2007年 / 平山秀幸監督 / 小泉今日子, 藤山直美
副題に「てれすこ」などと見慣れぬ文字が踊っているから、これはイタズラのようなものかと思っていたら、そうではなく重要な役割を果たしていることが後でわかった。
「やじきた」よりも先にこの「てれすこ」が登場するのだが、この冒頭部分からよく出来ていて、実に気持ちよく観賞し始めることができた。
無論のこと、目的は小泉今日子だったのだが、設定が29歳というのはちょっとツライとしても、これもなかなかの演技で満足した。
「てれすこ」の話と小泉今日子が演じる花魁の足抜けの話が、つかず離れずの感じで微妙に重なり合い、相互に補強し合って小気味よくどんどん場面が展開するから飽きさせない。
途中には、子狸の恩返し的な話が挿入されていたり、実際には荒唐無稽な話なので本来なら興がそがれてしまうのだが、そんなこともあるかも知れないと思わせる演出は見事だと思う。
本当なら、江戸の若者の気っぷの良さが売り物になる話だろうが、いかんせん主役が中村勘三郎と柄本明なので、いくらか気勢がそがれてしまうのは、ちょっと贅沢な注文だろうか。
映画に歌舞伎役者を配すると、全部が歌舞伎調になってしまうのでやめてほしいのだが、なぜか使いたがる傾向にあるから、このあたりは不思議に思っている。
最後には泣かせる場面もあるから、気分よく終えることができる。
余計なことかもしれないが、小泉今日子はチャラチャラしていないで、ちゃんと演技に精進すれば、優れた映画俳優になることは間違いないので、そのあたりをしっかり自覚してもらいたいな。
|