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GWの5連休のちょうど中間の月曜日、今日はヴァイオリンの石田泰尚さん、バンドネオンの三浦一馬さん、チェロの西谷牧人さん、ピアノの山田武彦さんの4人によるアンサンブルの演奏会で、題して「俺のクラシック」です。
石田さんは、超個性的で、絶大な人気を誇るヴァイオリニストですので、今さら紹介することもないのですが、神奈川フィルのソロ・コンサートマスターや京都市響の特別客演コンサートマスターを務めているほか、個人として、ユニットして、多彩な演奏活動をされており、そのスケジュールのすさまじさには驚きます。昨日は大阪で石田組の公演を行い、明日は鶴岡、明後日は高崎で石田組の公演があり、移動だけでも大変だろうと思います。働きすぎを心配してしまいます。
新潟には個人のほか、石田組をはじめ、YAMATO String Quartet、三浦一馬五重奏団など、いろいろなアンサンブルの一員として度々来演しておられますので、とても紹介し切れません。個人的には昨年10月の秋葉区文化会館でのリサイタル以来になります。
これからも、5月30日には石田組で長岡市立劇場、6月10日には YAMATO String Quartet で長岡リリックホール、6月15日にはトリオ・リベルタでりゅーとぴあに来演しますし、10月17日には柏崎市文化会館で務川慧悟さんとのデュオ・リサイタルが予定されており、新潟にこれほど来演してくれるアーチストは珍しいのではないでしょうか。
バンドネオンの三浦一馬さんも新潟には何度も来演されていますが、個人的には、2024年11月の三浦一馬五重奏団以来になります。このときには石田さん、ピアノの山田武彦さんも共演しています。
チェロの西谷さんは、元東京交響楽団主席チェロ奏者として新潟で何度も演奏していますし、本公演のほかロビーコンサートでも楽しませてくれました。退団後も2021年5月には、ウルトラ・スーパー・チェロズで来演していますし、石田組のメンバーとしても活躍されています。西谷さんの演奏を聴くのは、ゲスト出演した2024年12月の
Duo Kakao リサイタル以来になります。
なお、西谷さんは石田組のメンバーとして石田さんと同様に、昨日は大阪で演奏し、明日は鶴岡、明後日は高崎での公演が控えており、頑張っていただきたいと思います。
蛇足ですが、過去記事を調べていましたら、2016年8月の石田組のコンサートでは、西谷さんのほか、なんと東京交響楽団団長の廣岡さんもメンバーとして出演されていてびっくりしました。
そして、ピアノの山田さんは、三浦一馬五重奏団のメンバーとして、2回新潟で聴いていることは覚えていますが、もしかしたらほかでも聴いているかもしれません。
なお、今日のプログラムは、前半はオール・ガーシュウィン、後半はオール・ピアソラです。2018年11月の三浦一馬キンテート2018と同様の構成で、かなりの曲がかぶっています。
ということで、いくら人気の石田さんとはいえ、聴く機会が多くて新鮮味に欠けますので、どうしようかと思いましたが、勢いでチケットを買ってしまいました。
今日は朝早く職場に行って雑用を処理して家に戻り、缶・ビンのごみ出しをして、着飾って出かけた暴君を見送って家を出ました。某所で昼食を摂り、今でも雨が降り出しそうな天候の中、りゅーとぴあへと車を進めました。
駐車場に車をとめて、小雨がぱらつ中に、小走りしてりゅーとぴあ入りしました。館内に入りますと、開場を待つたくさんの人たちで賑わっていて、いつものクラシックコンサートとは違った空気感を感じました。
開場とともに入場して、この原稿を書きながら開演を待ちました。ステージ中央にはスタインウェイ。その前に左から、ヴァイオリン用の譜面台、バンドネオン用の椅子と譜面台(タブレット)、チェロ用の椅子と譜面台が並んでいました。
客席は、Pブロックと3階のサイドは販売されなかったようですが、開演時間が近付くに連れて席はどんどんとと埋まり、ほぼ満席に近い大盛況となりました。さすがにこのメンバーの集客力はすごいですね。
開演時間となり、西谷さんを先頭に4人が登場。石田さんは独自の世界を作っていて、一人だけ浮いていました。他の3人とは別に、いつものお辞儀をして、開演しました。
前半は、ガーシュウィンで、1曲目は、「カール・クレイジー序曲」です。軽快なリズムで始まり、聴き馴染みのあるメロディーを交えながら、次々と入れ替わって音楽が流れ出ました。ウキウキ・ワクワクで楽しませてくれましたが、バンドネオンの音量がありすぎて、他の楽器とのバランスが悪かったかもしれません。
2曲目は、「魅惑のリズム」です。心地よいリズムで楽しませてくれて、まさに魅惑のリズムでしたが、やはりバンドネオンが目立ち過ぎて、ヴァイオリンの線が細く感じてしまいました。
3曲目は、「ベス、お前は俺のものだ」です。ムードたっぷりなピアノに始まり、バンドネオンがゆったりと歌いました。チェロが加わり、ヴァイオリンが甘くゆったりと歌い、うっとりしながら音楽に浸りました。そして、しっとりと染み入るように終わりました。
4曲目は、「サマータイム」です。バンドネオンのしっとりとしたサウンドで始まり、チェロが切なげに、もの悲しく歌い、その音の美しさにうっとりしました。けだるい音楽が流れ出て、夏の夜の蒸し暑い場末の路地裏の光景が思い浮かびました。
