では、オープンを記念してのイベントが開かれており、大道芸人たちが曲芸を繰り広げていました。雑踏をかき分けながら館内に入りました。

 巨大なアトリウムの中央にあった5階までの長いエスカレーターは撤去され、2階へのエスカレーターと2階から5階へ向かうエスカレーターとに分割され、広々とした感じになりました。
 エスカレーターを乗り継いで5階に到着。ここがロビー階になります。今回の改修を機に、かつての大ホールはコンサートホールと名前を変えました。

 このロビー階から、1階席のある7階、2階席のある8階、3階席のある9階へと上がります。ロビー階から各階へはエレベーターがありますが、定員が少ないので、混み合うと大変です。
 ロビー階から1階席ロビー、1階席ロビーから2階席ロビーへはエスカレーターがありますが、2階席ロビーから3階席ロビーへはエスカレーターがなく、階段かエレベーターで行くしかありません。

 ホール内は、壁面や、天井の反射板が改修され、ステージが客席1列分前方に拡張されたそうです。圧迫感があって不評だった客席奥の三角形の突出部が削られ、随分と落ち着いた大人しい雰囲気になりました。

 今回の私の席は、3階の左サイドの安席です。手すりの棒が視界を遮りますが、見晴らしは良いです。チケット完売で、満席のホールは熱気でいっぱいでした。

 さて、栄えある記念演奏会の指揮は下野さんです。この人の指揮を聴くのは、2002年9月以来です。また、読売日本交響楽団を聴くのは、佐渡裕の指揮で聴いた2000年7月以来ですから、いずれも随分と久しぶりになります。

 館長の挨拶の後、合唱団、オーケストラの順にステージに登場しました。ステージいっぱいの合唱団とオーケストラは壮観です。

 小柄な下野さんが登場して演奏開始です。全身を使った、キビキビした指揮に応え、読響は緊張感あふれる演奏を聴かせてくれました。ホールの響きは透明感があり、こもったようなお風呂場サウンドではなく、非常にクリアです。ホールの空間が広く、音が拡散されるためか、芳醇なピラミッドサウンドという感じではありません。ここは好みが分かれるところでしょう。私は濃厚なりゅーとぴあのサウンドに慣れているので、薄味に感じてしまいます。

 第1楽章の後は、指示にならってか、長い休憩が入れられました。この間にオケのメンバー数人と独唱者が席に着きました。その後も下野さんはじっと動かず、時間を見計らって、第2楽章が開始されました。第2楽章、第3楽章とも緊張感は途切れず、息をのむ演奏でした。

 そして、第4楽章。メゾソプラノが朗々と響き渡り、第5楽章へ突入。オケは良く鳴り、エネルギッシュな下野さんの指揮に見事に応えていました。オルガン席にホルンの4人が出たり入ったりして、ホルンの決め所で一吹きして、立体的な音響効果を生んでいました。
 合唱は最初の歌い出しは着席しての演奏。ソプラノもお見事。そしてクライマックスへ。独唱者、合唱団ともにすばらしかったです。オルガンは修理がまだ終わっていないらしく、電子オルガンでしたが、十分な効果を生んでいました。最後はオルガン席にホルン4人とトランペット4人が出て、演奏効果をさらに高めていました。ホールいっぱいに響く大音響に圧倒されました。

 一貫して緊張感を失わず、メリハリのある演奏を引き出した下野さんの指揮はすばらしいです。久しぶりの精神的高揚感を感じ、興奮を抑えきれず、胸が高鳴りました。「復活」の生演奏を聴いたのは数回でしかありませんが、これまでで一番感動した演奏です。いたずらにいじったりせず、直球勝負。ぐいぐいと畳み掛けるような迫力にノックアウトされました。

 テレビの収録が入っていたようですので、放送されるかもしれません。その際は、是非ご覧下さい。
  

(客席:3階LBI−3、B席:4000円)