2005年 / 源孝志監督 / 豊川悦司, 原田知世, 吉川晃司, 寺島しのぶ, 田畑智子
おびえた目つきの演技をウリとする田口トモロヲを人間関係の中心に据えると言う最悪のミスキャストにも関わらず、個性を抑えながらも、他の演技達者の魅力を最大限に引き出している点で、これは出色の映画だと思う。
これだけ主役級が出演していると、必ずどこかで軋轢が生じるものだが、これをオムニバス的な形式を採り入れることでうまく回避しつつ、しかも人間関係の物語とすることで、微妙につなげるという実に巧みな演出で感心してしまう。
田畑智子は魅力的な女優ではあるけれども、どこか地味さが目立ってしまって、これ以上の成長は難しいだろうと思っていたのだが、この映画では実に素晴らしい演技で表情もよく、少し見直してしまった。
夢見る少女がそのまま大人になった感じの女性を演じているのだが、ちゃっかり成長している雰囲気をさりげなく醸し出していて、こうした難しい役所がこなせるのであれば、これは期待がもてそうな気がした。
香椎由宇は、本来ならばどうにも扱いようのない女優であると思うのだが、はまりどころを見つけてあげれば、そこそこの役割が果たせる訳で、これも新しい発見であった。
映画の宿命として、最終的には無理矢理にでも各エピソードを収束させなければならないわけだが、多視点と言うべきなのか、コアになる部分が複数設定されているために、このあたりが実にスムースで嫌みなくエンディングを迎えていて、さわやかな感じさえ残ってしまった。
映像も素晴らしく綺麗だし、必見の映画だと思う。
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