5曲目は、「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー」です。ピアノに導かれて、チェロで始まりました。バンドネオンが加わり、ヴァイオリンが甘くメロディを奏でて、ピアノが歌い、心地良いリズムとともに曲が流れました。チェロが甘く歌い、各奏者の見せ場もたっぷりでした。うっとりと聴き入り、しっとりとした中に終わりました。
前半最後は、「ラプソディ・イン・ブルー」です。ピアノが美しい和音を奏でるチューニングに引き続いて、ヴァイオリンで始まって、バンドネオンが加わり、チェロとピアノが加わって演奏が進みました。軽快にリズムを刻み、中間部の歌わせどころは、思いっきりゆったりと美しく歌い、感動の中に演奏が終わりました。大きな拍手が贈られて休憩に入りました。
休憩後の後半は、ピアソラで、1曲目は、「デカリシモ」です。バンドネオンで始まって、ヴァイオリンが擬音を作って味付けして演奏が進みました。タンゴのリズムに乗ってヴァイオリンが歌い、各奏者が熱く演奏してかっこよく終わりました。
2曲目は、「ブエノスアイレスの四季」です。最初は「ブエノスアイレスの冬」です。この曲は何度も聴いていている定番曲であり、ピアソラの世界が広がりました。もの悲しく、切々とメロディを歌い、それをかき消すタンゴのリズムが交互に現れ、ヴァイオリンやチェロのソロが、しっとりと心に染み渡りました。
続いては、「ブエノスアイレスの夏」です。力強いリズムで始まり、暗さを感じながら進みました。緩徐部では甘さも少し見せるも、すぐに激しさを増しました。これは冬の嵐でしょうか。そんなことを考えるうちに終わりました。
続いては、「ブエノスアイレスの秋」です。激しいリズムで始まりましたが、すぐになめらかに、ゆったりとなりました。チェロが朗々と、バッハでも弾くかのように歌い、うっとりと聴き入り、そして激しいリズムに変わるも、再び静かになり、ヴァイオリンがけだるく歌い、そして力強くリズムを刻んで終わりました。
最後は、「ブエノスアイレスの春」です。ピアノが足踏みしたり、チェロが胴を叩いたりを交えて、軽快なタンゴのリズムで始まりました。もの悲しくバンドネオンが歌い、ヴァイオリンも切々と歌いました。切れの良いリズムとともに情熱的に盛り上がるも、春の明るさは感じられないのはピアソラの世界ならではでしょうか。
そして3曲目は、「オブリヴィオン」です。ピアソラの定番曲であり、私が大好きな曲です。ピアノとともに、ヴァイオリンが切なく奏でて始まりました。チェロが悲しげに情感豊かにメロディを演奏し、ヴァイオリンが悲しげに歌い、胸に染み渡りました。チェロが再び美しく歌い、その泣きのメロディに涙し、しみじみとした感動をホールにもたらしました。
4曲目は、「現実との3分間」です。速いリズムで始まり、休む間もなくひたすらリズムを刻んで走り抜けて、そのまま突き進んで終わりました。
最後は、「鮫」です。歯切れのよいリズムとともに速い足取りで進みました。うねりを作りながら、少し攻撃的に攻めてきて、激しく終わりました。
客席に興奮をもたらして、大きな拍手とブラボーが沸き上がり、カーテンコールが繰り返されました。拍手に応えて、三浦さんだけが登場して、最初からステージに用意してあったマイクを取り上げて、挨拶があり、最後まで挨拶もなく演奏を進めていたことを詫びました。
そして、「俺のクラシック」シリーズについての説明があり、通常はトリオの編成ですが、今回は新潟だけの特別な4人の編成であることの説明がありました。また、イベントが多い中に大入りであったことを感謝しておられました。
そして、今回「俺のクラシック」シリーズ初登場という西谷さんが呼び出されて挨拶があり、続いて同様にこのシリーズ初出演の山田さんが呼び出されて挨拶がありました。
最後に石田さんが呼び出されましたが、出てきたもののすぐに帰ってしまい、再度呼び出されて挨拶がありました。石田さんのお話を聞けるのは貴重です。
そして、アンコールに「アレグロ・タンガービレ」が演奏されました。この曲は2024年11月の三浦一馬五重奏団のアンコールでも演奏されています。軽快なバンドネオンとともに始まり、スピードを落とすことなく飛ばして終わり、割れんばかりの拍手が沸き起こり、ホールは興奮で満たされました。
興奮は醒めずに拍手が続き、アンコール2曲目は「リベル・タンゴ」です。この曲で盛り上がらないはずはなく、熱気に包まれたホールはさらに熱く燃えて興奮のるつぼとなり、観客全員総立ちのスタンディングオベーションとなりました。
これほどまでに熱狂するホールは久しぶりであり、その光景を目にし、その中に身を置く幸せを感じて胸が高鳴り、力の限りに拍手しました。
期待通りの演奏であり、予想以上の熱狂と興奮を聴衆にもたらしました。「俺のクラシック」というコンサート名で、石田さんを前面に押し出しており、石田さん目当ての人が多かったものと思いますが、全体を俯瞰しますと、バンドネオンが中心であり、三浦一馬四重奏団の演奏会という表現が相応しく思いました。
とはいえ、石田さん、西谷さん、山田さん、それぞれの見せ場がたっぷりあって、見事なパフォーマンスを見せて、聴かせてくれました。
大きな感動とともにホールを出ますと、強風が吹き荒れていました。この強風も、ホールに渦巻いた熱狂の嵐には遠く及びません。
(客席:2階C2-9、S席:¥4500) |