BEST CLASSICS 100 コンサート
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2006年9月18日 新潟市民芸術文化会館コンサートホール
 
指揮:鈴木織衛
管弦楽:東京ニューシティ管弦楽団
ピアノ:高橋多佳子、ヴァイオリン:吉田恭子、ソプラノ:平盛有佳子
 
第1部 「ベスト・モーツァルト100」

   1.モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
   2.モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550 第1楽章

第2部 「クラシックの魅力」

   1.パッヘルベル:カノン
   2.チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」より「花のワルツ」
   3.ショパン:エチュード第12番ハ短調 Op.10-12 「革命」 (ピアノ:高橋多佳子)
   4.ショパン:ピアノ協奏曲第1番 第2楽章 (ピアノ:高橋多佳子)

(休憩20分)

第3部 「ベスト・クラシック100」

   1.ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」第1番「春」より第1楽章アレグロ (ヴァイオリン:吉田恭子)
   2.マスネ:タイスの瞑想曲 (ヴァイオリン:吉田恭子)
   3.プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」 (ヴァイオリン:吉田恭子)
   4.J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068-2 アリア
   5.シューベルト:アヴェ・マリア D839 (ソプラノ:平盛有佳子)
   6.プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」 (ソプラノ:平盛有佳子)
   7.ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67「運命」第1楽章
   8.ヴェルディ:歌劇「アイーダ」より「凱旋行進曲」
   9.エルガー:行進曲「威風堂々」Op.39-1 (終結部)
  10.ホルスト:組曲「惑星」Op.32-4 ジュピター (終結部)
  11.ラヴェル:ボレロ (終結部)

(アンコール)
   ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」第4楽章より
   オッフェンバック:天国と地獄
 
 

 田部京子さんのコンサートに引き続いて、連チャンです。同様のコースをとった客は私の友人を含めてかなりいたようであり、音楽文化会館からりゅーとぴあへ早足で向かう人たちが多数おられました。
 今度はベストセラーとなった「BEST CLASSICS 100」にちなんだ名曲コンサートです。私は音楽を芸術としてでなく、娯楽として楽しむことを信念としていますので、このようなコンサートは大好きですが、新潟ではいわゆる「名曲シリーズ」とかポップスコンサートが少ないのが残念です。東響ホリデーコンサートも数回開催されただけで消滅してしまいました。10月に日本フィルの名曲コンサートがありますが、会員制のため一般人は聴くことができません。今回このようなコンサートがあることを知り、純粋に音楽を楽しみたいという気持ちを持って会場に駆けつけました。

 堅苦しいコンサートじゃないので満員に違いないという予想は外れ、7割程度の入りでしょうか。ステージ周囲が9割方埋まっていたのに比して、Bブロック、Dブロックがガラガラだったのが異様でした。今回のオケも指揮者も初めてで、これにも興味がありました。

 「フィガロの結婚」序曲で演奏開始。ついさっき弦楽四重奏版で聴いてきたばかりでしたが、やっぱりフルオーケストラがいいなあ、と感じました。そう言えば先月も飯森さんの指揮で聴いたなあ・・。

 鈴木さんの解説を交えながら演奏が続きました。時間が限られているため、やや早口でしたが、軽妙なトークは心地良かったです。昔の「オーケストラがやって来た」を思い出しました。山本直純が存命ならこういうコンサートはもっとあったんだろうなあ、と感慨にふけりました。
 パッヘルベルのカノンでは鈴木さんはハープの伴奏で歌まで歌って解説。日本の歌謡曲で全く同じコード進行の曲があるんですねえ。そのハープについての解説の後、ハープが活躍する「花のワルツ」。

 そして、高橋さんが登場してピアノ演奏。水色のドレスが爽やかでした。スリムな美人で、ヴィジュアル的にも堪能。「革命」は情熱的というより粗っぽい演奏。可憐な容姿には似合わない演奏でした。ミスタッチも多かったです。それに比べてピアノ協奏曲は、ロマンチックに切なく、高橋のイメージにぴったり。すっかり虜になりました。さっき聴いてきた田部さんの円熟した魅力も良いですが、清楚で可憐な高橋さんの魅力も決して劣るものではありません。(どうしても容姿の話になってしまうなあ・・)

 後半は名曲の連続。初めにヴァイオリンの吉田さんとの共演。真っ赤なドレスが目に鮮やかであり、それに負けない吉田さんの美貌は言葉に表しがたく、双眼鏡のピントを合わせる手に力が入ってしまいます。
 2階席正面の最前列で双眼鏡を覗く中年オヤジは冷静に考えると気持ち悪いですが、女神を前にしてなりふり構っていられません。すらりとした容姿、演奏もすばらしいです。
 ヴィヴァルディではヴァイオリン協奏曲としての魅力を披露し、マスネではロマンチックな世界に誘います。これまで聴いた「タイスの瞑想曲」では最も感動的であったように思います。ヴァイオリンによる「誰も寝てはならぬ」は、荒川静香が使用したヴァネッサ・メイの演奏より情熱的であり心に響きました。音楽にヴィジュアル的要素は不要という人もありますが、こういう美しい人が弾くと、より美しく感じるのは事実です。

 次に黒いドレスを着たソプラノの平盛さんが登場。高橋さんや吉田さんに比較すると貫禄があります。さすがに声楽家です。しかし、声はやや細く、オケに埋もれてしまい、ホールの隅々までは声が通りません。調子が悪かったのだろうと思われます。少し残念でした。

 最後は賑やかな曲が続き、ホールをオーケストラサウンドで満たし、生演奏の醍醐味を与えてくれました。こういう音の洪水に感動し、クラシックファンが少しでも増えてくれればいいなあと感じました。

 アンコールはラデツキー行進曲と予想していましたが見事に外れ、第九。観客は起立を促され、全員で「歓喜の歌」を合唱しました。歌い終わると「天国と地獄」で盛り上げてお開きとなりました。全員起立していたので、必然的にスタンディングオベーションとなりました。これはいいアイデア、してやられたという感じ。

 正直言って、東京ニューシティ管弦楽団は初めてであり、失礼ながら在京オケでは2流という印象を持っていたのですが、弦の粗さは垣間見えたものの明るく華やかな演奏はなかなかのものでした。新潟出身の奏者が2人(フルートと打楽器)いて親近感が沸きました、そして鈴木さんの解説は分かりやすく、演奏もすばらしかったです。「天国と地獄」ではカンカン踊りまで披露し、サービス精神には頭が下がりました。なかなかの指揮者と思います。

 そして何より、本日の収穫は、高橋さん、吉田さんという演奏だけでなく、容姿も一級品の演奏家を生で見れたということです。特に吉田さんは最高。目の保養をさせていただきました。今度はちゃんとしたコンサートでお目にかかりたいです。中年オヤジのいやらしさかも知れませんが、音楽にはビジュアル要素も大切だと実感しました。

 NTT東日本がスポンサーになっていて、コンサートを収めたDVDのお土産付きでした。これからもこういう肩の凝らないコンサートを開いてほしいものです。
 

(客席C2−11、S席 7000円)