まえがき
この度、日外アソシエーツ株式会社より『新訂・最新軍事用語集 英和対訳』を出版する運びとなりました。前版の『英和/和英対訳 最新軍事用語集』が、思わぬご好評をいただき、再び用語集を編集する機会に恵まれました。ひとえに、ご購入いただいた皆様のお陰であり、ここに深く感謝の意を表します。
公開情報から用語を収集し、整理してまとめるという、いわば集成集の形式は前版と同様であり、また編集方針も変わっていません。しかし、新訂版においては、使い勝手を向上させるため、以下の3点について工夫しています。
- 軍事色・防衛色が薄いと思われる用語は、できる限り削除した。
- 説明文や用例の充実に努めた。
- 「和英編」に替えて、「日本語索引」を作成した。
削除した用語は約4 千語です。ほぼ同数の用語を新たに追加しているものの、見出し語数は、前版の約3万9千語から約1千語減少しています。これは、用例のなかに組み込んだ結果であり、収録語数は、ほぼ同数を維持しています。「英和編」に限れば、約220ページ増加しており、情報量は多くなっています。
説明文は、誤解や思い違い等による誤訳を避けることを目的に付記しています。約8千語の見出し語について、何らかの説明を加えており、用語集と題してはいるものの、辞書的な要素も備わっています。
新たに作成した「日本語索引」では、索引という概念を取り入れることにより、「英和編」との内容の非対称性を許容しています。これによって、さらに軍事色・防衛色の強い用語への絞り込みを行っています。対応する英語も記載していますので、和英対訳としてお使いいただけます。
これらの点が前版との大きな違いですが、見方を変えれば、新訂版にはない約4千語の用語が前版には残存しています。また和英対訳用語集の機能も備わっています。書架に余裕があれば、前版と新訂版を並置し、一組の用語集としてご利用いただければ幸いです。
本書に収録されている用語の多くは、インターネット検索で見つかるはずです。その点で言えば、本書の利用価値は限定的であるかも知れません。しかしながら、用語の確定には数十分を要する場合がよくあります。まれには、数時間かかることさえあります。防衛関係の業務に携わる方々の時間は貴重です。日常的に、用語の確定に困難を感じている場合は、ぜひ本書をご利用ください。
約10年の間に、軍事分野においても様々な変化がありました。最大の変化は、陸海空に加え、サイバー空間が一つの領域になったことであると言えます。各国ではサイバー部隊が創設され、運用が始まっています。宇宙も、配備の場から実戦の場へと移行し始めています。
サイバー戦、ミサイル戦、情報戦、人工知能戦など、最新分野に関連する用語も、不十分ながら収録しています。
金森國臣
2018年12月
(尾道市向島町にて)
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