東京交響楽団 第104回新潟定期演奏会
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2017年12月3日(日) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:ジョナサン・ノット
ホルン:ジャーマン・ホルンサウンド
     クリストフ・エス、シュテファン・ショットシュテット、ゼバスティアン・ショル、ティモ・シュタイニンガー
コンサートマスター:水谷 晃
 

リゲティ:ハンブルク協奏曲
     〜 ホルンと室内アンサンブルのための (ソロ:クリストフ・エス)

シューマン:4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック 作品86
       (ソロ:ジャーマン・ホルンサウンド)

 (アンコール)
  ヴェルディ:歌劇「オテロ」より 第3幕 アヴェ・マリア

(休憩20分)

ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」
 

 

 今シーズンの東響新潟定期で唯一の音楽監督・ノットの登場です。昨年10月の第98回新潟定期以来の新潟来演ですが、前回は急な仕事が入って聴けませんでしたので、私にとりましては2015年11月の第93回新潟定期以来2年ぶりになります。

 そして今日の共演はジャーマン・ホルンサウンドです。初めて聞くグループですが、紹介文によりますと、「シュトゥットガルト音楽演劇大学のクリスチャン・ランパート教授のフレンチ・ホルン・クラスに学んだ4人が2009年に結成。4人ともそれぞれバンベルク響をはじめロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィル、ハノーファー州立歌劇場、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団などドイツの名門オーケストラに所属し活躍している。近年、ヨーロッパの主な音楽祭ほぼ全てに出演し、国際的にも高い評価を得ている。」ということです。

 今日の定期は、昨夜サントリーホールで開催された第656回定期演奏会と同じ内容です。前半のホルンプログラムだけでなく、後半の「英雄」もホルンが活躍しますので、ゲストに対抗して東響のホルンセクションの頑張りも期待され、楽しみが高まりました。

 さて、最近疲れがたまって元気が出ませんが、こんなときに限って宴会も続いて、疲労は蓄積するばかりです。昨夜はオルガンクリスマスコンサートでメサイヤを聴く予定にしていたのですが、今日に備えて休養をとることにしました。チケットを無駄にしましたが仕方ありません。

 今日は午前中は青空が広がり、穏やかな日曜日になるものと期待しましたが、昼前から黒い雲が広がり始め、青空を追いやってしまい、いつもの新潟の冬空に戻ってしまいました。恒例のロビーコンサートを楽しみ、一旦帰宅して出直してコンサートに臨みました。

 開演は5時のはずですが、1分前には団員の入場が始まりました。いつものように拍手に応えて全員揃うまで団員は起立していました。
 小編成で、左にナチュラルホルンの東響ホルン陣(大野、勝俣、金子、藤田)4人、その横右側に弦楽五重奏の5人が一列に並び、その後方に管楽器、最後方に打楽器の2人が配されました。

 ノットさんとホルンのエスさんが登場して開演しました。エスさんはナチュラルホルンと通常のホルンを持ち替えての演奏でした。幽玄なナチュラルホルンの響きで始まりましたが、現代の曲だけあって、なかなか分かりにくく、なじみにくかったというのが本音です。ホルンとオケ(弦は5人だけですが)が複雑に絡み合って、不可思議な響きを作り出していました。濁った音のホルンがどんどん高音へと上がって行ったところで唐突に曲が終わってしまい、戸惑ってしまいました。よく分からないまま曲が終わってしまってあっけにとられたという感じです。

 ステージが整えられて、続いてはシューマンです。編成は通常のオケになり、ヴァイオリンが左右に別れ、コントラバスとチェロが左、ヴィオラが右の対向配置となりました。ジャーマン・ホルンサウンドの4人とノットさんが登場。ホルンの4人はオケの前に1列に並びました。
 現代曲とは違って美しい曲であり、変に緊張することもなく、ゆったりと曲に聴き入ることができました。曲名は分かりにくいですが、4本のホルンとの協奏曲です。なかなか美しい曲であり、特に第2楽章が良かったです。
 穏やかな曲であり、超絶技巧をひけらかすような曲ではないですので、ジャーマン・ホルンサウンドの皆さんの演奏技術がどうなのか判断はできませんが、曲も演奏も楽しめました。

 休憩時間にはジャーマン・ホルンサウンドのCDを買った人たちへのサイン会が開催され、多くの人が行列を作っていました。演奏直後でご苦労なことですね。

 休憩後は「英雄」です。今年の新潟はチャイコフスキーの5番続きでしたが、「英雄」も何度も演奏されました。9月のセントラルフィルは聴き逃しましたが、7月の東京フィル、11月のブダペストフィルと良い演奏にめぐり会いました。今日はどんな演奏になるか楽しみでした。

 第1楽章から軽快に演奏が進み、明るく爽やかな音楽になりました。第2楽章も葬送行進曲というような暗さは微塵も感じさせず、第3楽章も弾むように躍動感に溢れ、アタッカで突入した第4楽章もエンジン全開に突き進み、歌わせどころはゆったりと歌わせて興奮のフィナーレを迎えました。
 スピード感溢れる音楽は心躍らせ、精神的高揚を生み出しました。ノットさんの音楽作りのなせる業と思いますが、東響の演奏の素晴らしさに驚嘆しました。水谷さんが率いる弦のアンサンブルの美しさは特筆すべきであり、極上のオーボエをはじめとして、管も素晴らしかったです。随所で活躍するホルンも良い仕事をしてくれました。ジャーマン・ホルンサウンドの皆さんに決して引けを取らないパフォーマンスだったと思います。
 と、カラヤン/ベルリンフィルの演奏を聴きながらこの文章を書いていますが、今日の東響の演奏を前にしますと生ぬるい音楽に感じてしまいます。

 前半のリゲティは何だかよく分からないまま終わりましたが、「英雄」は良かったです。東響の素晴らしさを再認識した演奏でした。

 気分良く外に出ますと冷たい雨が降り出しました。せっかくの興奮を冷ますようでしたが、演奏の感動はうせることはありません。
 

(客席:2階C*-*、S席:定期会員:¥5670)