Noism0+Noism1 アルルの女 / ボレロ
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2025年6月28日(土)17:00 新潟市民芸術文化会館 劇場
Noism0、Noism1
 
アルルの女
 演出振付:金森 穣
 音楽:ビゼー/劇付随音楽《アルルの女》

(休憩20分)

ボレロ −天が落ちるその前に
 演出振付:金森 穣
 音楽:ラヴェル/《ボレロ》
 
 

 新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)を拠点として活動している Noism Company Niiigata には、プロフェッショナルメンバーによる Noism0、Noism1、研修生による Noism2 があり、地域に根ざした活動とともに、全国に、さらには世界にも活動の場を広げています。
 Noism2 の公演は今年3月にあり、私も観させていただきましたが、Noism0、Noism1 の公演は、昨年12月の「円環」以来半年振りになります。

 今回は「アルルの女」と「ボレロ」の2演目です。「アルルの女」は、没後150周年のビゼーの劇付随音楽「アルルの女」を用いて金森穣氏が振付けた完全な新作です。「アルルの女」は、音楽としては超有名であり、今年5月の新潟室内合奏団の演奏会でも演奏されていますが、実際の物語については、今回まで全く知りませんでした。どのような演出で楽しませてくれるか期待したいと思います。、
 一方「ボレロ」は、生誕150周年のラヴェルの名曲「ボレロ」に振付けたもので、ベジャール版が良く知られていますが、Noism版「ボレロ」は、2023年12月末の「りゅーとぴあジルベスターコンサート」で東京交響楽団とともに演じられ、2024年9月の「SaLaD音楽祭2024」では東京都交響楽団とともに上演されています。今回は劇場版ということで、どのような振付・演出になっているのか楽しみです。
 
 今回の公演は、6月27日(金)、28日(土)、29日(日)の3公演開催され、その後7月11日(金)から13日(日)まで埼玉公演も行われます。私は新潟公演の中日を観させていただきました。

 コンサートホールで開催された新潟Aフィルハーモニックの演奏会が16時40分に終わり、興奮も醒めないまま劇場へと移動しました。開場待ちの列に並んで入場しますと、ロビーは開演前の熱気に包まれていました。
 席に着きますとほぼ満席であり、Noismの人気と期待のほどが伺えました。ステージの前方を取り囲むようにオレンジ色の枠が作られていて何だろうと思いましたが、あとで重要な意味を持つことが分かりました。

 開演時間となり、まだ暗転していない中に音楽が流れ、「アルルの女」の物語が始まりました。もともとのストーリーが分かっていませんでしたが、「アルルの女」を忘れられないフレデリという青年とその母・ローズ、許婚のヴィヴェット、弟のジャネ、ローズの父の常長を中心に物語が進みました。物語の展開は大まかにしか理解できず、舞踊に見とれるだけでした。
 組曲版の音楽は聴き飽きた感もありあすが、劇付随音楽ということで合唱があったりと、組曲では聴けない音楽も出てきて楽しめました。
 舞台装置としては、ステージ前方の大きなオレンジの枠、ステージ上に出てくる小さなオレンジの枠、ステージ後方のスクリーンのほかは、椅子やテーブル程度で大掛かりなものはありません。
 舞踊とパントマイムで進行しましたが、オレンジ色の枠が大きな意味を持っていました。これは越えてはならない一線であり、生と死の境界でもあるようでした。
 主要メンバーがこの一線を越えてステージから消えてしまうという演出にははっとしましたが、細かなストーリーはわからなくても、舞踊のパフォーマンスに圧倒されました。
 さすが Noism、これが Noism という素晴らしいステージに、劇場を埋めた観客に大きな感動をもたらしました。カーテンコールを何度も繰り返し、その素晴らしいパフォーマンスを讃えました。

 休憩時間にロビーで休んでいますと、県外から来られた客が、Noismの素晴らしさ、劇場の素晴らしさを讃えておられました。

 休憩後の後半は「ボレロ」です。「アルルの女」に比べれば短い演目です。バレエ公演でも良く知られた演目ですので、Noism版が注目されます。
 オーケストラとの共演の狭いステージとは違って、広いステージを使用しますので、これまでとは全く違った振付・演出ということになりましょう。
 内容については素人の私は何も言うことがありません。副題の「天が落ちるその前に」は、どういう意味を持つのだろうかなど考える間もなく、井関さんを中心にしての、音楽に合わせての渾身の舞踊に、一瞬たりとも目が離せませんでした。
 最後のはっとする演出も素晴らしく、ただただ圧倒され、力の限りに拍手することしか私はできませんでした。カーテンコールが繰り返され、スタディングオベーションとなりました。金森さんがステージに出てきますと熱気もピークとなり、劇場は総立ちの興奮に包まれました。

 いや〜、やっぱり Noism ってすごいですね。すごいという言葉でしか表現できない自分が恥ずかしいですが、言葉で表現できないほどの素晴らしさとご理解ください。

 埼玉公演も素晴らしいものになること間違いありません。新潟に Noismありということを、これからも全国に知らしめていただきたいと思います。
 

(客席:2階15-24、¥5500)