新潟交響楽団第90回定期演奏会
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2012年6月17日(日) 14:00  新潟県民会館 大ホール
 
指揮:松沼俊彦
フルート:浅利守宏
 


スッペ:歌劇「軽騎兵」序曲

モーツァルト:フルート協奏曲第1番ト長調 K.313

 (ソリストアンコール)同・第2楽章より

(休憩15分)

チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 「悲愴」 Op.74

 (アンコール)チャイコフスキー:ただ憧れを知る者だけが
 
 

 梅雨入りしている新潟。天候はすぐれず、気分も晴れません。こんな日曜日ではありますが、音楽を聴いて気分転換を図らねば・・・。
 先週はフレッシュな北区フィルを聴きましたが、今週は老舗の潟響です。昨夜は長岡交響楽団の定演もあり、これも聴ければ最高だったのですが、長岡遠征はできませんでした。

 空はどんよりとして、雨が降り出しそうでしたが、何とか降らずに済みました。1時過ぎに県民会館に行き、開場の列に並びました。県民会館では一番好きな2階最前列中央に席を取りました。4月のLFJ新潟のプレ公演ではりゅーとぴあを満席にした潟響ですが、今日の客の入りは程々というところでしょうか。

 拍手の中団員が入場。最後に松村さんが登場して一段と大きな拍手が贈られました。松沼さんが颯爽と登場し、1曲目は軽騎兵序曲です。
 この曲は、5月の新潟クラシックストリートの公演で取り上げられていて、そのときの印象がまだ残っていますが、ブラッシュアップされて洗練された完成度の高い演奏になっていました。2階最前列で聴く限り、弦に比して管がうるさく響きましたが、演奏そのものは良かったです。

 2曲目はオケの編成が小さくなり、モーツァルトのフルート協奏曲です。浅利さんは新潟出身で、新潟で活発な演奏活動をされていますので、演奏を聴き機会は度々あったと思いますが、協奏曲の演奏は初めて聴きました。
 柔らかな優しい音色で、でしゃばることなく、オケと溶け合っていたように思います。うっとりするような、心癒される演奏でしたが、逆に言えば、ソリストとしての自己主張がもっとあっても良かったかもしれません。

 後半はメインの悲愴です。躍動感ある松沼さんの指揮の下、渾身の演奏を繰り広げてくれました。松沼さんは熱く燃え、歌いながら指揮をして、2階席までその声と情熱が届きました。細かい所では、いつもの潟響に比べて、管の乱れや、歌わせ方がスムーズでない場面が垣間見えましたが、全体の流れの中では些細なことかもしれません。
 第4楽章は、哀しみというよりは、怒り狂うかのような、情念を感じました。予想されたことではありますが、第3楽章の後に一部の人から拍手がありましたが、最後は指揮棒を下ろすまで、拍手を待ってくれてよかったです。欲を言えば、ブラボーがもう5秒ほど遅ければ良かったですけれど。演奏後クラリネットを真っ先に立たせましたが、確かにクラリネットは良かったです。

 悲愴の後にアンコールでもないと松沼さんが話されていましたが、アンコールを演奏して終演となりました。悲愴の後の曲としては良い選曲だったと思います。最後に、団長を退任された大塚さんへ新団長から花束が贈られ、松沼さんと握手して、感動的なフィナーレとなりました。

 残念ながら、これで松沼さんとはお別れです。2008年6月の第82回定期演奏会から、毎回素晴らしい演奏を潟響から引き出してくれました。LFJ参加など、多彩な活動を支えてくれて、潟響をレベルアップしてくれた功績は偉大と思います。情熱的な指揮ぶり、そしてユーモア溢れるトークのうまさなど、歴代の指揮者の中でも飛び抜けているんじゃないでしょうか。当初は2年の契約だったはずですが、今回まで契約延長となりました。ファンとしましては、もっと契約延長できればと思うのですが、そうもいかないのでしょうね。

 これで松沼さんとお別れと思うと残念でなりませんが、次の指揮者である諸遊耕史さんがどういう演奏を聴かせてくれるのか楽しみでもあります。
 次の定期は11月18日、今度はりゅーとぴあです。ブラームスの2番がメインとなります。新しい指揮者を迎えて潟響がどう変身するか期待しましょう。


附記:その後いただいた情報によりますと、松沼さんの契約は来年までだそうです。ただし、今後指揮するのは来年の秋の1回のみだそうです。
 

(客席:2階1−18、自由席:¥1000)