佐渡 裕 指揮 ベルリン・ドイツ交響楽団
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2011年10月29日(土) 14:00  長岡市立劇場 大ホール
 
指揮:佐渡 裕
ピアノ:エフゲニ・ボジャノフ
 

R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43

  (アンコール) ショパン:ワルツ第5番

(休憩20分)

ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92

(アンコール)
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番
 
 

 今日は朝から快晴の気持ちよい陽気となりました。紅葉見物がてらに山の温泉にでも行きたいところですが、早々にこのコンサートのチケットを買っていたので、行かねばなりません。昨夜の新潟公演と同様に、先行発売で買ってしまいましたが、2日連続は懐に負担であり、今日はB席です。チケットはすぐに完売になり、佐渡人気が伺われます。
 佐渡さんは、シエナ・ウインド・オーケストラとは2007年9月2009年8月の2回長岡に来演していますが、いずれもチケット完売でした。オーケストラとの来演は今回が初めてだと思います。

 昼前に家を出て、ドライブがてら分水・与板経由で、農道を走って長岡に向かいました。与板橋西詰で片側交互通行がありましたが、快適に到着しました。
 近くで昼食を取り、開場の長い列に並んで入場したら、ちょうど佐渡さんのプレトークが始まりました。5月のベルリン・フィルの話などされていました。
 満席のホールは壮観です。B席ですので後方ではありますが、中央付近で、見晴らしは良く、値段を考えれば良い席と思います。

 拍手の中、楽員が入場。今日のコンマスは、昨夜後半のコンマスを務めた人でした。佐渡さんが登場して、1曲目は「ドン・ファン」です。第一印象は、「あれ?」。どうもオケの音色が良くありません。弦がガサガサに感じ、音が響いてきません。干物のような感じで、昨夜のような豊潤な、潤いのあるサウンドとは大違いです。これはホールの問題と思います。演奏そのものは良かったと思うのですが、音色に違和感を感じてしまいました。

 ステージにピアノが運ばれて、続いてはボジャノフを迎えてのラフマニノフです。今度もオケの音色がガサガサに感じるばかりか、ピアノの音色も良くありません。ピアノのコンディションが良くないんじゃないかと思うほど濁った音に感じました。ホンキートンクピアノのようにすら感じましたが、私の耳がおかしいのでしょうか。(やっぱりおかしいのでしょうね)
 アンコールはショパンのワルツが猛スピードで演奏されました。ちょっと荒っぽく感じましたが、会場を盛り上げるには良かったと思います。しかし、響かないホール、違和感のあるピアノの音色が相乗的に作用し、私の好みとはずれを感じました。

 後半はベト7。ちょっとゆっくり目のテンポで演奏され、意外にも乱れることなく正統的な演奏だったと思います。クライバーのような、踊り狂うような、燃えるような演奏を期待したのですが、どっしりと重厚な演奏だったと思います。いかにもドイツという感じでしょうか。終楽章は幾分テンポアップして盛り上げてきましたが、イマイチ高揚感に乏しく感じました。
 これはこれですばらしい演奏と思いますが、LFJ新潟での三ツ橋/仙台フィルの感動と興奮には及ばずというのが私の感想です。ホールはスタンディングオベーションで、大盛り上がりでしたから、醒めていたのは私くらいでしょうね。最近コンサート続きで、感動の閾値が高くなってしまっているのかもしれません。

 アンコールはハンガリー舞曲5番。猛スピードの爆演で、最後を締めるには良かったと思います。満員のホールは興奮に包まれ、拍手は鳴り止みませんでした。
 帰りにスポンサー提供の景品の抽選結果の発表がありましたが、昨夜に引き続いて今日も外れでした。残念。

 さて、振り返ってみますと、演奏そのものは正統的なもので、良かったはずなのですが、音響的不満が最後まで感じられました。りゅーとぴあで感じられる音に包まれるような豊潤な音響を聴くことができず、遠くで鳴っている音楽を望遠鏡で覗いているような印象を受けました。空調の音もうるさく、全くの無音を感じることもできませんでした。ホールも楽器ということを改めて思い知らされました。りゅーとぴあで聴いたら印象は全く違うことでしょう。
 と、いろいろ不満を書いてしまいましたが、今回のチケットは安いB席。もっと良い席で聴いたら印象は変わっていたのかもしれません。
 

(客席:29−27、B席:10000円)