2010年 / 中村義洋監督 / 堺雅人, 竹内結子
テーマは荒唐無稽の極地なのだが、昨今の状況を見るとそうとも言えない部分があり、そういう事も手伝って、冒頭から一気に引き込まれてしまった。
途中で多少の中だるみはあるものの、2時間あまりの長時間をまったく飽きさせることなく楽しませるのは、なかなかの手腕の監督だと思った。
こうした青春群像に近い映画になると、出演者の多さから内容はどうしても散漫にならざるを得ないのだが、それが一切ないばかりか、それぞれの持ち味がしっかりと出ていて、これは出色の出来映えだと思う。
「劇団ひとり」が準主役として重要な役割を果たしているのだが、非常によい演技で、これにもちょっと驚いてしまった。
扱っているテーマ自体は悲惨極まりがないし、殺人場面も多くあってよろしくないのだが、ファンタジー感を醸成するシーンが随所に嫌みなく挿入されているから、娯楽として十分に楽しむことができる。
竹内結子は相変わらず可愛いし、おすすめの映画だと思う。
冒頭のちょっと間の抜けた入り方の意味が最後に解るというのは、『今、会いにゆきます』に通ずるところがある。これはどちらかと言えば手法としては成功しているとは言い難いが、この「ゆるさ」加減も計算されたもののように感じてしまうようなところさえある。
これぐらいの人数の出演者になると、気に食わない演技をする役者が一人はいるものだが、全くいなかったので、これは配役の妙としか言いようがない。
たまにこういう映画に出会うから、ついつい映画を見てしまうことになるが、ちょっと腑に落ちない部分もあったので2回も見てしまい、このあたりも計算づくのことなのだろうかと思う。
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