新潟メモリアルオーケストラ 第16回定期演奏会
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2006年9月24日  新潟市民芸術文化会館コンサートホール
 
指揮:山岡重信
 
 
ブリテン:青少年のための管弦楽入門

ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲

(休憩15分)

マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」

(アンコール)
マーラー:花の章

 
 

 秋晴れの快晴の空。思わず心もウキウキします。この時期の新潟は5月と並んで一番過ごしやすいです。今日は朝から町内会の草取り作業で疲れ気味でしたが、気持ちよい陽気で家にいるのももったいなく感じました。ドライブにでも出かけようかと考えましたが、楽しみにしていた今日のコンサートは外すことはできません。

 新潟メモリアルオーケストラは、新潟大学管弦楽団のOBを中心に1990年に作られましたが、毎年この時期に無料のコンサートを開いてくれています。選曲もすばらしく、新潟ではなかなか聴けない曲に挑戦してくれるので、非常に楽しみです。

 14時開演ですが、13時半過ぎにりゅーとぴあに赴きました。本日発売の某コンサートのチケットを買い、ホールに向かいました。無料コンサートなので、当然自由席です。S席エリアはかなり埋まっていましたが、ほかは空席で、6割程度の入りかと思われました。私はいつものCブロックに席を確保できました。

 拍手の中楽員が入場、その後に開演のチャイムが鳴るという不手際があったのはご愛敬。山岡さんが登場し、1曲目はブリテンの有名な割りには実演で聴く機会のない「青少年のための管弦楽入門」です。
 実は私は、マーラー以上に今日のプログラムの中で楽しみにしていました。若い頃オーディオに凝っていたとき、音質のチェック用としてプレヴィンの演奏するレコードを使用していました。オーケストラの各楽器を順次紹介していくこの曲は、楽器の音色を確かめるのに好都合なのです。ナレーション付きで、それこそ「管弦楽入門」としての楽しみだけでなく、曲としてもすばらしく、「ヘンリー・パーセルの主題による変奏曲とフーガ」として、純粋に音楽としての味わいも深いです。今日の演奏はナレーションなしの演奏です。
 さて、演奏は・・。各パートのソロが順次出てくるので、奏者個人の技量・粗がもろに出てしまう危険な曲に挑戦した意気込みには敬服します。アマチュアとしての限界があるのは仕方のないこと。個別には難はありますが、合奏では重厚なハーモニーを生み出し、聴き応えは十分でした。予想以上の好演でした。

 チェロパートが入れ替わって、2曲目は「ウィリアム・テル」。ゆっくりと山岡さんが登場し、おもむろに演奏開始。出だしのチェロのソロがうまく決まって、立派な演奏でした。ブリテンで危なげであった管楽器もミスは少なかったです。情感豊かで迫力もあり、音楽の歓びを感じさせてくれました。オケを精一杯鳴らして気分爽快にさせてくれたのはすばらしいことです。

 休憩後はメインのマーラー「巨人」。これは私の大好きな曲であり、実演・録音を含め、長く聴き親しんでいるので、曲への思い入れも大きいです。
 第1楽章はゆっくりしたテンポで進みました。随分ゆっくりだなあ、と感じながら曲が進みました。第2楽章は普通のテンポで開始され、ホットしましたが、中盤からまた非常にゆっくりしたテンポとなり、ゆっくり過ぎてアンサンブルもばらけてしまいました。山岡さんの解釈なのでしょうが、私的にはゆっくり過ぎるように感じました。続いて第3楽章もゆっくり目でしたが、ほどよい速さです。出だしのコントラバス・ソロはコントラバス・パートの8人全員で演奏。通常1人のソロで演奏されますが、最近パート全員で演奏されることも多くなってきたようです。1992年に出版されたマーラー協会の新校訂版ではパート全員で演奏するよう指示があり、本日の演奏もこの版に準拠したものでしょう。
 休憩をおかずに第4楽章。これまたゆっくりと演奏が進みました。これまでの各楽章のテーマが順次登場するこの楽章は、私が最も好きな楽章です。この楽章のできを左右するのはホルンだと個人的には感じています。最後のクライマックスのホルンの咆哮、これがこの曲の醍醐味と思います。ホルンが起立して演奏してくれたのはありがたかったですが、鳴りっぷりが今ひとつだったのは残念でした。8人のホルンにしては音量が足りず、終盤の大事なホルンのファンファーレがオケに埋没してしまったのは悔やまれます。
 とは言っても、私のこの曲への勝手な思い入れを別に考えますと、大変すばらしい演奏であったことには違いないです。
 アンコールは何と「花の章」。アンコールとしてはこれ以上のものはないです。「花の章」付きの「巨人」の実演は初めてでした。演奏もすばらしく、感激でした。

 こんなすばらしい演奏を無料で聴けることはありがたいです。新大オケや潟響並みの入場料を取ってもいいように感じますが、無料にこだわる点もすばらしいです。
 こんなすばらしいコンサートなのに空席が目立ったのは残念であり、不思議でもあります。陽気に誘われて、行楽に出かけたのでしょうか、それともビッグスワンにアルビの応援に繰り出したのでしょうか。(連敗脱出して良かったなあ・・)

 満足感を胸に外に出てみますと、秋晴れの空は気持ちよく、まさに「天高く・・・」です。白山公園には多数の人たちが繰り出していました。一年中こんな気候ならいいのになあ・・。いい演奏にいい天気。今日はいい日だなあ・・。

 さて、来年の演目はブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」だそうです。今から楽しみです。
 

(客席:2階Cブロック7-8、自由席、無料)