新潟県立新潟中央高等学校創立100周年記念
読売日本交響楽団演奏会
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2000年7月22日 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:佐渡 裕
 

デュカス:バレエ音楽「ラ・ペリ」〜ファンファーレ

デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」

オッフェンバック(ロザンタール編):バレエ音楽「パリの喜び」から
    序曲、第11曲、第12曲、第13曲、第14曲、第16曲、第22曲、第23曲 

(休憩)

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」

ドビュッシー(ビュッセル編):小組曲

ビゼー:「カルメン」組曲から
    闘牛士、前奏曲、アラゴネーズ、間奏曲、ハバネラ、ジプシーの踊り

(アンコール)
ビゼー:「アルルの女」第2組曲から「ファランドール」
新潟中央高校校歌〜童謡「里の秋」

 

 
 
 この公演は、今年創立100周年を迎えた新潟県立新潟中央高等学校の記念事業のひとつです。昼間は同校の管弦楽団、合唱団による演奏会が開催され、参加者の話では大変な好演であったということです。夜は一般にも公開された読響の演奏会です。何で読響なのかは分からないですが、ちょうど文化庁移動芸術祭として全国巡回中であり、それに便乗したものでしょうか。23日は、新井市で同じ演目での演奏会が行われます。

 ともあれ、創立記念演奏会ということで、あまり宣伝はされておらず、関係者以外は知らない人も多かったに違いないです。私は情報網を張り巡らしていましたので、佐渡裕・読響の公演があるという噂を知り、また、入場料が何と1000円ということもあって、万難を排して駆けつけた次第です。
 新潟中央高校は新潟県内で最も伝統のある女子校で、私の高校時代はお嬢様学校としてあこがれでした。(会場では私の姉が受付をしていてビックリ。そういえば同窓生だったのか・・。)

 さて、読響といえば新潟は4年振りの公演です。また、佐渡裕は2年前に京都市響と来演しています。佐渡と言えば、パリの4大オケを指揮し、フランス物のCD(エラートから発売されたフランス放送フィルとの録音は私も買ってしまった)を出したり、CMでも活躍しており、最も活動的な若手指揮者のひとりです。”バーンスタイン最後の弟子”を自称する佐渡の指揮ぶりを是非聴きたいと期待は膨らみます。

 まず最初は、ブラスセクションだけ入場して、ラ・ペリのファンファーレで幕開け。きれいなブラス・アンサンブルでした。そして、他のメンバーも入場して、魔法使いの弟子。この曲は、つい先日新潟大学管弦楽団で聴いたばかり。さすがにプロの演奏は音が美しいです。パリの喜びは、いかにもフランスというようなソフトな上品さが漂い、佐渡の真骨頂。カンカンでは大いに暴れ、舟歌でしっとりと終わりました。さすがにパリの聴衆をうならせる佐渡だけはあります。

 後半は、ローマの謝肉祭、ドビュッシーと演奏が続きます。ドビュッシーの繊細さに息をのみました。そしてカルメン。熱狂のうちに演奏が終わりました。 
 アンコールのファランドールでさらに会場を盛り上げ、誰もが知っている日本の名曲で静かに締めくくりました。出だしのメロディが何だか分からなかったですが、後できいたら校歌だったとのこと。創立記念のサービスだったようです。

 演目を振り返ってみますと、魔法使いの弟子、パリの喜び、カルメン、そして、アンコールのファランドールは、前にも触れた、エラートから発売された、フランス放送フィルとのフランス音楽の祭典というCD(WPCS-6320)に全て入っています。けっこうしゃれたCDでしたが、今日の演奏は、もしかしたらCDよりいいできだったかもしれないです。

 さて、佐渡は指揮棒を持たず、手で指揮をしたりしていました。ゲルギエフのような震えるような指遣いの域には達していないですが、エレガントさが終始漂い、上品な演奏でした。
 ただし、緩徐部での美しさ・繊細さに比して、強奏部では佐渡の飛び跳ねながらの熱演に関わらず、今ひとつ盛り上がりに欠ける面が感じられました。
 さらに、私の席(Dブロック、2階左中央寄り)では、やたら音が響きすぎて、明瞭感に欠け、オケが鳴りきっていなませんでした。絶対的な音量も欠けていたように思われました。この響きすぎるホールでの初めての演奏で、ホールの癖をつかみきっていなかったのかもしれないです。
 最後に、蛇足ながら打楽器のお姉さんは大変きれいで、演奏の仕方も華麗であり、思わず見とれてしまいました。

 ともあれ、1000円ではもったいないコンサートでした。同窓生の皆さんはたくさんの寄付金を出されたと伝え聞きました。そのおかげの格安コンサートなのでしょう。部外者ではありますが、共に創立100周年を祝わせていただきました。関係者から佐渡裕のサインまでいただいちゃって、どうもありがとうございました。